テラーノベル
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「当たり前でしょう。アタシ、淫魔ですもの」
そうだった。ノアが優しくて忘れていたが、本当は悪魔で淫魔なのだ。
ノアに服を脱がされ一糸纏わぬ姿となったレーナは、裸になるのは初めてじゃないのになんだか気恥ずかしくて手で身体を隠す。
ノアも服を全部脱ぎ、そっとレーナを抱き寄せた。
すると、ドクンドクンと早まる鼓動が聞こえた。
これは、レーナの心臓の音ではない。ノアだ──。
「分かる? レーナだけじゃない、アタシも緊張しているの。ねえ、お願いよ。そんなにアタシを拒絶しないで……」
切なげに見つめられたレーナは、黒眼ではなくて赤眼で見つめてほしいと強く思った。吸い込まれそうになる、ワインレッドの瞳が恋しい。
レーナは自分からキスをして、ノアを驚かせた。至近距離で見つめ合い、漆黒の瞳に自分が映っている。
でも、今欲しいのは漆黒ではない。
「ねえ、いつものノアがいい。元に戻って?」
「……! レーナはそうやってアタシを煽るのね、もう我慢しないわ」
金髪赤眼の元のノアに戻った彼を見て、こくんと小さくレーナは頷いた。
唇同士を合わせ、キスから始める。
「舌出して」
「ん……」
べ、とレーナに舌を出させて、ノアは自身の舌と絡めお互い舐め合う。ざらざらとした舌の感覚が、快感を呼び起こす。
ちゅうちゅうと吸われるのが気持ちよくて、もっと触れて欲しくなり「ノア……」と小さく名前を呼んだ。
「さわって……」
「もちろんよ」
じゅうと今までにないくらい胸の先端を強く吸われ、もう片方は捏ねくり回されたり摘まれで、強い快感がレーナを襲う。
今までレーナのペースに合わせてくれていたということがよく分かり、本当に遠慮しなくなったのだと思うと嬉しくてキスをねだる。
「ノア、キスして」
「仰せのままに、ダーリン」
胸を弄られながらキスをされるのはとても気持ちいい。舌同士が擦れて、唇の端からはだらしなく唾液が溢れたが、レーナはそれらを気にする余裕もなくて、ただひたすらノアから与えられる甘いキスを堪能した。
蜜口はかつてないほどに濡れており、ノアの指をすんなりと受け入れて、バラバラに動く指がある一点に触れたところでレーナは「ああっ!」と嬌声をあげた。
「ふふ、相変わらずここが弱いのね」
ノアはその一点を集中して責め続ける。レーナはこうされるのが弱いと知っているからだ。
「いや、だめぇ……!」
「だめじゃないでしょう?」
何度もそうされることで身体が快感を覚え、もうすぐ絶頂に至るのだと嫌でも分からされる。
レーナは与えられる快感に「だめ」とくり返すが、それが本当に嫌ではないことを知っているノアは動かす手を止めない。
「ん……! きちゃう……」
「いいのよ、イって」
「ああん!」
中で達したレーナは蜜口をひくつかせながら、はあはあと荒い呼吸をくり返した。
音をわざと立てながら蜜口から指を抜いたノアは、彼の指を汚したレーナの愛液を見せつけるように舌で舐めとったのだ。
「ノア、それ、汚いよぉ……!」
「汚くないわ、おいしい。アタシ、淫魔としての能力がやっと開花したのね」
ノアからフェロモンのようなものを感じたレーナは、かつてないほど身体が火照っているのが分かり困惑する。
「ノア、身体があついの、助けて……!」
レーナは急に火照り出した身体に戸惑いを覚える。こんなに熱くなったのは初めてだからだ。
ふうふうと熱い呼気で呼吸するレーナを見たノアは「アタシが淫魔として覚醒したせいね」と、あついとくり返すレーナに妖しく微笑んだ。
「淫魔は能力が開花すると、相手を誘惑するためにフェロモンを出すの。それが媚薬となって快感を呼び起こすのよ」
愛するノアからどこも触れられていないのに、全身がヒクヒクして疼いてたまらないレーナは淫魔として覚醒したノアの能力に驚く。
