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2014 南スーダン ナバリ地域
加瀬率いる、陸上自衛隊施設部隊第3班は、ジェバ市ナバリ地域の幹線道路整備活動にあたっていた。
軽装甲機動車の警戒の元、33名からなる隊員達は、40度を超える炎天下の中で任務を遂行していた。
その活動は、地元の住民らに高く評価されたものの、日本での報道は皆無に等しく、憲法違反だとする論調ばかりがテレビ画面を賑わせていた。
それでも隊員達はひたすらに任務を遂行していった。
その部下の1人が摂津真で、横顔がどことなく鷹野に似ていた。
ダンスが趣味だと言う摂津は、現地のボランティアとのコミュニケーションにロボットダンスを取り入れていた、
手足をコミカルに動かしながら、おどけた表情で地元住民の要望を聞いて回り、それを作業内容に取り入れる。
道路のちょっとした幅の修正や、休憩時間に関する事柄まで、摂津の存在は部隊には欠かせなかった。
特に子供達には人気があった。
摂津を見に来る家族連れまで現れた。
加瀬は一度、摂津に聞いたことがある。
「その動きは何がアイデアなのかな?」
摂津は笑って答えた。
「ハイ。恥ずかしながら漫画から取り入れました」
「漫画?」
「ハイ」
「そっかそっか…」
会話はそこで終わってしまった。
当時の加瀬は、漫画に影響される若者に嫌悪感を抱いていた。
しかし今はこう思っていた。
あの時、彼ともっと話しをしておくべきだった。
彼の懐に入るべきは自分だったのだ。