テラーノベル
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眩い光を放つ二つの扉。それぞれの運命を静かに、けれど確かに呼んでいた。
リバが、モルグの手をぎゅっと握る。
リバ「……もし離れ離れになっても、絶対に貴方を忘れません。
でも――貴方が選んだ道を、私は応援します」
涙をこらえた笑顔。
ザラも腕を組みながら不器用に言う。
ザラ「オレは、この世界に残るぜ。族も守らなきゃだしな。
だけど、モルグ、またいつかどっかで会えたらいいよな。そんな気がするんだ。
オレたちの絆は、絶対に消えやしねぇからさ」
モルグは静かに頷き、二人の顔を順に見つめる。
「……ありがとう、リバ。ありがとう、ザラ。
この世界で出会えたこと、絶対に宝物にする。 たとえ別の世界へ進むとしても――二人のことをずっと想い続けるよ」
扉の前に、それぞれの“記憶の光”がふわりと舞う。
観測者が静かに見守る中、リバとザラはこの世界に残る道を選び、
モルグはゆっくりと、「元いた世界」へ通じる扉に手を伸ばす。
モルグ(きっとここで出会えた気持ちや学びは、これから先の自分の人生に必ず繋がる。
だからもう、過去の後悔には負けない)
扉が開く直前、リバは最後の言葉を投げかける。
リバ「生きて、生きて、生きてください――どんな姿になっても、あなたがあなたでありますように」
ザラも拳を掲げる。
ザラ「どっちの世界だろうと、お前なら絶対大丈夫だ。胸張って行けよ、モルグ!」
モルグは微笑み、光の扉を一歩ずつ進む。
極限の白い光――
やがて世界が音もなく反転し、モルグの意識は次の「人生」へ引き継がれていく。
***
静けさの残る扉の間で、観測者たちはそっとつぶやく。
「選択がなされた。
魂は新たな形で“幸福”と向き合うだろう。
そしてそれぞれの世界に、新しい未来が訪れるのだ――」