身体がノアを欲しがってたまらない。その感覚に自分が自分ではなくなったように感じるが、ノアと一緒なら怖くない。ただ「ノアはすごいね」としか言えなかった。
「レーナは相変わらずのんきね。ふふ、お馬鹿で愛しいアタシのレーナ……」
ノアは顔を近づけてキスをしてきた。
最近気づいたのだが、レーナと同じくノアもキスが好きなようで、いつもキスをしている時は機嫌がいいのだ。
なんてのんきに考えていると、蜜口に今までとは質量の違うそれが当てられて、レーナはうっとりとキスに酔いしれていたがはっと意識を下に持っていく。
よくよく見れば、屹立したノアのそれがくちゅくちゅと蜜口に触れていたのだ。
緩慢な動きがもどかしくて、レーナはついに言ってしまった。
「いれて」
まさか、そんなに直球で言われると思っていなかったノアは目を丸くした。
「ノアが欲しいの。ねえ、お願い。私とひとつになって?」
今こうして触れ合っているだけで幸せなのに、愛するレーナから「ひとつになって」と言われたら、淫魔としてだけではなくただの男として嬉しさが募り、ノアの胸は高鳴る。
「本当にお馬鹿な子……! もう優しくできないわよ……!」
ずんと一気に貫かれたレーナだが、不思議と痛みは感じなかった。異物感はあるが、それだけ。
それよりも、やっとひとつになれたことが嬉しくて、レーナは泣いてしまった。
「レーナ、痛いの?」
「ううん、違うの。大好きなノアとひとつになれたことが嬉しくて、泣いちゃった」
レーナが「ふふ」と穏やかに笑うと、中のものが大きくなった気がした。
「なんか大きくなった気がするんだけど!?」
「レーナのせいよ、これ以上アタシを煽らないで。……そろそろ馴染んだ頃かしらね、動いてもいい?」
「……もう。ノアの好きにして……」
「そういうことを言うなって言ってるのよ! このお馬鹿!」
腰を掴まれて、勢いよく穿たれる。
ズポズポ抜き差しされて、繋がってるところから卑猥な音が鳴る。
足を思い切り広げられとても恥ずかしいのに、あまりにも気持ちよすぎてそれどころではなかった。
「気持ちいいよぉ、ノアぁ……!」
「アタシもよ、レーナ……!」
どちゅんと奥を突かれる度に、ノアから搾り取ろうと離さない中にノアは持っていかれそうになる。
「中に出すわよ……!」
「うん、いいよぉっ、ノアの赤ちゃん、産みたいの!」
「淫魔冥利に、尽きるわねっ」
「ああっ、んぅ……!」
「くっ……!」
二人は同時に果て、ノアは精を注いだ。一滴たりとも溢してなるものかとペニスで栓をする。
「下のお口でごっくんしてね」
「うん、する……」
いつもより言葉責めがすごい気がするが、レーナは決して嫌ではなかった。ノアにえっちなことを言われると、より興奮して濡れてしまうのだ。
初めて中でノアの精を受け入れたが、中に注ぎ込まれるそれは熱くて『生』そのものを感じる。
ノアとのセックスは愛にあふれていた。お互いを思いやり、睦言を紡ぐ。なんて素敵なのだろう。
お互い身体を清め、ノアの布団に寝転んだ。レーナのベッドでは窮屈だからだ。
レーナはノアに引っ付いて離れない。そんな彼女を愛おしむように、ノアはそっと頭にキスをした。
「ねえ、ノア。私は『お手つき』になったけど、それ抜きにしてもノアのことが大好きだよ。ノアのお嫁さんになるのも嬉しい。でも……」
そこで言葉を切ったレーナは、続きを言うか言わないか逡巡したが、腹を括ると決めた自分を思い出し、続きの言葉を紡ぐ。
「私が魔界に行ったら、このお店はどうなるの?」
レーナの気がかりはレインの店の今後のことだった。真に結ばれたら魔界行きは免れないと信じ込んでいるレーナは、レインの後継ぎとなる者がいなくなってしまえば店を畳むしかなくなるのが嫌だったのだ。
ぽろりと一筋の涙をこぼすレーナを見て、ノアは自分が次期王だということを隠していたせいで愛するレーナを苦しめていたのだと気づき、己の浅はかさに猛省した。
