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私たちは清水寺の近くの小さな、2LDKのハイツを賃貸で借りた
最も、その頭金は私のなけなしの貯金の50万円を使った
彼には貯金がまったくなかったが、私はそんなこと気にしなかった
俊哉は小さな旅行会社の営業に就職し、私は百貨店のおみやげ物売り場で働き始めた
俊哉の仕事はお給料はあんまり良くないものの、旅行会社だけあって色んな所へ、社員割引で旅行できるのが特典だった
私たちは日本中を旅行しようねと笑いながら話し合った
実際彼が勤め出してすぐ私を兵庫県の、温泉宿に一泊で連れて行ってくれた、もちろん社員割引だった
割引で泊まれたものの、二人ともお金がなかったので、私はお土産に良さそうな温泉パックが欲しかったけど我慢した
彼は「ケチケチ旅行もなかなか良いものだろ」と笑った
その通りだと思った、私は彼と一緒ならどこでも何でも楽しめた
私達の新居の家具は全部(ニトリ)で揃えた、実家のイタリア製の家具やカーテンに比べれば、あまりにも安っぽくて驚いたけど、それでも家具は家具だ、良いところは値段だけだ
私は真っ白で無地のタンスやソファーに古着屋の、布などをかぶせてなるべく部屋を快適にしようと知恵を絞った
ある日行きつけのリサイクルショップで、フランス製の素敵なアンティークの花瓶を見つけた
私は一目で気に入った、昔母と父と言ったパリの裏道をあてもなく歩いた時に、母が骨董品屋で衝動買いをした花瓶に似ていた、大きさは10分の一だったけど
私は嬉々として買って帰って飾った