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柘榴とAI

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#没入感フィクション
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その後、しばらく経った後。
始まりました、ガンサバの新イベント。
これ等の項目を眺めつつ、わ~って一人で拍手を送ってしまったのだけれども。
皆様の、熱気が凄い。
「準備は良いか! お前達! 気合を入れろぉぉぉ!」
完全装備の出っ歯さんが、ジャキンッと音を立てながら銃を構え。
「今回のドロップと勝利ボーナスはかなりデカイぜ? マジで勝ちに行こう。それに相手も、賞金首“本人”って訳じゃない。稼げる間に、可能な限り繰り返しチャレンジして行こうか。次の賞金首イベントまでの金策に、マジで丁度良いし」
グレーさんも、かなり本気な御様子。
敵として確認した事しか無いような、ガチガチの防弾装備に身を固めている。
ついでに言うと、その手にはいつかのガトリングガン。
それを見るのは、ちょっと未だに怖いです。
「今回は私も時間取れるから、一緒に頑張ろー! おー!」
「「おー!」」
本人の発言通り、この度ご一緒する事になったナナさんが拳を振り上げれば。
グレーさんと出っ歯さんがかなり気合の入った様子で、彼女の声に応えて拳を振り上げた。
これに対して、私とクロさんがハハハ……と乾いた笑い声を上げているという。
わ、わぁ、凄い。
本当にフルメンバーで、イベントに参加出来ちゃうみたいだ。
これも私達賞金首が主体ではないから、という意味でもあるんだけど。
今回に関しては、ナナさんも非常にノリノリな御様子。
しかも敵の中身がNPCと言う事もあり、プレイヤー各自で挑戦者は選べる上に。
一日の間に制限はあるが、何度だって簡単に挑めるという方式。
もっともっと言うのなら、ドロップアイテムやお金、そしてレアドロップとしての武装各種も“美味しい”らしく。
皆揃って、やる気満々な御様子だ。
「シロさん、大丈夫? あんまり一緒にイベントに参加した事って無かったから、緊張とか……してない?」
そんな言葉と共に、隣に立っていたクロさんが心配そうな顔で覗き込んで来た。
これに対して、ニコッと笑顔を浮かべてから。
「だ、大丈夫です! 私も、役に立てるよう頑張りますね!」
グッと拳を握って宣言してみると、相手はフッと表情を緩め。
「うん、一緒に頑張ろう。シロさんと一緒に遊べるの、凄く楽しいから。俺も頑張るよ」
なんて言葉と共に、凄く緩い顔でフワッと笑ってみせるのであった。
普段周りに人がいたりして、特に学校なんかではほとんど見ない表情。
それこそ……“デート”の時というか。
二人でお出かけした時にだけ見せる様な、本当に優しい顔。
そんなのを見てしまったら、ボッと顔面が熱くなったのが自分でも分かって。
思わず視線を逸らしつつ下を向いてしまったけど。
「ほんじゃ行きまっしょう! まずは誰から攻める!?」
ウキウキ状態のナナさんが声を上げれば、すぐさまピシッと綺麗な体勢で手を上げた出っ歯さん。
そして。
「我らが因縁の相手、シックスが良いかと! 奴のコピーNPC、すなわち弟子! 奴本人ならまだしも、その程度に我々が負ける筈が無いと世間に公表すべきかと!」
「お前はハンドガンドロップが狙いたいだけだろ……まぁ良いけどさ。ナナさんも居るし、録画すっか」
「いいね、俺も賛成だよ。動画のネタ提供って意味でも、俺等の行動の見直しって意味でも」
だそうで、まずは私のNPCに挑む事になってしまった。
何と言うか……ちょっと、不思議な感覚だなぁ。
◆
「ふっ!」
「くはははっ! どうしたシックスの弟子ぃ~! こんなものかぁ!?」
その後挑んだ私のコピー。
それこそ6keyで最初に挑んだNPCだし、私自身の行動を反映しているので非常に分かりやすい。
ただし……今扱っているのが、46leatherというのが問題だった。
瞬間的な反応速度、そして細かい動作の行動速度が向こうの方が圧倒的に上。
だからこそ今の私では決定的な一手が与えられず、いつも通り出っ歯さんと一緒にスプリンターとして囮を務めていたのだが。
「はいはいっと! 背中ガラ空き!」
ナナさんの銃撃により、相手は被弾。
これのダメージを貰いながらよろけた所で、今度はグレーさんが迫って来る。
「もうお前から視線を外さないからなぁぁぁ!?」
もしかして、前にsecondが注目を引いた瞬間に攻め込んだアレだろうか。
気にしてる? というか根に持ってる?