「レーナ、アタシの独りよがりな気持ちであなたを振り回してごめんなさい。実は、レインと約束していたことがあるの。それはね、レインが儚くなるまでは、レーナを魔界に連れて行かないという約束よ」
レインにはレーナに黙っていろと言ったノアだが、悲しませてしまうのでは本末転倒である。正直に話しレーナを安心させることの方が大事なのだ。
それを聞いて安心したレーナは「そうなんだ、よかった」と小さく呟き、ふんわりと微笑んだ。
ノアはその笑顔が何よりも大切なのだ。
「まあ、レインのあの様子だと、あと二十年は生きてそうだわ」
レインはまだ六十代である。老体ではあるが元気もりもりの現役魔女なので、彼女はきっと長く生きることだろう。
ノアは皮肉っぽく言うが、彼もまたレインを大切に想っていることを知っているレーナは胸が温かくなる。
二十年もレインのそばにいることを許してくれているのだ。やはり、ノアは優しい。
「確かに。うちのおばあちゃんすごく元気だもんね」
レーナがおかしそうにくすくす笑うと、ノアも柔らかく微笑み返した。
そして、誰もが見惚れる美しい笑みでとんでもないことを言ってのけた。
「だからね、レーナ。アタシ達の子どもを五人ほど産んでほしいの」
「ご、五人!?」
いつかは自分とノアの子どもを産むことになるだろうとは思っていたが、まさか五人も欲しいと言われるなんて微塵も思っていなかったレーナは心底たまげた。
村の中では大家族もいるが、多くても三人きょうだいがいいところである。子どもが五人ともなると、ノアの所帯は大家族の仲間入りだ。
家族というものに憧れがあるレーナだが、五人は多くないかと言いたくなった。
しかし、ノアにはノアの考えがあるようで「まあ聞きなさいな」と言われ、口をつぐんだ。
「その中の一人はアタシの次代の王になってもらうけれど、レーナの子どもでもあるから、きっとあなたの血を濃く継いだ子も生まれると思うの。その子はきっと魔女の素質を持っていて、この店を継ぐと思うわ」
ノアの語る家族未来計画は、とても素敵なものだった。ノアの次の王様もいて、レーナの次の魔女になる。ノアの口ぶりから察するに、魔王の子は魔王が生まれるようだからそこは心配していないが、果たして魔女は生まれるのだろうか。
「どうしてそう思うの?」
「アタシの勘よ。でも、そうね。そうであってほしいと思うアタシの気持ちでもあるわ。レインの店は潰したくないし、レーナの想いがこもったこの店だけは残しておきたいの」
ノアという悪魔は、レーナの大切なものを尊重しここまでしてくれる。きっと、こんなに優しくてレーナのことを考えてくれる素敵なひとは、世界中どこを探してもいないだろう。
ノアとレーナの間に魔女が生まれる。たとえそれがノアの『勘』だとしても、ここまではっきりと言ってくれるのが嬉しかった。
「人間と悪魔、半分の血を持った子どもはどうしても悪魔に近い子が生まれる。普通の人間が生まれることはまずないわ。でも、魔力の高い子どもが生まれるから、魔女の素質を持ちつつ人間に近い子も生まれると思うの」
昔から『お手つき』があって魔族の人口が著しく減少しているわけではないのだから、ノアの言っていることは見当違いということもないのだろう。
魔族でありながら『魔女』になる子どもは歴史を見てもいないに違いない。
「アタシは強欲で賢い男だし、レーナはお馬鹿さんだけど努力と豪運の女なのよ? あなたのレーナという名前には『奇跡』という意味が込められている。そんなふたりの血を引く子なら、どんな困難も乗り越えられると思わない?」
ノアはウインクをしてそう言ってのけた。
もはや完全に勘である。
だが、それを信じてみたいと思ってしまうほど、ノアの言葉には重みがあった。
