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2 - 第2話『これが楽しい"片想い"?』

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2022年09月16日

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よく聞く話だ。


《恋は片想いの時の方が楽しい》


両想いになってしまったら、相手の嫌な所がすぐ目に付いてしまうから。

恋に、相手に溺れて、卑しい自分が出てきてしまうから。

だから、自分のモノじゃないって分かっている片想いの時が1番楽しいんだってさ。


「そんなの、嘘だよ」


光の消えた目を窓の外に向けながら、私はポソリと呟いた。

視線の先には、友達と楽しそうに話をしながら歩いている彼がいる。

その笑顔は眩しくて、私の目に光を戻してくれる。

だけど、その光は心まで届いてくれない。

私の心は真っ暗だ。


『そんな誰にでも優しいと、皆好きになっちゃうよ?』


『ははっ、それは嬉しいけど。残念。俺、もう好きな奴居るから』


それは何気無い会話だった。

その頃は、まだ好きじゃなかったのに…。

背が高くて温厚な彼は、誰からも頼られる優しい子だ。

間違ってる事はちゃんと叱ってくれるし、自分の意見も真っ直ぐ伝えてくれる。

それでいて嫌味な所なんて全然無い。

私は彼と仲が良かった。

周りの人から見たら、多分、特別に仲が良かった。

だけどそれは、ただ会話が弾む方だっただけ。

ただ、私が誰よりも早く彼に声を掛けただけ。

私も特別な感情なんて無かった。

皆に好かれている彼と仲が良い事に優越感を感じていただけだったのに。

いつの間にか好きになってしまっていた。

気持ちを自覚して、すぐにあの会話を思い出した。

自覚した瞬間…いや、自覚する前から失恋は確定していたんだ。


「君は私と特別仲が良いじゃん…だったら…好きなのも、恋人だって、私で良いじゃんっ」


ぎゅうっと苦しくなる胸に耐えきれず、ポロポロと涙が溢れ出す。

窓の外の彼がぼやっと歪んでいく。

あぁ、教室に1人で良かった。

彼が目の前に居なくて良かった。

きっと彼は、心配して駆け寄ってきてしまうから。


「好きだって…ずっと気付かなきゃ良かったのにッ」


片想いが楽しいのなら…


誰か、その楽しさを教えてよ。




___END___

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