テラーノベル
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「こんな歳で隊長なんてなめてるのか?」
「ろくに能力も使えないくせに。」
うるさい。耳障りだ。僕の何を知ってるんだ。お前なんか、お前らなんか……
鳥のさえずり、目覚まし時計の甲高い音。
白いカーテンがなびきその隙間からは穏やかな光が差し込んでいる。
レースが施してある可愛らしいカーテンは別世界の僕の趣味だろうか。
なんだか気持ちの悪い奴だと自虐する。
眠いのか大きく空く口を止められない。
昨夜は悪夢を見た気がする。
四季「おはよう!レン……」
彼は昨日のクソガキか。そんな調子で話してくるのは辞めてほしい。
氷介「僕はレンじゃない。その不愉快な面見たくないから隠せ。」
四季「……そーだったな。お前はもうレンじゃないんだもんな。」
彼のさっきの笑顔が嘘みたいに陰り、軽蔑の目でこちらを睨む。その目には少しの寂しさが宿っている気がした。軽蔑したいのはこっちの方だ。鬼と共に暮らしている別世界の僕にも心底呆れる。全てが不愉快なんだ。
教室に入った時も、誰として僕に話しかけることはなかった。まぁ当然だ。僕だって話したいわけじゃない。こんなヤツらと話したって低脳が移るだけなんだから。
無陀野「今日はチームワークを育む。」
無陀野「ふゆう………伊都も参加だ。」
無駄なことを…僕も参加だと?こいつらとチームワークを育む必要性を1ミリだって感じない。僕は桃太郎なのに。
氷介「はあ?僕がなんでそんな面倒なことしなきゃなんないんだよ。ついに頭でも狂ったか無陀野。」
無陀野「いたって正常だ。昨日言ったはずだ。お前も鬼の仲間だと見なすと。」
確かに仲良しごっこをしてやるとは言ったが、能力を晒すようなことは無理に決まっている。この男の身勝手さには心底腹が立つ。
すると横にいるあのクソガキがプルプル震え出した。鬼ってやつはこんな変なやつばっかなのか?やっぱり救えないな。
そんなことを考えていた。
不意に彼が僕の胸ぐらを掴む。そして俺の顔にパンチをお見舞したかと思えた。
だが僕だって一隊長だ。無陀野の速さにはついていけなかったが、こんなクソガキのパンチくらいは軽々と防げた。
氷介「なんだ?僕に普通の暴力が通用するとでも?」
さらに小刻みに震えている。
怒りや恨みでたくさんの顔。僕はよくこんな顔を見てきた。
でも、それだけではなかった。
四季「……おまえ、いい加減にしろよ…!!」
怒りの声。今にも殴りかかって来そうな。でもその中に恋しさと切なさが混じっている。
四季「レンの顔で好き勝手言ってんじゃねぇよ!!なんなんだよ…なんで別世界のお前はこんなのになってんだ…!」
声が震えている。彼の目がきらりと光る。そしてそれがポロポロと落ちてくる。
僕の服を強く掴んで離さない。どんどん崩れていく彼はとても小さく見えた。
四季「帰ってこいよぉ…レン……」
荒い息遣いとしゃくり上げる声だけが響く。
この年頃だ。人前で泣くのなんて人一倍恥ずかしいだろうに。なんでお前は泣くんだ。僕…いや、“彼”のために。何故怒れるんだ。何故求めるんだ。
僕にはどうしても —
「わからない。」