レーナの母レイズは子どもができにくい体質で、子を設けることは諦めていたのだが、そんな時にレーナを妊娠した。レーナの父キースはそれを『俺達の奇跡』といい、レーナと名付けたのだ。
レーナは底抜けに運がいい。
それは、両親からの愛が詰まった特別な贈り物なのだと最近思うようになったのだ。
「ちょっと納得できないセリフがあるけど、私達の子どもの子なら乗り越えられると信じてるノアを、私は信じるよ。それに、私は『レーナ』ですもの、きっと奇跡が起こるよ」
「ええ、そうよ。レーナの奇跡をアタシは信じてる。もし、本当に子どもが将来のことで困っていたら導いてあげるのも親の仕事になるわ。だから、アタシはもっと勉強するし、それはレーナにもいえることよ。お互い切磋琢磨して、共によい夫婦になりましょう」
「うん!」
未来のことは誰にだって分からない。それでもお互いを信じて進めることがこれほど嬉しいだなんて思いもよらなかった。
いつかの未来に想いを馳せつつ、レーナとノアは眠りについた。
そして、翌朝。
何も身に着けていない状態で目が覚めたレーナは、ノアはどうしているか確認すると、彼は先に起きていてレーナのことをずっと見ていたのだ。
「の、ノア!? なんでそんなに見てくるの!?」
「まずはおはようの挨拶からでしょう? おはよう、レーナ」
「あっ! ごめんなさい! おはよう、ノア」
「ん、いい子ね」
ちゅっと軽く触れるだけの可愛いキスをされ、レーナはふにゃりと笑う。こんなに満たされたキスをするのは初めてのレーナは、嬉しくてとろけるような笑みを浮かべた。
「レーナは本当に可愛いわ……」
うっとりとした顔をさせながら見つめてくる愛しの恋人に、ノアはそっと抱き寄せた。
「ノアもかっこいいよ」
「本当?」
「うん、こんなにかっこいいひと初めて見たもん」
ノアは王妃、つまり自分の母親の少女趣味のせいで女口調になってしまったという過去がある。幼少期から女口調であったし、可憐な見た目のせいで王子ではなく王女だと勘違いされることが多々あった。
王族なのでマナーは男性用のものを教えられたが、それ以外は自由に育てられた。ノア自身可愛いものは好きだし(レーナ限定)、女口調の自分が嫌いではなかった。
話し方を矯正されることもなかったし、のびのびと育ててもらったおかげで今の自分が好きだと胸を張って言える。
男らしさが求められる魔族において女性達からは避けられていたていたノアは、かっこいいとお世辞で言われたことならあるがレーナのように本心からそう言ってくれる者はいなかったので、ノアは嬉しくてたまらないのだ。
「アタシ、自分が好きよ」
「うん、私も自分が好き。お互い育った環境は違うけど、出会えてよかったなって思うんだ」
「あら、アタシも同じことを思っていたところよ」
「ふふ、私達仲良しだね」
「そうね。さあ、支度をしましょう。昨日の夜から何も食べてないから、さすがにお腹空いたわ」
仲直りしたら夕飯を食べさせるという約束で、レインにきちんと話し合うよう言われたのだ。
夕暮れ時から何も食べてないふたりは空腹のせいでお腹が鳴ってしまった。
「そういえばそうだったね……。おばちゃんにバレてるかなあ」
「何が?」
「その、昨日の夜のこと」
「そうね、レインは敏いから気づいていると思うわよ」
家族に好きなひととえっちなことをしていたのが知られてしまっているだなんて、あまりにも恥ずかしすぎる。
「うう、恥ずかしいよー! どんな顔して話せばいいのか分からないよ」
「別にいつも通りでいいんじゃない? 下手に何かしたらかえって気をつかわせるだけよ」
「そ、そうだよね。……あの、ちょっといい?」
「なあに?」
「身体が痛くて起きれない……」
レーナは腰と下腹部が痛くて動くに動けなかった。情けない声を出すことしかできない。
ノアと思うところはあったのか、珍しく素直に謝ってきた。
「……ごめんなさいね、アタシも初めてだったから加減できなくて」
「ううん、いいの……。あっ……!」
