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個人的にエイプリールフールってあんまり好きじゃなかったんだけど、こんな素敵なお話よめて初めてエイプリルフールに感謝したかもしれない(笑) 嘘じゃないよの歌詞のフレーズもいれつつ、さいごハピエンでうるっときちゃった~😭
最後くっつくのか!?とどきどきしながら拝読してました🫣՞՞ 長編も大好きですが、短編も大好きです!!これからもたのしみにしてます!🎶🌟
初めてのコメント失礼します!少し前に「愛情と矛先」を読んで以来、いろは様の作品が大好きになり、「特等席を君に。」「Good Morning」、短編集もすべて読ませていただきました。どの作品も情景や雰囲気が丁寧に描かれていて、何度も読み返してしまうほど大好きです。初めてのコメントを送るなら憧れのいろは様がいいと思っていたのでとても嬉しいです!素敵な作品をありがとうございます。これからも応援してます!
『好きだよ』
迷いに迷って、結局一言だけになったメッセージ。珍しく既読はすぐについて
『どしたの急に〜俺も元貴のこと好きだよ!』
ハートマークのついた謎の鳥のスタンプ。まぁそうなるよね。
『そういうことじゃなくて』
『友人としてじゃなくて恋愛的な意味で好きなの』
ダメ押し。またすぐに既読。スマホを握る手に汗が滲む。心臓の音がやけに大きく響いてうるさい。もう。なんでもいいから早くなにか反応してよ。ポコン、と新しいメッセージが更新される。
『今日エイプリルフールだっ!』
『去年と同じ嘘なんて、ひっかかんないよ😡』
さっきと同じ謎の鳥は今度は羽根を広げて怒りのポーズ。そう、俺は去年も確かに同じ「嘘」を君に送った。既読がついて、なかなか返事が来ないことに怖くなった臆病な俺は
『ちょっと!今日エイプリルフールなんだけど!』
なんて自分で自分の勇気を殺めて。君は
『びっくりした!そっか〜今日4月1日だね』
それだけ。あの時、君の返事を待ったままでいたなら、未来は変わっていたのかな。俺は素早くメッセージを打つ。
『涼ちゃんなら騙されると思って』
『さすがに同じ嘘なら騙されないよ〜』
嘘じゃないよ。そう返したら君はなんて反応するかな。仕事のこととか世間体とか、何も考えずに君に好きって言えたらどれだけ楽か。今年も俺の想いは「嘘」で終わっていく。メッセージアプリを閉じて、俺はそっとスマホを裏返しにしてテーブルに置く。まぁいいや。だって、いま君のいちばん傍に居るのは俺だもの。それだけで十分なんだ。もっともっと仕事で忙しくしてやろう。他のことになんか見向きもできないくらいに。長い長い片想いなんか、とっくに割りきれていて。君に恋人ができたってたぶん、なんてことない風に祝福だってできるはず。
「嘘つき……」
ポツリとつぶやいた言葉とともに涙がこぼれた。それは次から次へととめどなく溢れてくる。友人として、仕事のパートナーとして、傍に居れたら十分だなんて、そんなのは嘘だ。君に向けた愛の歌は、やっぱりどれもしっくりこないままで。この複雑な感情をどうやって昇華したらいいのか、俺はまだ見つけられないままでいる。本当は君のいちばんで居たい。君を俺のものだけにして、ぜんぶぜんぶ独り占めできたらどんなに幸せだろうか。
ポコン、とまた通知が鳴った。裏返しにしていたスマホを元に戻し、通知を確認すると
『好きだよ』
のメッセージ。送信時間は12時01分。君は知らないんだろうな、エイプリルフールの最近流行りのルールを。午後はもう嘘ついちゃいけないんだよ。ネタばらしと本当のことしか言っちゃいけないのに。どうせ4月1日なら一緒だと思ってんだろ。あぁ、これが本当だったら良かったのになぁ。
メッセージアプリを開く。
『同じ嘘つくとか騙す気ないだろ』
『せっかくエイプリルフールなんだから、もっと楽しませてよね〜』
その文字を打つ間にもぼろぼろと涙はこぼれて。今度はすぐには既読はつかなかった。しばらくそのまま画面をみていたが、昨日仕事をしていてあまり寝れなかったことと、泣き疲れたのもあったのかふわふわとした眠気が俺の視界を曖昧にさせる。目を閉じて、俺はゆっくりと意識を手放した。
目を覚ますともう外は薄暗かった。部屋の時計をみると、17時ちょっと前。結構寝ちゃったな、と思いスマホを開くと不在着信が1件。涼ちゃんからだった。彼から電話なんて珍しい。何かあったのだろうか。怪訝に思いながら電話をかけてみる。1コール、2コール。
「あれっ?もしもし!」
聞き慣れた声が元気よく応答する。
「もしもし?ごめん寝てたわ、なんか用事?」
「また昨日遅くまで仕事してたんでしょ〜」
そう言ってあはは、と笑う彼。
「元貴、エイプリルフールのルール知らないのかもと思って」
「え?」
どういうことだろう、と寝起きの働かない頭で考えてみる。
「え〜……だからさ、俺のは嘘じゃないんだよ」
午後は嘘ついちゃいけないでしょ。と電話口でいつもよりも小さい声で拗ねたようにいう君。
「えっと、つまり……えっ?!」
俺は元貴のこと、そういう意味で好きなんだけど。嘘みたいな、嘘じゃない言葉を君は紡ぐ。
「う、嘘じゃないの……?」
声が震えた。また目頭が熱くなるのが分かった。
「嘘じゃないよ」
返事、聞かせてよ。君の言葉に俺は勢いよく、俺も!と頷く。
「ずっと好きだったんだ、これは嘘じゃない、嘘なんかじゃないよ」
君が嬉しそうに、でも照れくさそうに、へへっと笑うのが聞こえた。
※※※
新年度がスタートしましたね!
「嘘」といえばやっぱりミセスはこの曲じゃないかしら、ということで、少し歌詞ネタもいれつつエイプリルフールのお話とさせていただきました。
昨日は完結した「特等席を君に。」に皆さんたくさんのコメントありがとうございました〜めちゃくちゃ嬉しくてにまにましながら読ませてもらっています!
明日はフォロワー様700人突破記念のお話をフォロワー様限定で投稿させていただきます。ちょっと長めのお話になっていますが、楽しんでいただけたら嬉しいです✨