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12 - 新人組 彼の代わりにはなれない

♥

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2023年01月09日

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新人で現パロです。貴方がちょっとクズかもです。エセ関西弁などが含まれますのでご注意ください。○○というのには貴方の名前を入れて読んでください。


※ちょっと微えrです!!※


それでも良い方はどうぞ!







「なあ、自分の何処が駄目だったん…?」



目が覚める。嫌な汗が背中を伝う。

「ん…またあの夢?」

隣で寝ているチーノが言う。彼は今の恋人だ。彼には色々と感謝している。

「…○○、水でも飲も。」

チーノはベッド脇にある眼鏡をかけ、私の背中をさする。深呼吸しよ、と声をかけられる。チーノの呼吸に合わせて一緒に深呼吸する。

「…うん、ごめん。」

二人はベッドを抜け、キッチンに向かう


キッチンではチーノがホットミルクを作ってくれた。

「はい、どーぞ。」

湯気でチーノの眼鏡が白く曇る。

「ありがと、チーノ。」

コップを受け取り、飲む。ホットミルクが喉を通り、体を温める。

「ううん、これくらいしか出来んから。」

チーノは目を伏せ悲しく言う。私はそれに何も言えなかった。



夢の内容は思い出したくもないものだった。

私は昔、ショッピと付き合っていた。ショッピとの出会いは会社だった。


ショッピが私の後輩として入ってきた。よく出来た後輩だったと思う。


教育係として接していくうちに私達は惹かれ合った。ショッピと行った場所、ショッピとした会話、ショッピの仕草、ショッピの熱い肌…なんでも鮮明に写った。


しかし、彼は私を捨てた。

「ごめん、もう好きやないわ。」

「なあ、自分の何処が駄目だったん…?」

「さあな。」

彼は言い捨て、バイクで去っていった。


その光景が夢に出てくる。その時の嫌な気持ちが蘇る。


多分彼には好きな人が出来たんだと今は思う。だが、昔の私に考える余地がなかった。

その後はどうして、どうして、などと塞ぎ考えた。

一晩中泣いた。


だが時間は誰にも平等に流れていく。それは当たり前だと思っていたことが非情に思えた。


朝、腫れた目を隠すように下を向きながら出社した。彼と合うことを避けようとしていたが、重要な彼の姿が見えない。

気まずさはないが、少し心配になる。


自分の席に付き、仕事をこなす。昨日のことを少し思い出し、涙ぐむが我慢する。


「ねえ知ってる?塩戸君、やめたらしいよ。」

「前々から決めてたらしいよ。」

「なんかあったのかなぁ。」女子同士の声が聞こえてきた。


ショッピが辞めた…?


