[青いバンダナ]
涼架side
若井と涼架が二人でテレビを見ている時だった
コマーシャルが流れる中、若井はふと、涼架の腕に巻かれた、あの青いバンダナに目を溜めた
それは、涼架が常に腕に身につけているものだった。
「なぁ、涼架」
若井の静かな声に、僕はビクッと体を震わせた
僕は、若井の視線が自分の腕にあることに気づいた。
「しまった」と思い慌てて袖を引っ込めた。
「どうしたの、若井」
僕は、何でもないような顔で応えたが心臓は激しく脈打っていた。
「その腕のバンダナさ…」
若井は、涼架が隠した腕をまるで最初からそこにあったかのように、平然と指差した。
「…俺が持ってるバンダナと同じだ」
僕は、若井の言葉に思わず息をのんだ。
若井は、涼架の秘密を確かめるように、探るような視線を向けていた。
「いや、これは…その…」
僕は、言葉に詰まった。
もしここで本当のことを言えば、魔法が解けてしまう。
僕は、なんとか若井の疑いを晴らそうと必死に言葉を絞り出した。
「…拾ったんだ!そう、公園で。若井と初めて会ったあの日の次の日かな…?」
僕は、自分で言った言葉にますます焦りが募った。
「…それで、なんか、なんとなく付けてて…」
僕は、自分の言葉が全く説得力を持っていないことを悟った。
若井の瞳は、涼架の小さな嘘を見透かすかのように、まっすぐ涼架を見つめていた。
「ふぅん…」
若井は、それ以上何も言わなかった。
ただ、意味深な微笑みを浮かべただけだった。
僕は、若井のその反応に恐怖を覚えた。
若井は、何かを疑っている。
そして、その疑いは僕の秘密に少しずつ近づいている。
僕は、テレビのコマーシャルに視線を戻したが、内容は全く頭に入ってこなかった。
僕の頭の中は、若井の言葉と若井の優しい瞳の中に隠された深い疑問の光でいっぱいだった。
この瞬間、僕は自分の秘密がいつか若井にバレてしまう日が来ることを覚悟した。
次回予告
[小さな違和感の積み重ね]
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コメント
1件
若井よ鈍感であってくれ!