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【irxs】医者パロ

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【irxs】医者パロ

19 - 第18話 二度と言わせないから②

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2025年03月07日

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【お願い】


こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります

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ご本人様方とは一切関係ありません


小児科医青×天才外科医桃

のお話です


今回は時期外れですがバレンタインのお話です

(2024年の2/14に別サイトに投稿したものになりますのでご容赦ください)

桃視点




まろの元に向かうつもりではいたけれど、あんな場面を見せられては邪魔をしてしまうのも彼女がかわいそうだと思ってやめた。


医局から預かってきたチョコレートの類はそのまま持っている。

ただ帰る頃には自分の荷物も増え、鞄に収まりきらない量になったので秘書からもらった紙袋に入れ直した。


今日は残業にはならなそうだと聞いていたから、終業時間を合わせて駐車場へ向かう。


2人で兼用にするために買った車は今日はまろが乗ってきている。

いつもなら電車で先に帰っているところだけど、待ち伏せをする形で愛車に寄りかかるようにして立っていた。


「あれ、ないこ先に帰ったんちゃうかったん?」


予想時間より5分以内といった頃に、まろが姿を見せた。

だだっ広い駐車場には、街灯も最低限しか設置されていない。

暗い中でも俺の姿を認め、丸くした目をこちらへ向けてきた。


「んー、これ預かってたし、荷物多いから乗せてもらおうと思って」


まろ宛のチョコレートが詰め込まれた袋を掲げて見せる。

それにちらりと視線をやった後、まろは「…あぁ、それ」と呟いた。


「事務の子に言われたわ。『ないこ先生が持って行くって言ってたんですけど、受け取ってないんですか!?』って」


リモコンでロックを解除し、まろは運転席へ乗り込む。

それに続くようにして助手席のドアを開け、俺は後部座席にその荷物を置いた。


「いや、持っていこうとしたんだけどさ。取り込み中みたいだったから」


にやっと笑って言うと、「え?」とまろは怪訝な目をこちらに返す。


「かずくんに意地悪言われてた子のクッキー、もらってあげてたじゃん」


そう言うと、「…あぁ、あれ見とったん」とまろは小さく言いながら、手にしていた鞄とその他の荷物を後ろに置いた。


恐らく俺が持ってきたチョコ以外にもたくさんもらったんだろう。

紙袋は2つになり、どちらも溢れそうなほど詰まっている。

1番上にはあの少女が持っていたクッキーの袋があった。


「え、めずらし。それ見てないこが拗ねてないなんて」

「お前さ…俺を何だと思ってんの? あんなちっこい子にそんな大人げない感情持つわけないじゃん」

「子供ちゃうかったらどうなん」


言われて「いちいち拗ねるわけないじゃん」と即答しかけた唇を止めた。

…いや、想像してみたけれど、これがきゅるきゅるんとしたあざとさ全開の看護師だったらイラつきぐらいはしているかもしれない。


「まぁ今回は惚れ直したかな。あとあのくそガキに『好きな子には意地悪してないで素直にならないと嫌われる』って教えてやりたい」

「んはは」


あれもかずくんのかわいいとこなんやけどな…なんてまろは苦笑いを浮かべている。


だけど何かを思い出したように、「そうや」と呟いた。

エンジンをかけないまま、ハンドルにもたれかかるようにしてこちらを覗き込むように見やる。


「ないこからはないん?チョコ」

「はぁ?」


あるわけねーじゃん。

こんなにもらっておいて何言ってんの?

現実問題2人でこの山を食べ尽くすのもこれから大変で、何日かかるか分かったもんじゃないのに。


「ふーん」


おもしろくなさそうに呟いたまろは、後部座席に投げた俺の鞄に手を伸ばした。


閉まりきらず口があいたままのそこから、1番上の小さな箱を取る。

包装はされておらず、簡易的なギフトボックスであるそれをぱかりと開けた。


3つだけ並んだチョコレート。

そのうちの1つを取ると、そのままぐいと俺の唇に押し当てた。

ぐ、とそのまま強く押され、中に侵入してきたそれを思わず受け入れてしまう。

そうして口内に甘い香りが広がったかと思った瞬間、まろが運転席からこちら側へと身を乗り出してきた。


「…ん…っ」


唇が重ねられ、啄むようなキスすらなくいきなり舌がねじこまれる。

まろのその舌が、俺の口の中にある今にももう溶けてしまいそうなチョコを掬うようにして拾い上げた。


「は…っ、んぅ…」


互いの口内を行ったり来たりして、徐々に溶けてその存在をなくしていく甘美な媚薬。

思わずとろんとした目を閉じてしまいそうになったけれど、その時まろが俺の座る助手席のシートを勢いよく倒したことでハッと我に返った。


「いや待て!ここまだ院内…!」

「誰もおらんて。暗くて車内なんか見えへんし」

「いやいつ来るか分かんないだろ!?」


しかも車内がはっきり見えなかったとしても、シルエットで漠然と何をしているのか悟られたらどうする。


そう言いかけたけれど、まろは不満そうに眉を寄せると一旦上体を起こした。

それはそれは不本意そうに目を細めて俺を一瞥した後、運転席側へ身を戻す。


「ないこが悪いやん、『惚れ直した』とか言うから」

「は? それが嬉しかったってこと?」

「ちゃうちゃう。『惚れ直した』なんて言うような余地がまだ残されとったんか、って」


まろの言葉に、シートを起こしながら俺は思わず目を瞠った。


「『惚れ直す』なんて二度と言わせんから、全部溺れてもらおうか」


意地悪く笑うまろが、とりあえずと言った感じでハンドルを握り直す。

今度こそ本当にエンジンをかけ、サイドブレーキを下げた。



…え、俺まじで家に着いたらこの後どうなんの?


それにこいつはこういう奴だったわ。

子供相手にはあんなに甘く優しい顔ができるくせに、俺だけにはこうして苦めの一面も見せてくるんだよな。



明日のスケジュールを脳内で必死に引き出す。

手術もミーティングも予定に入っていないことが、せめてもの救いだと思った。





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