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その日の真夜中、遂に『エルダス・ファミリー』はシャーリィ達に対して総攻撃を開始。凄まじい銃声は十六番街全域に轟き、マズルフラッシュは辺りを明るく照らすほどであった。
「こりゃすげぇな、お嬢達は大丈夫か?」
「凄まじい銃声ですな。それに、機関銃の類いもあるようですな」
「どれだけの銃を提供したのか分かりませんが、採算度外視なのは間違いないでしょうね。それだけシャーリィを始末したいと」
三人は夜のメインストリートから見える閃光を横目に目的地へと歩く。
「気に入らねぇな、お嬢のお陰で儲けてるようなもんだろ」
「欲が出たのですよ。シャーリィに牛耳られる恐怖と、農園の利益をまるごと手に入れたいと言うね」
「度しがたいですな。過ぎたるは猶及ばざるが如し。欲をかき過ぎれば待つのは破滅のみ」
「東方の言葉か?旦那。良い格言だな」
「東方人は良い言葉を知っております。決して野蛮人などではありませぬよ」
しばらく歩くと目的地が見えてきた。
「おいおい、真夜中なのに灯りが付いてるぞ」
支店は真夜中にも拘らず明かりが灯され周囲には柄の悪い男達が徘徊していた。
「当たりみたいですね」
「どうする?何か策があるなら聞くが」
「今回は下手な小細工なしで行きます。つまり真正面から襲撃して皆殺しにしますよ」
「それはまた豪快だな、シスター。『ターラン商会』の奴はどうする?」
「貴方に見分けが付きますか?ベルモンド」
「いいや、無理だな。あいつらは共通の制服なんて着てないしな」
あっさり諦めるベルモンド。事実『ターラン商会』構成員には決まった制服などは存在しない。
唯一見分けが付くのは、マーサの熱狂的な支持者でピンク色の装飾品をしていることだけである。
「では運がなかったと諦めてもらいましょう。間接的にシャーリィと敵対したのです。躊躇する必要はない」
「了解だ」
「全員で真正面から攻めるのは反対させていただきます。逃亡を防ぐために裏手から回るのもお忘れ無く。秘密の脱出路があるかもしれません」
セレスティンが意見する。幹部マクガレスを討ち取ることが目的である。取り逃がしては意味がない。
「では、私が少しだけ頑張ってみましょう。マクガレスは私が仕留めます。二人は他を始末してください」
「策があるのか?」
「特別なことはしませんよ、普段やってることをやるだけです」
カテリナは一人で支店に近付き、見張り達に声をかける。
「こんばんは、お兄さん達。ちょっと良いかしら?」
カテリナが普段使わない口調で見張りに語りかける。
「ん?なんだ?こんな真夜中に危ないぜ……!?」
振り向いた見張り達はカテリナの美しさに息を飲む。
白い抜群のスタイルを誇り目鼻立ちもくっきりしたカテリナは肌をさらす青いドレスを纏い、彼女の銀の髪が月明かりに照らされまるで幻想的な雰囲気を醸し出していた。
「何だかうるさくて眠れないのよ。お客も居ないし、ここで匿ってくれない?サービスするわよ?」
そう言いながら妖艶な笑みを浮かべるカテリナ。
自身を見せ付けるように体をくねらせて、甘い声を出して男を誘う様はまさに娼婦。
それもかなりの上玉であることを示していた。普通ならば大金を払わなければ決して相手に出来ないその姿は、男達の劣情を否応なしに刺激する。
ただでさえ退屈な仕事をさせられている彼らは暇と鬱憤をもて余しており、真夜中の来訪を怪しむことはなかった。何かあっても女一人なんてどうにでもなると考えていた面もある。
「へへへっ!確かに今夜はうるさいよな。良いぜ、入りなよ」
「あっ、おい!良いのかよ?兄貴にどやされるぜ?」
「固いこと言うなよな。兄貴だって楽しめば機嫌も良くなるさ。俺たちもおこぼれをもらえるだろうしなぁ」
見張りの一人は下衆な笑みを浮かべてカテリナを嘗め回すように見つめる。
