TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

さよならは少しずつ

一覧ページ

「さよならは少しずつ」のメインビジュアル

さよならは少しずつ

1 - 第1話  笑顔の裏側

♥

1

2025年07月03日

シェアするシェアする
報告する

昼休みの教室は、生徒たちの声と笑い声が入り混じり、にぎやかで賑わっていた。

窓から差し込む柔らかな春の陽射しが、机や教科書の上に斑模様を作り出している。

陽向結羽(ひなた ゆう)は、その中にいた。

クラスメイトの輪の中で笑い声をあげ、友達に話しかけられれば自然に返事をする。

でも、その笑顔の奥には、小さな亀裂が広がっていた。

「結羽ちゃん、今日の放課後、みんなで帰ろうよ!」

「うん、楽しみ!」

明るく弾む声に、結羽はうなずきながら笑顔を返す。

その声は耳に届くが、どこか遠くで響くエコーのように感じられた。

目の前の友人たちは楽しそうに笑い合っている。けれど、その輪の中に自分が本当に溶け込んでいる実感はなかった。

隣に座る親友の咲良は、いつものように明るい表情をしているけれど、会話のテンポがどこか合わない。

咲良が誰かと話しているとき、結羽の視線は自然と彼女から離れ、遠くの教室の窓の外に向かう。

「どうして、最近はこんなに距離を感じるんだろう」

過去の楽しかった思い出が頭の中をよぎる。

中学に入ったばかりの頃、みんなで笑い合い、秘密を話し合い、何でも共有していた日々。

それが今では、まるで別の世界の話のように遠ざかっていく。

結羽は机に肘をつき、顔を手で覆った。

誰にも見られたくないけれど、涙がこぼれそうになるのを必死にこらえている。

「なんで、私だけ置いていかれるんだろう」

「どうして、みんなは普通に笑い合っているのに」

彼女の胸の内は、不安と孤独でいっぱいだった。

話しかけたいのに言葉が出ず、聞きたいことがあるのにどうしても尋ねられない。

そんな日々が、じわじわと心を蝕んでいく。

教室のざわめきの中で、結羽は自分だけがぽつんと取り残されている気がした。

それでも、彼女は強くいようと決めた。

「大丈夫、笑顔でいれば、また戻れるかもしれない」

そう自分に言い聞かせ、もう一度顔を上げる。

みんなの笑顔に合わせて笑い返し、声を出す。

「そうだね、放課後楽しみだね!」

その声は、明るく元気だった。

だけど、その内側では、静かに「さよならは少しずつ近づいている」という不安が広がっていた。

結羽は窓の外に目を向けた。

青空は広く、春の風が木の枝を揺らしている。

それは変わらずにそこにあるのに、自分の周りの世界は少しずつ変わっていくのだと感じていた。

彼女の心の中の空洞は、誰にも見えない。

でも確かにそこにあって、結羽を少しずつ蝕んでいた。





  

初投稿です!結構フィクション、、、、。第二話もお楽しみに! フォロー、いいね、お願いします!








この作品はいかがでしたか?

1

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