コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
月明かりに浮かぶその姿は、 いつか見た悪夢のような姿。
私の知らない……もう一人の私。
「お兄ちゃん」と呼ぶ声と共に現れる少女。
彼女もまた、 彼に救いを求めていたのだろうか? ならば、あの子は……誰なんだ? 彼を救える者はいないというのに……。
いや、違う。
救われる資格がある者など、存在しないのだ。
そうして、すべてを失った後でも、 なお、彼は探し続けるしかないのだから……。
この幻想の世界で、 ただ一つ残された真実を求めて……空虚な言葉。……妄言。……戯言。……夢想。……妄想。……虚構。……まがい物。……欺瞞。……偽り。……嘘。……偽証。……虚偽。……ペテン。……偽装。……捏造。……改竄。……偽造。……贋作。……デタラメ。……デマ。……デマカセ。……出任せ。……口先だけ。……いい加減。……大法螺。……ホラ吹き。……お話にならない。……論外。……的外れ。……無駄足。……徒労。……無益。……無意味。……無価値。……浪費。……不毛。……非生産。……マイナス。……損失。……損害。……被害。……害悪。……災厄。……災難。……禍根。……腐心。……煩悶。……憂慮。……気苦労。……心配事。……悩みの種。……頭痛のタネ。……懸念材料。……懸念事項。……不安要素。……リスク。……危険因子。……トラブルメーカー。……疫病神。……貧乏神。……死神。……破滅の女神。……崩壊させる者。……破壊する者。……破壊の神。……滅亡をもたらす者。……終末の使者。……終焉を告げる鐘の音。……滅びを呼ぶ黒き使者。……世界の敵。…………そんなものはどこにもないのだけれどね。
君達は、なぜここにいる?
そうか……。
では、何をしにきた?
……旅の終わりを見届けるため。……私は、もうすぐ死ぬのだから。……そうか……。……そうだな……。……いや、違うな……。……どうなのだろうか……。……わからない……。……よく……わからなくなってしまったよ……。
私の命を奪う者がいるとしたならば、 それは君のような気さえしていたんだ。
なぜだろうね……。……君は……私に似ている気がしてならなかった。
そうかもしれないし、そうでないかもしれない。
全ては夢幻のようなものなのかもしれん。
ただひとつだけ言えることは、 私は君と出会いたかったということだ。
そして、あの時……
君の瞳を見た瞬間に思ったのだ。
この出会いこそが運命なのだと。
君にも、いつかわかる時が来るだろう。
その時こそ、私たちの旅路は終わる。
それまでは、共に行こうじゃないか。
私が君を導いてあげよう。
大丈夫だよ。
君は何も恐れることはない。
たとえどんなことがあっても、 私が必ず守ってあげるから。
私がいる限り、大丈夫だよ。
だから安心してね。……私のヒーローさん。……そう言って微笑む彼女の顔が 少しずつ薄れてゆく。
彼女はいつものように笑う。
「ありがとう」と言って。
それが彼の見た最後の笑顔になるなんて、思いもせずに。
彼は彼女を救えなかったことを悔やんでいた。
自分が彼女を守ってあげればよかったのだ、と。
彼女がいなくなってからも、ずっと。