テラーノベル
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グループは、翔太の突然の失踪に大騒ぎだった。
会社も巻き込んで、捜索が秘密裏に行われたが、翔太はどこにも見つからなかった。
俺だけに聞こえる、人形の声が、錯覚であればいいのにと願いながら、翔太が見つかることを俺は心から祈ったが、その祈りはとうとう届かなかった。人形館に行った直後、現実の翔太はその消息を一切絶っていた。
🩷「どこ行っちまったんだろ」
佐久間が呟く。
💛「あいつだって子供じゃない。何か事情があるんだろう」
❤️「そうだよ」
🧡「言いたないけど、何か事故とか、事件とか…」
🖤「康二」
不安なのはみんな同じだ。
めめの諌めるような口調に、康二は口を噤んだ。
みんな、俺のことを気遣ってる。それが痛いほどわかって、苦しかった。
一番年若なラウールが俺に明るく話しかけて来る。
🤍「阿部ちゃん、心配ないよ。何かきっと理由があるんだよ」
💚「大丈夫だよ、ラウール。ありがとう」
💜「俺も休みは、一緒に心当たり探すからさ」
💚「ありがとう」
ロッカーには、『翔太』が待っている。
暗くて狭くてイヤじゃないといいな、と思う。8人のまま、ダンスの練習が始まった。
翔太のための、俺たちの新曲。
翔太が歌うことも、踊ることも一番楽しみにしていた曲。
それを代わりのダンサーに入ってもらって踊る。
一通り何度か踊った後で、フォーメーションを変えて、主役不在のバージョンを練習した。
その回数が、本来の形よりも多いことに気づいて、俺は少し傷ついた。
仕方ない。
これも、現実なんだ。
誰も何も言わず、何となく盛り上がらないまま、練習は終了した。
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