レーナは上体を動かして立とうとしたら、中から何かがこぼれ落ちて太ももを伝う感覚がする。
これは、もしかして……。
「どうしたの? もしかして、気分が優れない?」
心配そうにするノアに、レーナは正直に言うのが躊躇われた。
しかし、この後支度をするので嫌でもバレてしまうだろう。だったら、いっそのこと言ってしまえばいいのだ。
「違うの、その、起きたらノアのが出てきて……」
そのようなえっちな答えが返ってくるとは思ってなかったのだろう、ノアは少し赤面して「お風呂入りましょうか」と提案した。
ノアの魔法で水を大量に出し、魔道具でお湯を沸かし湯を張った。
風呂に入ることには同意したが、一緒に入るだなんて言ってなかったノアのこういうところがずるいんだよなあとレーナは思う。
動けないレーナは大人しく洗われることにした。
最初は丁寧に髪を洗ってくれていたのだが、洗う手つきが段々いやらしくなっていることに気づき、このままだとまたえっちなことをする羽目になるとレーナは慌てた。
「ノア、いくら五時過ぎとはいえ、ここでえっちなことしてたらおばあちゃんが起きちゃうよ!」
「いいじゃない、どうせこうなることは分かってたんでしょう?」
そう言って、泡だったボディーソープでいっぱいの手で弱い乳首を捏ねられる。
「はぁん!」
浴室にはレーナの甘い声が反響する。
乳首をいじめる手を止めないノアは、泡のせいでぬるぬるとした感覚にレーナの快感が高まっていることに気をよくする。
嬌声を我慢できないレーナはただ可愛がられることしかできない。
下腹部からは精液と愛液が溢れ出し、レーナの太ももを汚す。
「せっかく綺麗にしたのに汚れちゃうよぉ!」
「また洗えばいいじゃない」
抗議の声をやめないレーナの唇を塞ぎ、キスでとろけさせる。
レーナはこうされると弱いのだ。
すっかり陥落させられたレーナの身体はノアを受け入れる準備ができている。屹立した大変ご立派なペニスは蜜口に当てがわれ、くちゅくちゅと敏感なそこをもて遊ばれる。
それでも気持ちいいのだが、どうしてももどかしい。
「もう、いじわるしないで……」
「分かったわ、ダーリン」
質量の大きいペニスがレーナを貫く。こうされることがこんなに気持ちいいだなんて知らなかった。今までたくさんの快感を覚えさせられたが、男女の性器を正しく使うことで心も満たされるなんて思ってもいなかった。
何度も穿たれる度に、レーナは言葉にならない声を上げる。レーナは気持ちいいが、果たしてノアも同じなのだろうか。
気になってノアの顔を見ると、彼の顔は快楽で柳眉が下がり美しい顔はより官能的に艶めく。ノアという存在をこれでもというほどに感じたレーナは、心底彼に惚れ抜いているのでいとも簡単に落ちてしまう。
中がきゅうと締まったのが分かり、レーナは己の身体を制御できずにきゅうきゅうとノアの精を搾り取ろうとする。
「ちょ、レーナ……!」
ノアの言わんとすることは理解できるが、身体がいうことを聞かないのだ。
「むりぃ、いうこときかないの……!」
「ああもう、これだからレーナは!」
すぐに達したノアはレーナの中に再び吐精する。レーナも絶頂したせいで中はひくつきノアを離さない。
女になるってこういうことなんだと変に感心したレーナは、くたくたになりながらそんなことを思った。
私達何もしてませんよ〜風を装って食卓に着くが、動きがぎこちないレーナを見てレインはため息をついた。
「アンタ達、仲直りしろとは言ったけど、もう少し節度を持ちなさいよ」
「うっ……。はぁい」
遠回しに注意されたレーナは恥ずかしさで幼子のような返事をする。
ノアは話を聞いているのかいないのか、いつも通りに「分かったわよ」と言った。レーナには分かる。これは、ふてくされているのだ。
「おばあちゃん、私、しばらく──といっても、あと二十年くらいはこっちにいるよ」