なんて、今は関係ない事を思ってしまったけど。
とにかく彼はガトリングガンを乱射しながら突っ込み、当然6keyの戦い方としては対処など出来る筈も無く回避行動。
その瞬間。
『獲った』
無線からクロさんの声が聞えて来たと同時に、窓ガラスを貫いて特大の銃弾が敵の身体を貫いた。
これにて勝利、なんですけども。
あの、ですね……顔が、私のお兄ちゃんなので。
サングラス掛けていたり、ちょっと雰囲気違ったりもするけど。
とてもとても微妙な気分になりつつ、更に言うとクロさん辺りは色々とツッコんで来るのでは!?
なんて今更ながらヒヤヒヤしていたのだけれど。
特に問題無く、シックスのコピー相手は終了。
どうやら出っ歯さんが求めていたレアドロップも排出されたらしく、一戦で終わってくれたのは正直助かった。
流石に何度もお兄ちゃんに銃を向けるのは、ゲーム内でも嫌なので。
ついでに言うと、ドロップした品を見せてもらったけど……私が全然使った事の無いハンドガンだった。
うん、なんだアレ。
他にもパーツとか色々出たみたいだけど、見覚えは一切無い。
つまりドロップに関しては、本格的に私と関係ないと言う事。
コレを安心すれば良いのか、再び微妙な心境になれば良いのか分からずに居れば。
続けざまに、イベント戦闘に参加する皆。
そして。
「クハハハッ! これはなかなか派手じゃない……かぁぁぁぁぁ!?」
「どわぁぁ! 出っ歯が死んだ! 無理! これ無理! 撤退!」
「無理だってば! そもそも私達と戦闘スタイルの土俵が違う!」
「あばばばば……やっぱり“エイト”は無理ですよぉ……」
彼女のロボットアーム劣化版? みたいなのを狙ったらしいが、見事に建物の崩落から逃げ回っている私達。
うん、無理。
キャラを変えても、octopus8に勝てる気がしない。
コピーでコレなのだ、本人はどれだけヤバいの。
あのゆるふわアワアワ聖職者からは想像出来ない程、やっぱり戦闘は派手。
流石は爆音のシスター……と言う事で、前衛組は全員揃って全力ダッシュ。
『そのまま……あと10秒耐えて』
ヒーヒー言いながら逃げている私達に対して、クロさんは無情なお言葉を掛けて来る。
あと10秒って! その前に建物が崩れそうなんですけど!?
とか何とか言いたくなったその後、ズバンッ! と乾いた音が響き。
『獲った。やっぱり、本人程強くないね』
「え、うそ。勝ったの?」
疑問の声を上げたナナさんが立ち止まった瞬間、私達の視界にも『WIN』の文字が。
しかしながら。
『ちょ、ちょっと皆! 止まらないで走り続けて!』
「へ? どわぁぁぁ!?」
「ちょいちょいちょい! フィールドログアウト! 早く!」
「あばばばば!」
派手に爆破された建物は、相手が居なくなっても崩壊を続けたらしく。
勝ったと言うのに、前衛組は全滅したという。
こればっかりは、仕方ないよねぇ……。
いつもとは違う雰囲気に乾いた笑い声が漏れてしまったが、やっぱりイベントは“お祭り”って感じがして楽しい。
皆ワイワイ楽しむし、普段とは違うテンションで「おりゃー!」って突っ込んで行っているのが分かる。
普段私達賞金首は、敵側として立ちはだかる事が多いけど。
プレイヤー側としては、意外と“賞金首イベント”もこんな感じなのかな?
