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北海道はー??笑
20歳の夏。やっと来れた念願の地。北海道。
沖縄育ちで、暑がり。暑いところなのに暑がりというなかなかに最悪な体質で生まれた那央。
暑がりだからか、どこに行ってみたい?と聞くと、必ず「北海道!」と答えていた。
那央の母親は、那央が北海道に行きたいという度、「うちはお金が無いから行けないわよ。」と振り払っていた。
その頃の那央は本当にお金が無いと思っていた。だが、育っていくにつれて那央はこの家にはまだお金があるんじゃないかと思い始めていた。
家や那央の服、ご飯などは質素で、外から見たらただの貧乏な家庭だと思えた。那央も同様、そう思っていた。
育って行くにつれ、母親の身の回りのものが高価なものだということが分かってきた。ものすごく高いブランド物のバッグや服、アクセサリー等。様々な物がブランド物で統一されていた。
あの服やアクセサリーがなければどれだけ贅沢な物が食べれていたのだろうか。と、那央は何度思ったことか。食べ物だけでなく、前々から行ってみたいと言っていた北海道にも行けていたのではないかと思っていた。
そんな母が憎くてしかたがなかった。中学2年の時の春休み後半。父が交通事故で亡くなってしまった。弟の幸樹の習い事の帰り道で、幸樹も一緒に他界してしまった。
憎くて仕方がない母とこの先ずっと生きていかなきゃ行けないのか。そう思うと胸が苦しくて仕方がなかった。
数日後、朝起きてリビングに行くとテーブルに一通の手紙と、分厚い封筒がいくつか置いてあった。
那央は封筒の中身がお金なのではないかと思っていたが取り敢えず手紙を読んでみることにした。
那央へ
お母さんは少しの間帰ってきません。置いてある封筒の中にいくらか現金が入っていると思うので、それで生活してください。高校や大学でお金が必要になるようでしたら、下の番号にかけてください。バイトをしたいならバイト先に事情を話して勝手にバイトしてください。お金がいる以外で電話をかけてこないでくださいね。
0123-xxxx-xxxx
やっぱり。と那央は思った。
封筒の中を見てみると、ざっと100万くらいのお金が入っていた。これだけあれば、お父さんも幸樹も居るうちに北海道へ旅行に行けたんじゃないかと思ったら母への憎しみや怒りが沸いてきた。だが、ここで苛苛してもどうにもならないので、朝ごはんを手短に済ませ、学校に行くことにした。
ガラガラガラ
おはよ〜
漓李(りい)『那央おはよ!
漓李は朝から元気だねぇ
漓李『逆に那央は元気無さすぎ!なんかあった?
……漓李にはバレちゃうもんなのかね、、
漓李『やっぱり!じゃあ今日も、お昼屋上で食べよーね!その時話聞いたげる!
ありがと。
漓李は私の親友だ。小学校5年生の時に転校してきた女の子で、一人ぼっちだった私に唯一声をかけてくれた。
当時の私は声掛けてもらえるだけでも嬉しかったのに。その時に相談にまで乗ってもらえて本当に助かった。
小学校から中学校。ずっと仲良しでいさせてもらってる。 漓李の家はお邪魔したことは無いけれど、散歩をしているとたまに通り掛かる。
外見からして”お金持ち”って感じの家で、那央の家とは正反対だった。
お昼休み
漓李『那央〜!!屋上行くよ〜!
はぁい
うちの学校は給食ではなくてお弁当。
正直、今の那央にはお弁当の方が良かった。
なぜなら、給食費を払わなくて済むし、自分であまりお金のかからない献立で過ごしていけるからだ。
璃李『那央おそーい!!先行ってるよ!
璃李ごめーん先行ってて〜
少々お弁当を取り出すのに手間取っていた那央はお弁当を取り出し次第、屋上へ向かった。
ガチャ
璃李『やっと来た〜遅いよ〜
ごめんごめん笑お弁当取り出すのに時間かかっちゃってさ
璃李『成程〜まぁいいやお弁当食べよう!
うん。
2人『いただきまーす!
ŧ‹”ŧ‹”( ‘ч’ )ŧ‹”ŧ‹”
璃李『そういえば那央は朝何悩んでたの?
あ〜……うち、春休みにお父さんと幸樹死んじゃったじゃん?
璃李『そうだね、
それでさ、春休み中はまだお母さんも居たんだけど、今日の朝机見て見たらお金の入った封筒と電話番号の書かれた手紙があったんだよね、
璃李『……その手紙ってのは?
なんか、しばらく家に帰りません。このお金で何とかしてください。必要なことがあったらここにかけてきてください。って感じ。
しばらくって書いてたけど多分アレはもう家に帰ってこないと思うよ。
璃李『そっか、ついに那央が家で1人になっちゃったか……
一人って言っても学校で璃李と話せるじゃん笑
璃李『そうだ!
なになに?
璃李『あたしが那央の家に住み込めばいいんじゃない!?
え、?ちょっ、
璃李『シェアハウスみたいな感じで!!家賃は払うし、洗濯とか出来ることやるよ!
ねぇ璃李あたしの話聞いてる?
璃李『えっ!?何か言ってた?
はぁ…
璃李は天然なところがあって可愛いところでもあるんだけど、正直に言われると少し心に刺さることもある。
だからね?急にそんなこと出来るわけないじゃんって話。璃李の家の事情もあるだろうし、家も人が住めるような綺麗な場所じゃないし…
璃李『家なら今から電話して確かめればいいし、部屋が汚いならあたしと一緒に片付けすればいいじゃん?
……..はぁ…
璃李『ね!どうかな!
……璃李の家がいいって言うなら…悪くなくもないけど…
璃李『やったぁぁぁぁ!
まだいいって決まったわけじゃないからね!?
璃李『電話かけるね!
わ!予鈴だ!!
璃李『やば!急がないと!!
ダダダダダッ
璃李『遅れました!!
ごめんなさい!!
先生「まだあと1分ありますから、焦らずに席に着いてください。
ギリセーフ!!
璃李『危なかった〜!!
日直「授業を始めます。
日直「授業を終わります。