テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
――まばゆい光の中。 モルグはゆっくりと意識を取り戻していく。
ベッドに寝かされた自分。差し込む明るい陽射し。
聞き覚えのある目覚ましの音――ここは、元いた現代日本の世界。
モルグ(……帰ってきた、のか? 本当に、元の世界に……)
ぼんやりとした頭で部屋を見渡すと、机の上には見覚えのあるせんべいとか、古い本、自分の通学バッグ。
学校帰りに立ち寄ったあの商店街のポスターまで目に入る。
――でも。
胸の奥にははっきり残る「リバ」や「ザラ」との日々。出会い、笑い、奇跡のような冒険。
モルグはゆっくりと手を握りしめて思う。
(ここでもう一度、自分の人生をやり直す。逃げない。
今度こそ誰かのために、自分のためにも、ちゃんと生きてみせるんだ)
一方――
リバは静かな森の中、“新しい朝”を迎えていた。
仲間たちと笑顔で畑を耕し、村の子どもたちに薬草の名前を教える。
優しくも強い「リバさま」として村人たちに頼られ始めている。
ザラは族の集会場で、大声で皆を鼓舞していた。
「これからはみんなで新しい時代を始めるぞ!――モルグもどこかできっと頑張ってる」
昔より自信を持った声、仲間の中にリーダーとしての凛々しさが光っている。
***
夜――モルグはベッドの中、窓の向こうの星空を見上げる。
その目には、懐かしい森や、暖かな手、あの約束が浮かんでいた。
(リバ、ザラ……2人はきっと元気だ。
僕も絶対、ここで負けない。勇気を持って、新しい自分で生きていくよ)
そして小さく呟く。
「ありがとう。どの世界にいても、僕はもう一度“しあわせ”を選ぶ」
その言葉が、見えない空を超えて、仲間たちへと優しく届いていた――。
***
観測者たちは遠い彼方で静かに見守っている。
「選び取った未来は、新しい“始まり”をもたらした」
「彼らの魂は永遠に繋がっている……どの世界であっても」