だとすれば、それは凄く楽しそうだ。
そして盛り上げる役として、私も活躍出来ているとすれば。
それは、凄く嬉しい事な気がするのだ。
などと思わず表情を綻ばせながら、皆で次の相手を選んでいると。
「エイトは無理だ、何度も相手するのは精神的に持たない。というか、クロに頼る以外に勝ち筋が見えねぇ」
「だぁね。出っ歯さんの狙ったハンドガンは出たけど、他はー? 皆欲しいのどれー?」
「むはははっ! もう一丁ハンドガンが欲しい所だが、今は我慢だな! 皆の目的を優先しようではないか!」
私としては意外だったと言うか、普通のガンサバプレイヤーなら欲しいんじゃないの? という装備の……4cardとseven。
二人はアサルトライフルとか、サブマシンガンとか。
そういう“使いやすい武器”と言われるメイン武装なので、それこそ絶対相手するだろうなって思ったんだけど。
このメンバーだと、そこを狙う人がいないみたいだ。
ナナさんは私と同じサブキャラだから、あんまりガッツリやり込むって雰囲気ではないんだろうけど。
そうなって来ると、後はクロさんとグレーさん。
前者の場合は9Kかなって思うけど……本気装備の時に使っている時は弾丸のサイズが違うしなぁ。
でも狙撃銃なら、やっぱり欲しいのでは?
そして後者。
此方に関しては、今更気が付いたと言うか。
賞金首の中で、メインが重装備って……もしかして、いない?
などと思いつつ、ドロップリスト眺めていると。
どうやら555が乗り物に組み込んでいる武装もドロップするらしく、そちらなら狙えそうだ。
更に言うなら賞金首の1番目。
この人に関しては本当に色々な武装を使うらしく、結構項目がバラバラ。
まだ会った事無いけど、凄く器用な人なんだなぁ~なんて感想を残しつつ、イベントページをポチポチしていると。
「シロさんは、誰と戦ってみたいとか……無いの?」
急にクロさんに声を掛けられて、ページを操作する指がピタッと止まってしまった。
私が、戦ってみたい相手。
というか今の状況で、皆と一緒に戦ってみたい相手。
それを言葉にするのなら、私の我儘を言って良いのなら……。
「えぇと、その……本当に、個人的に気になったというだけ、なんですけど……10番目。“timelimit:10”のコピーと、皆さんと一緒に……闘ってみたいです」
私だけでは、ソロでは辿り着けなかった答え。
これを確かめたくて、彼の言葉に思わずそう答えてしまった。
まるで皆を利用するみたいで申し訳ないけど、どうしても彼の戦い方の“根っこの部分”が見えていない気がして。
「おっ、良いね! やろうやろう! さっきからクロさんに良い所取られてばっかりだし、そろそろ前衛組も格好良い所見せないと!」
「うむっ! では今度ばかりは前衛組だけで封殺してやろうではないか! 十番目は超近接戦、つまり我々の土俵だ!」
「おっとぉ? ここに来て確実にこっちが有利、でも間違い無く強い奴を選んで来たねぇシロさん。でも面白いかも、良いんじゃね?」
皆それぞれ言葉を残し、私の提案に乗ってくれた。
ちょっと申し訳ない気もするけど、それでもやっぱり……気になるのだ。
あの人は、ちょっと他の人とは違う気がして。
だからこそ……“攻略”したい。
そんな気がする。
「クロさんも、良いですか? 完全に私の思い付きというか、付き合わせちゃう感じになりますけど……」
それだけ言って、隣に居る彼を見上げてみると。
「うん、もちろん。一緒に頑張ろうね、シロさん」
「は、はいっ!」
この人は、いつもこうだ。
私の我儘を聞いてくれる、なんて言うと……相手を付き合わせているだけに思えてしまうけど。
凄く自然に、私と一緒に“楽しんでくれる”人。
きっとコレも黒沢君に甘えてばかりで、此方の都合の良い解釈なのだろうけど。
この人の隣は、とても居心地が良い気がするのだ。
コメント
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第129話、読み終わりました! 今回もイベント戦闘でわいわいしてて楽しかったです。特にシロさんのお兄ちゃんコピーと戦う時の「顔がお兄ちゃんなので微妙な気分」って心情、すごく分かります…(笑)。それにクロさんの「一緒に頑張ろうね」がもうずるいです、自然にシロさんを楽しませようとしてくれる距離感が素敵。最後にタイムリミット・テンのコピーを自ら選んだシロさんの "攻略したい" って気持ちにもグッときました。