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23話『まだ出会う日まで』
その後、季節がいくつも巡り、俺たちの世界は少しずつ変わった。大学を卒業し、それぞれ新しい道を歩み始めたけれど、互いに約束したことは変わらなかった。どんなに遠くても、どんなに忙しくても、最終的に向かう先は一緒だと、心の中で信じ続けていた。
ある日、澪から突然、こんなメッセージが届いた。
「悠斗、今度の連休、久しぶりに会える?」
その一行だけで、胸が高鳴った。会えなくなる日々があることは分かっていたけれど、それでもこうして約束できることが、どれほど幸せなことなのかを改めて感じていた。
「もちろん! 会いたい。どこで会う?」
そして、久しぶりに会う日が決まった。どんなに時間が経っても、初めて会った日のようにドキドキする気持ちが消えない自分がいた。
会う場所は、二人が最初に出会った駅。あの日のことを思い出しながら、俺は少し早めに到着し、改札前で澪を待った。駅の周りもすっかり変わり、街並みは新しくなっていたけれど、この場所だけは、あの日のままだった。
「悠斗!」
背後から声がかかると、振り返る前にその声がどこか懐かしく、優しいものであることが分かった。振り向いた瞬間、澪の笑顔がそこにあった。あの春の桜の下で見た、あの笑顔が、今、目の前に広がっている。
「澪…!」
彼女の顔を見ると、胸がいっぱいになった。遠く離れていた時間が一気に埋まるような、そんな気持ちが溢れてきた。
「久しぶりだね、悠斗」
澪が小さく笑いながら、そっと手を伸ばしてくる。その手を、迷わず握り返すと、あの日のように、安心感が広がった。
「本当に久しぶりだね。会えて嬉しいよ」
二人の間に流れる空気は、何も変わらない。何年経っても、この場所で、何度でもこうして会える気がした。
「ねぇ、覚えてる? ここで最初に別れた時、すごく悲しかったよね」
澪が、少し遠くを見つめながら言う。その瞳に、あの時と同じような寂しさを感じる。
「うん、覚えてる。でも、あの時よりもずっと強くなったと思うよ、俺たち」
そう言うと、澪は穏やかな顔で頷いた。
「うん、私もそう思う。だって、あの時からずっと…こうして繋がってたから」
二人の手が、自然にぴったりと重なる。その温もりが、これまでのすべてを物語っているようだった。
「これからも、ずっと一緒にいようね」
あの春の日と同じ言葉が、今、また響いてきた。それは約束ではなく、自然と心から出た言葉だった。
「もちろんだよ、澪。どんな時でも、どこにいても、ずっと支え合っていこう」
その言葉を交わした瞬間、俺たちの心の中で、また一つ新しいページが加わったような気がした。
「ねぇ、悠斗。もし、また会えない日が来ても…私たちは絶対にまた会えるよね?」
澪が少し不安げに言う。その言葉に、少しだけ胸が締めつけられる。
「絶対に。どんなに遠くても、どんなに時間がかかっても、必ずまた会える。だって、俺たちは繋がってるから」
そう、言いながら、もう一度澪の手を強く握りしめた。
「うん、信じてる」
澪は微笑みながら、そしてちょっと涙をこぼすような目で僕を見つめた。
「だから、今日はこの場所で、また新しい約束をしよう」
そう言って、澪は穏やかな声で言った。
「新しい約束?」
俺は少し驚いて彼女を見つめる。
「うん、これからも、どんな距離があっても、どんな時が過ぎても、私は必ずまたあなたに会いに行くよ。約束だよ」
その言葉に、俺は涙がこぼれそうになるのをこらえながら、しっかりと頷いた。
「俺もだよ。俺も必ず、君に会いに行く。そして、どんな日も、二人で笑って過ごせるようにするから」
この約束が、どれほど大きなものかは分からないけれど、今はただ、澪と二人で同じ気持ちを抱えて、歩き続けていけることが何よりも嬉しかった。
その時、青空の下で、風がそっと吹き抜けていった。俺たちの手が、再び強く握られ、未来へと続く道が開けていく。まだ見ぬ日々が待っていることを、どんなに遠くても、どんなに時間がかかっても、必ず出会うその日を信じて――