「ふふっ、満足させてあげるわよ?そうね、銀貨一枚で相手をしてあげるわ」
「銀貨一枚!?俺もやるぜ!こんな上玉、下手すりゃ金貨一枚は掛かるんだからな!」
「おっ!俺もだ!」
興奮する見張り達は警戒することもなくカテリナを支店へ招き入れた。
「マジかよ、あっさり中に入っていったぞ?」
「こんな夜半に来訪するなど警戒すべきであるにも拘らず。未熟ですな」
それを影から観察するベルモンド達も行動に移る。
一方店内に通されたカテリナは二階の奥にある部屋に連れていかれる。
「兄貴、ちょっと息抜きをしねぇか?かなりの上玉を連れてきたぜ」
「ああ?こんな真夜中に……わぁぉ。こいつぁすげぇ」
一瞬警戒したマクガレスはカテリナの美貌を見て目を見開く。
「あなたが偉い人?今夜匿ってくれるなら色々凄いことしてあげるわよ?」
カテリナは妖艶な笑みを浮かべてマクガレスに近寄る。
「では兄貴、お楽しみを。後で俺たちにも回してくださいよ?」
そう言って副官らしき男は部屋を出る。
「ふふっ、早速楽しいことをしましょう?」
パサリとカテリナは自らドレスを脱ぎ捨て、その美しい裸体を惜しみ無く曝け出す。マクガレスに考える時間を与えないようにするためだ。
「随分積極的だなぁ?最近イライラしてたからちょうど良いぜ。ほら、サービスしてくれよ。楽しませてくれたら金貨やるからよ」
マクガレスは毎日エルダスから受けるプレッシャーでイライラしており、気を紛らせるチャンスに飛び付き服を脱いでカテリナを抱き寄せる。
「あら、それならいっぱいサービスしてあげなきゃね?ふふっ」
二人の影が重なり、淫らな音と甘い吐息が室内に響く。
しばらくしてマクガレスはカテリナをベッドに押し倒して、そして覆い被さる。いつの間にか枕元にカテリナが着ていたドレスが置かれていることに気付かずに。
「……ぁー……こりゃあ良いや、こっちも上等じゃねぇか……」
恍惚とした表情を浮かべるマクガレス。
それを見上げるカテリナは、静かに笑顔を浮かべる。
「ねぇ、知ってる?」
「ん?何がだ?」
いつの間にかカテリナの右手は枕元に向かっていた。
「男ってね、入れる前が一番警戒してるの。一番大切な時だから、それが本能ね。でも」
右手が素早く動く。
「入れたらそれ以外考えられなくなるんだよ、特にお前みたいな小物はな」
「がげっ!?」
枕元にあるドレスに潜ませていたナイフを持った右手が一閃して、マクガレスの首に深々と刃を突き立てる。
「うちの娘に手を出したんだ。まさかお前、自分が生き残れるとか思ってねぇよな?」
クグッッっとナイフをゆっくりと左側へ移動させながら喉を切り裂く。左手はマクガレスの顔を掴んで逃がさないように抑える。
そして切り裂かれた喉からは大量の鮮血が溢れ出して、カテリナの豊かな乳房や真っ白な肌を赤く染めていく。
「けっ!?……げっ!?」
マクガレスは両手でカテリナの右手を掴み抵抗しようとするが、力が入らないのか意味をなさない。
「一つだけ、お前の命が役立ったことがある。シャーリィに教訓を与えたことだ。それだけは感謝して、今ここで殺してやる。シャーリィに引き渡されるよりよっぽど幸せだ」
ズバンッッっと完全に喉を切り裂いて、そのまま身体を押し退け押さえ込む。
「ーっ!!……っ!……」
マクガレスはしばらく首を抑えて必死にもがいていたが声を出すことも出来ず、しばらくすると動かなくなる。
「ちっ、粗末なもん突っ込みやがって。そっちも役立たずですか」
中に入ったままの萎えたマクガレスの逸物を引き抜きながらカテリナはベッドから立ち上がる。
赤く染まったベッドとマクガレスの死体をチラリと見て、近くにある水桶の水を頭から被り裸体に付いた血を洗い流す。
「ドレス、使い物にならねぇなこりゃ」
血塗れのドレスを見てため息を吐くカテリナ。お気に入りだったのにと内心うんざりしながら、代わりの服を探すのだった。