レインはレーナの言葉を受けて、食べる手を止めて真っ直ぐ孫娘を見つめた。
「レーナはそれでいいのかい?」
「うん、私、魔女になるのが夢だったから。それに、家族は一緒にいるものでしょう?」
「レーナ……」
「おばあちゃんは私のおばあちゃんで、ノアは私の旦那さんになるの。……そうだ! 子どもは五人産む予定だから、賑やかな家族になるね!」
しんみりとした空気を一変させたレーナは、昨日聞かされたノアの大家族計画をまるっと受け止めていたのだ。
ノアの大家族計画にはレーナの夢も含まれているので、特に反対するところはなかった。
産むということは、きっととても大変なことなのだろう。
でも、底抜けに運のいいレーナなら何とかなると思っているのはレーナ本人だけじゃない。
だからこそ、ノアも五人と言ったのだろう。
「五人だって!? おまえはレイズと違って逞しいからお産の心配はしてないけど、だからといって無茶するんじゃないよ。分かったね、ノア!」
「アタシ!?」
まさか、自分に叱責が飛んでくると思ってなかったノアは素っ頓狂な声を出した。
「アンタはレーナにぞっこんだからね。……でも、うちの孫娘を頼んだよ」
そこにはレーナを想うただ一人の祖母の姿があった。レーナを深く愛する者同士、なんとなくだが以前より絆が深まった気がする。
「もちろんよ、レーナはアタシが幸せにするわ」
「当たり前だろう。話は変わるけど、昨日の魔獣騒ぎはアンタの姉さんがやったんじゃないのかい?」
レーナは驚いた。昨日の魔獣騒動は、レインの言う通りノアの姉ニアによる犯行だったからだ。
レインほどの魔女になれば、昨日のような出来事にも慌てず対応できるようになるのだろう。
レーナの目指すところはまだまだ遠そうだ。
「レインは本当に勘が鋭いのね。いたずら好きな姉は自分がやったと認めたわ」
「はあ、姉弟揃って破天荒なところも似てるんだね。本来なら罰は免れないよ」
「それは姉も承知しているはずよ。今回のことはアタシがずっと人間界に留まっていることが父の気を揉ませたのもあって、姉が独断でやったと思うのよね」
ふたりの会話を聞いて、違和感を覚えたレーナはその正体について考える。
まるで、ノアの本来の姿を知っているような──。
「ねえ、おばあちゃんの口振りから察するに、ノアの本当の姿を知っているような感じなんだけど、気のせい?」
ノアとレインは目を合わせた。ノアが王族で次期王であることは秘密にしておくと約束をかわしたからだ。
ふたりがかわした約束とは、レインが生きている限り、レーナを魔界へ連れて行かないことを条件に、レーナには王族であることを秘密にするといった、ノアが不利なだけの約束のことである。
しかし、レーナが店の今後のことで気に病んでいたことを知ったので、包み隠さずに話したのだ。
何をどこまで言うか逡巡しているレインに、ノアは「もう全部言ったわ」と苦笑しながら伝えた。
ノアが許可を出したのならと、レインも口を割ることにした。
「知っていたよ。上級悪魔で淫魔ノアといったら、魔王の息子で王子のノアしかいないからね」
あっけらかんとしたように言うものだから、レーナは虚を突かれた。
「知ってたのなら、教えてくれたらよかったのに!」
何も知らないせいで散々悩んできたレーナは、憎たらしげにレインをじっとりと見た。
「魔女なのに魔界のことを知らないおまえが悪いんだよ。もう一度魔女学園で勉強し直すかい?」
ぐうの音も出ない反論をされたので、レーナは小さくなる。全くもってレインの言う通りだからだ。
「ごめんなさい、私の不勉強でした」
「分かればよろしい」
それから食事は再開された。
腹ぺこの若者ふたりのことを考えてたくさんご飯を作っていてくれたレインにレーナとノアは感謝して、朝食を終えたのだった。
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