古の時代、まだ世界が若く、神々の力が全盛期にあった頃。アレスは戦神として名を馳せていた。彼は勇猛果敢で、どの戦場でも常に先頭に立ち、敵を圧倒する存在だった。彼の手がけた戦争の数々は伝説となり、その名は恐怖と畏怖の対象となっていた。
だが、アレスには深い葛藤があった。それは、彼の戦いの本質に関するものであった。彼は戦争がもたらす破壊と死を見つめ、そのたびに心の中で何かが崩れていくのを感じていた。神々の中で戦を司る者でありながら、彼は次第にその行為に疑問を抱き始めていたのだ。
アレスの過去には、彼の心に大きな影を落とす出来事があった。それは、彼が愛した者を自らの手で失った戦争、通称ボスワナ戦争だった。
かつて、アレスには人間の女性との間に生まれた娘がいた。彼女はアレスにとって唯一無二の存在であり、戦神である彼の荒んだ心を癒す光だった。しかし、運命は残酷であった。ある日、アレスが指揮した戦いの最中、彼の軍勢が敵国の都市を襲撃した。その都市には、彼の娘が住んでいたのだ。
アレスはそのことを知らず、敵に対する容赦のない攻撃を命じた。その結果、彼の娘は無情にも命を落とした。アレスはその事実を知った時、自らの愚かさと、戦いの無意味さに打ちのめされた。
「私は何をしているのだ…?」と、アレスは自問した。彼の心には深い後悔と自己嫌悪が渦巻き、その後、彼は戦場から姿を消した。彼は神々の間での地位を捨て、戦いの神としての役目を放棄したのだ。
長い間、アレスは隠遁生活を送り、戦争のない静寂を求めた。しかし、彼の心の中には常に、娘を失った痛みが残り続けていた。彼は自らの罪を贖うため、戦争によって苦しむ者たちを救おうとしたが、その試みは彼にとっては徒労に終わることが多かった。
だが、アレスはこの試みをやめなかった。彼は戦神としての本能が揺れ動き続けた。その葛藤が、彼を今の姿へと変えたのだ。
【作者からのコメント】
今日だけで5話ぐらい更新できた?コメントしてくれーーーー
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