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共鳴の果て、君は神話になる

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共鳴の果て、君は神話になる

5 - エピローグ『共鳴の果てに』

2025年03月22日

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エピローグ『共鳴の果てに』


空は、変わらずそこにあった。

雲は流れ、星は巡り、風は今日も誰かの頬をなでるように吹いている。


けれど、確かに“何か”が変わり始めていた。


アークの高層区。夜の展望回廊で、一人の少女が空を見上げていた。

——ノア。


浮遊艇《ヴォイス・アーク》が出発してから数日。新たな旅の準備を整えるまでの短い休息。

けれど、その短さが愛しく思えるほど、彼女の心は確かに動いていた。


背後には、ルウの柔らかな足音。


「また空を見てたんだね」


(空は、常に変わる。けど、本質は変わらない)


「うん。……私も、そうでありたいな」


“共鳴の塔”での出来事。

仲間たちとの出会いと別れ。

心の奥にあった恐れと、そこから生まれた光。


——すべてが、声として残っている。


ノアはそっと、胸元の紋章に触れる。

それはただの印ではない。

彼女の旅の証であり、誰かに応えたいと願った“意志”のしるし。


「もしも……この先、私の声が届かない場所があったとしても。

それでも、わたしは“呼び続けたい”って思う」


ルウは黙って寄り添った。

その沈黙は、肯定だった。


「きっとまだ、世界のどこかに眠ってる声がある。

それを見つけて、手渡して、また次の人に繋いでいく……

それが、わたしの——生きる意味、なのかもしれない」


夜風が吹いた。


その風は、あの日塔の頂で感じた“応え”に似ていた。


ノアは目を閉じる。


——声は、どこまでも続いている。

目には見えなくても、確かにそこに在る。

だからこそ、彼女は前に進める。


やがて、東の空に微かな光が差し始めた。

新しい朝がやってくる。


ノアは静かに言った。


「行こう、ルウ。まだ知らない声が、私たちを待ってる」


(ああ)


そしてふたりは歩き出す。


それは、ひとつの物語の終わり。

けれど、すべての物語の——始まりでもあった。


——“共鳴の果て、君は神話になる”。


エピローグ・完

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