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#誕生日
かんすい
それは、最初から嘘だった。
きっと、最初にそう言ってしまえば、
全部まとめて片づけられたのだと思う。
あれも、これも、
信じたことも、
疑ったことも。
全部、嘘だった、と。
でも私は、
そうしなかった。
信じていた時間は、
確かにあった。
誰かの言葉を。
自分の感情を。
見たはずの光景を。
それらが本当だったかどうかは、
今となっては分からない。
証拠は残っていないし、
周りも覚えていない。
それでも、
何もなかったとは言えなかった。
もし全部が嘘なら、
あのとき感じた重さは、
どこから来たのだろう。
怖さも、
期待も、
安心も。
作り物にしては、
あまりにも、ちゃんとしていた。
信じたから、
進めた日がある。
信じたから、
立ち止まれた瞬間もある。
それが嘘だったとしても、
私の選択まで、
嘘になるわけじゃない。
そう思いたかった。
たぶん、
嘘かどうかよりも、
大事なのはそこだった。
世界は、
説明をくれない。
正解も、
不正解も、
後からは分からない。
ただ、
信じたほうにだけ、
時間が積み重なっていく。
だから私は、
今日も選ぶ。
信じるか、
信じないか。
どちらを選んでも、
「最初から嘘だった」と
言えてしまうのなら。
それでも私は、
信じていたほうを、
自分のものにしたい。
嘘だったとしても、
それを選んだ私は、
ここにいる。
それだけは、
今も、確かだ。
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