テラーノベル
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夜の風が少し冷たくなってきた。
塾を出ると、入り口の前で誰かがスマホを見ながら立っていた。
その人影にすぐ気づいて、らんは歩く速度を少しだけ早める。
🎼🌸「……いるま」
🎼📢「よ。ちゃんと来たな」
いるまは、笑った。
手を振るでもなく、ただ自然体でそこにいた。
それだけなのに、心があたたかくなる。
誰かが“待っていてくれる”というのは、こんなにも心強いのかと思った。
塾の明かりから少し離れて、二人で歩く帰り道。
時間は21時過ぎ。らんにとっては、家に帰りたくない“魔の時間帯”だった。
🎼📢「なあ、今日もあの家、戻るんだよな?」
いるまの言葉に、らんは無言で頷いた。
🎼📢「……ほんとに、きつくなったら言えよ。俺、わりと本気だから」
🎼🌸「……わかってる。でも、今は……」
“弟たちがいるから”とは言えなかった。
あの家に、らんを必要とする人はいない。
でも――らんが守りたい人は、確かにそこにいる。
なつとみことは、まだ子どもだ。
あの親に歯向かえば、きっと標的が変わる。
それだけは、絶対に避けたい。
歩道の端で、信号が赤に変わった。
立ち止まったそのとき、不意にいるまが言った。
🎼📢「なあ、らん。俺、しばらくお前の“送り迎え”していい?」
🎼🌸「……え?」
🎼📢「理由は……俺が安心したいから。自分勝手だけど」
らんは小さく笑った。
こんなわがまま、今まで一度も言われたことがなかったから。
🎼🌸「じゃあ……わたしもわがまま言っていい?」
🎼📢「ん?」
🎼🌸「しばらく、……一緒にいて」
信号が青に変わった。
ふたりは、肩を並べて歩き出す。
今夜は、少しだけ怖くない。
この時間が、終わってしまわなければいいのにと、そう思った。
コメント
2件
方を並べて歩いたっていう表現最高(>_<)
主様お疲れ様です✨️💜🩷尊すぎます✨️可愛いすぎます✨️続き楽しみです✨️無理しない程度に投稿頑張ってください