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美しい紫陽花が咲き乱れる後宮の庭で、色とりどりの絨毯が敷かれて、姫君達や女官達が遊びに興じている。
私はエリアス様にお招きのお礼と挨拶をするため、白の絨毯の上に紫の紫陽花のドレスを着たエアリス様の元に向かった。
エリアス様は今日も美しく、アクアの瞳とシルバーの髪に、濃い紫と淡い紫の紫陽花の花のドレスがとても良く似合っていた。
「エリアス様、本日はお招きいただきありがとうござ…」
「よくきましたね。
マリーナ。
見違えたように似合っておりますよ、そのドレス。
さぁ、ここに座って。」
エリアス様は自分の隣の席を指さす。
「と、とんでもございませぬ。
私は…」
「今日のそなたは女官にも引けを取らぬ美しさ。
堂々としていれば、誰も何も思うまい。」
エリアス様がそう言うので、隣に座れば、姫君や女官から黄色い歓声があがった。
シャルルダルク様とレガット様がお二人揃ってお見えになったのだ。
2人は顔を赤らめる姫君や女官を放って、私の隣に腰を下ろした。
「誰なの!?
あの小娘は!」
「エリアス様のお隣なら、高位の女官なの!?」
「誰よ、あれ!?」
皆が囁き、私を睨みつける。
「困ります!
シャルルダルク様、レガット様!
皆が見ておりますゆえ!」
私は小声でそう言った。
「オレは構わぬ。」
レガット様は動く気配がない。
「ふん。
俺もだ。」
シャルルダルク様も言う。
「ほほほ。
モテますね、マリーナ。」
エリアス様は面白そうに言った。
その時!
「キャァァァぁぁぁぁ!!!」
高い悲鳴が聞こえた。
「誰か!
医者を呼んでたもう!」
私はドレスをまくしあげ、すぐさま駆けつける。
そこには、2位か3位の姫君が足首を痛めて倒れていた。
「足が折れておるかもしれません!
早う、医者を!」
周りの女官が言う。
「ちょっと見せてくだされ!」
私は言う。
「ダメじゃ!
素人には分からぬ!
キーラ様にもしもの事があっては…」
女官が遮る。
「見せてやれ。
この娘の腕は俺たちが保証する。」
シャルルダルク様が言い、レガット様が頷く。
女官は半信半疑で退き、私を通した。
私は足の4箇所を少し指圧し、キーラ様に痛くないかどうか確認する。
「そこは痛くはありませぬ…」
「折れてはおりませぬ。
捻挫でございましょう。
少々お待ちくださいませ。」
私は薬箱から、クチナシ湿布を取り出し、患部にあて上からガーゼをして、包帯で巻いた。
「出来る事はしましたが、後で医者にも見せてくだされ。」
その後、医者が到着した。
「折れてはおりませぬし…この手当は完璧でございます…一体誰が…?」
私はその時すでにドレスを脱ぎ、化粧を落とし、髪を雑に束ねて、紫陽花の会から逃げていた。
だいぶ目立ってしまったが、このボロ服の私とは誰も思うまい。
やはりあぁゆう場は性に合わぬな。
心からそう思った。