彼からは何も聞かなかった。いや、言わなかった。


元から私のもとから離れることを決断していたのだ。それに気づき、また涙が出そうになる。


急いでトイレに行く時、誰かに呼び止められた。

「○○さん、こっちのほうがええです。こっち行きましょ。」

チーノの声だった。上着を頭から着せられ、顔を隠される。手を引かれ、人気の少ない場所に連れて行かれる。

「えっ、ちょっと、」

急なことで戸惑った。嫌なことが横切ったが、もうどうにでもなれという諦めが涙と一緒に落ちた。


連れて行かれた場所は仮眠室だった。

私をベッドに置き、チーノは椅子をベッド付近に持ってきてはそこに座った。

「○○さん、ショッピと付き合ってることは知ってます。あいつは前々からおかしいと思ってたんです。」

上着がズレ、チーノの真剣な顔が見える。

「ここは本当に誰も来ないんで、泣いても大丈夫ですよ。」

淡々と言う。

干渉してこないチーノの声が私の心をほぐした。


「チーノ、まじでごめん。世話かけたな。今度なんか奢らして。」

先輩が後輩の前で泣いてしまった。水を持ってきてきもらったり、背中を擦られたり、ティッシュを持ってきてきもらったりして頂いた…。


「大丈夫ですよ〜w…それにしても目、もっと腫れちゃいましたね。」

チーノの目が私をじっと見つめる。

「大丈夫、ありがとうね。」

熱い視線に耐えられなかった。そっぽを向く。

「…○○さん、俺だったらいくらでも相談に乗りますよ。」

彼なりに力になろうとしてくれている。それだけで嬉しかった。

「じゃあ、今日飲も。飲まなきゃやってられん。チーノ、愚痴聞いてくれる?」

これ以上遠慮しても彼は引いてくれないだろう。

「勿論です!」



「まじあいつなんなん!?急に好きやない言われてさぁ!!」

ある居酒屋で二人は飲んでいた。食器がぶつかり合う音、店員さんの声、酒の匂いなどが部屋に充満する。

「いいぞぉ○○さん!!言ったれ言ったれ!!」

二人は酒が入り、酔っていた。程よく飲んでいたため、ほわほわしていた。

「ちーのぉ….もうお開きにしよ。今めっちゃ気持ちいいんや。私が奢るから。」

「うーん….そうですね!ご馳走さまですパイセン!!」

フラフラな足でレジまで歩く。

少しよろけて、転けてしまった。

ああ、床に頭をうつと思っているが避けられない。きゅっと身構えているが、衝撃はやってこない。

「うおっ!○○さん、危ないっすよ〜?あとで水でも飲みましょ。」

腰に手をかけられ、床に頭をうつのを阻止してくれた。

「あ〜…ごめんな。ありがとう。」

腰から感じる体温や手の大きさが私をより熱くさせる。


会計を済ませ、自販機で水を買ってもらう。

「○○さん、水です。どうぞ。」

自動販売機の光でチーノの顔が照らされる。

「ん、ありがとう。」

拙い手で開ける。水を飲む。酔いが少し覚めた気がする。

「○○さん、ここにいるのもあれなんで送りますよ。家どこですか?」

「いや〜、だいじょぶだいじょぶ。かえれるよ。」

自分で言っときながら、どこが大丈夫なのだろうかと考えた。

「大丈夫じゃないっすよw○○さん、歩けますか?無理そうならどっかテキトーなホテル取りますけど。」

ホテル。少し身構てしまったが、こいつとは先輩と後輩後輩の関係。

何も起こらないし、起こさせないと誓い、チーノにホテルを取ってもらった。


「○○さん、明日は休みましょ。」

「ん…やすむぅ!」

呂律が回らなくなってきた。

だが、もう酒のせいでどうでもいい。

布団の上が気持ちいい。ふかふかだ。

チーノは上着を適当に椅子にかけ、こちらに近寄る。

「○○さん、俺、本当は○○さん目的で今日は近づいたんです。ショッピとも別れたし、俺と付き合わん?」

チーノの言ってることを理解するのに時間がかかった。だが、言い方が、頬を撫でる手がショッピに似ていた。それだけで許してしまった。

「…ん、いいよ。」

ゆるしてね、わたし。


チーノは私の上に覆いかぶさり、私を抱いた。

起きたときには朝の7:00だった。会社に休みの報告をし、休みを貰った。

チーノに抱かれた感想はショッピと違う、だった。そりゃそうだ。チーノとショッピは別人。

同じなわけがないと思いつつも、ショッピのことが忘れられない。


「ん…おはようございます…。」

チーノが目覚めた。彼の裸を見ては昨日のことを思い出す。

「うん、おはよう。」

「○○さん、昨日のこと、覚えてます…?俺は…その、覚えてるんですけど。」

「私も覚えてる。付き合うって話でしょ。」

「はい!…でも、いきなり抱いたりしてすみません…。」

「そうやな、あれはないわ。」

そう言い切る。チーノはガーンとショックを受けている。素直で可愛いと思う。

「まあ、よろしくね。」

額にキスをする。チーノの顔は瞬く間に赤くなる。あのときは、幸せになると思っていた。



「○○さん?眠いならベッドに行きますか?」

チーノの声で目覚めた。リビングで軽く寝ていたそうだ。

「いや、もうちょいここにいる。チーノは寝ててもいいよ。」

「じゃあ、ベッド温めてますからねw」

「お願いするわw」

そういい、チーノを見送った。スマホが静かに振動する。

画面を見るとショッピからだった。心臓がどくりと動く。心臓が痛い。見てはだめだ、今はチーノがいると思っても見てしまう。


[なあ、元気にしとる?]

[会いたいんやけど、どこがええかな。]

[初デートのとこで待っとる。]

[フリーなら、返事して。]


私はその画面を見てすぐ動いた。パジャマのまま外に出る。寒さなんか気にしない。初デートの場所を思い出し、走り出す。


チーノ、ごめん。貴方は彼の代わりにはなれなかったよ。

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