「やあやあお兄さん」
「や…やめろ…!こっちに来るな…!」
「今日は星が綺麗だねぇ」
な…なんだよ…!何なんだコイツ!
足音がしない…気配も無いぞ!
「お前…一体何なんだ!」
「私?私はねぇ…」
「ただの掃除屋、だよ」
「やめろ…やめろぉぉ!」
「じゃあね、お兄さん」
バンッ
「もしもしボスー?依頼完了ー」
いつも通り、普通に仕事を終える。
「お掃除お掃除ーっと」
もうこの仕事も慣れたもんだ。
「さーて、帰りますかー」
飯でも食いに行こうかなー
「ねぇ…お姉さん?かな」
不意に呼び止められる。
振り返るとそこには少女が。
「どうしたんだい?こんな夜中に」
「私も連れてって」
……これは…
「それは、私が誰だか分かっててかい?」
「当然。じゃなきゃ連れてってなんて言わない」
……………参ったな……
私みたいな子供はもういなくていいのに…
「あのねお嬢ちゃん。こんな世界に首を突っ込んじゃいけない。君には未来があるだろう?」
「私はもうここでしか生きられない。だって、そう育てられたもの」
…この子もか…
「……本当は、もっとまともに生きてほしい」
「…無理なの」
少女は俯きながら話す。
「私…何をするのにもその事しか出来なくて…日常の事でさえ…」
…かなり昔からこの業界にいるみたいだ。
「……じゃあうち来る?」
「…!お掃除?」
「…ううん」
少女は首を傾げる。
「私が、君をサポートする。だから、君は普通の子に戻りなさい。笑って、泣いて、沢山遊んで、よく眠る…そんな、当たり前の日常を送る子供に」
私がそう言うと、少女は驚いた顔をして、
「私…そんな生活していいの…?」
「もちろん」
すると少女は泣き出し、
「ありがと…」
と小さく呟いた。
「それで…君の名前は?」
「私は…リンネ」
「リンネ…いい名前だね」
私とリンネ…どんな生活になるだろうか。
そう思いながら、私はゆっくりと天を仰いだ。
コメント
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短編きたー!!!!✨ 雰囲気からもう好きです!!ストーリーがどう進むのか楽しみです!!