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24話『まだ出会う日まで - その後の約束』
あれから3年が経った。澪との約束は、あの時からずっと胸の中で鮮明に刻まれていた。遠く離れた場所で、それぞれの人生を歩んできたけれど、心の中で「また会える」という希望だけは、どんな時でも消えることがなかった。
澪とは、毎月一度、電話やメッセージで近況を報告し合っていた。それでも、忙しさに追われる日々の中で、会える時間は限られていて。会いたいと思う気持ちが募る一方で、実際に顔を合わせることは、まだ先の話だと思っていた。
でも、運命というものは、いつだって予想もしないタイミングで訪れるものだ。
ある日のこと。仕事が終わり、帰宅した僕の携帯に一通のメールが届いていた。
「悠斗、元気?
実は…来月、ちょっとだけ帰ることになったんだ。もうすぐ会えるかもしれない。私、今度は絶対に離れないよ。」
その瞬間、僕の胸は高鳴り、心が躍った。澪が帰ってくる? それも「絶対に離れない」と言っている。その言葉に込められた意味が、どこか不安でもあり、でも何よりも希望に満ちていた。
「本当に? 来月のいつ?」
僕は急いで返事を送る。
すぐに届いた返信には、短い言葉が並んでいた。
「来月の最終週、あの駅で会えたら嬉しいな。」
その日が来るまで、僕は毎日が待ち遠しかった。3年の月日がどんなに長く感じても、澪のことを忘れることはなかった。そして、あの日交わした約束が、今、現実になるのだと確信していた。
約束の日、駅前で。
あの日と同じ、桜が舞う季節。駅の改札口を出ると、あの懐かしい景色が広がっていた。少しだけ風が冷たかったけれど、空は晴れていて、どこか心地よい空気が流れていた。
「悠斗!」
その声が聞こえた瞬間、自然と振り向いてしまう。彼女が、少し大人びた姿で立っていた。3年前の、あの春の澪と、どこか違っていたけれど、それでもその笑顔と、その瞳に宿る優しさは、あの頃のままだった。
「澪…!」
声が少し震えそうになるのを感じながら、彼女の元へ駆け寄った。
彼女は、少し照れくさそうに、でも嬉しそうに笑った。
「久しぶりだね、悠斗。こんなに時間が経っても、全然変わらないね」
澪の言葉に、僕は思わず笑い返した。あの日と変わらず、僕たちはこうして再び出会うことができた。
「うん、まったく変わらないね。でも、少しだけ…強くなった気がするよ」
そう言って、僕は彼女の手を優しく握った。
「私も。たくさんのことを学んできたから、今度会った時は、もっといろんな話をしたいな」
澪の瞳は、どこか大人になったようで、でもその奥には、あの頃と同じように純粋な光が宿っていた。
二人で駅周辺を歩きながら、これまでの3年間、どんなことがあったのか、どんな場所でどんな人たちと過ごしてきたのか、たくさん話した。お互いに成長した部分、変わらない部分を感じながら、笑顔が絶えない時間が流れていった。
「でも、あの日のこと、忘れたことはないよ。あの約束、覚えてる?」
澪がふっと、懐かしそうに聞いてきた。
「もちろん覚えてるよ。あの駅で、あの桜の下で、君と交わした言葉。今でも、心の中で繰り返し思い出してる」
その言葉に、澪は少し照れくさそうに、でも嬉しそうに笑った。
「じゃあ、次に会うのは、5年後? それとも、10年後?」
彼女が冗談っぽく言うと、僕はその言葉に真剣に答える。
「いや、5年後も10年後も、きっとまた会えるよ。だって、僕たちは…」
その言葉を言いながら、ふと心の中で確信が生まれた。
「どんな時間が経っても、どんなに遠くにいても、ずっと繋がっているから」
澪はしばらく黙っていたが、やがて静かに頷いた。
「うん、ずっと繋がってる。だから、どんな日でも…また会える」
その言葉を、二人で胸に刻み込むように、もう一度確認した。
その後も二人は、再び同じ場所で会うたびに、新しい約束を交わし続けた。今度は「また会おう」という言葉だけでなく、どんなに時が経っても、どんなに違う道を歩んでも、お互いのことを思い続け、支え合っていこうと誓い合った。
次に会う日が、何年後であろうと、二人の絆は途切れることなく続いていく。
そして、未来に待つ数え切れない瞬間の中で、また再会するその日まで、何度でも約束を交わし続けるのだろう。