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黒ヤミ悪夢

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黒ヤミ悪夢

29 - 第29話疑心

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2022年08月11日

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月明かりに浮かぶその姿は、 いつか見た悪夢のような姿。

私の知らない……もう一人の私。

「お兄ちゃん」と呼ぶ声と共に現れる少女。

彼女もまた、 彼に救いを求めていたのだろうか? ならば、あの子は……誰なんだ? 彼を救える者はいないというのに……。

いや、違う。

救われる資格がある者など、存在しないのだ。

そうして、すべてを失った後でも、 なお、彼は探し続けるしかないのだから……。

この幻想の世界で、 ただ一つ残された真実を求めて……空虚な言葉。……妄言。……戯言。……夢想。……妄想。……虚構。……まがい物。……欺瞞。……偽り。……嘘。……偽証。……虚偽。……ペテン。……偽装。……捏造。……改竄。……偽造。……贋作。……デタラメ。……デマ。……デマカセ。……出任せ。……口先だけ。……いい加減。……大法螺。……ホラ吹き。……お話にならない。……論外。……的外れ。……無駄足。……徒労。……無益。……無意味。……無価値。……浪費。……不毛。……非生産。……マイナス。……損失。……損害。……被害。……害悪。……災厄。……災難。……禍根。……腐心。……煩悶。……憂慮。……気苦労。……心配事。……悩みの種。……頭痛のタネ。……懸念材料。……懸念事項。……不安要素。……リスク。……危険因子。……トラブルメーカー。……疫病神。……貧乏神。……死神。……破滅の女神。……崩壊させる者。……破壊する者。……破壊の神。……滅亡をもたらす者。……終末の使者。……終焉を告げる鐘の音。……滅びを呼ぶ黒き使者。……世界の敵。…………そんなものはどこにもないのだけれどね。


君達は、なぜここにいる?

そうか……。

では、何をしにきた?

……旅の終わりを見届けるため。……私は、もうすぐ死ぬのだから。……そうか……。……そうだな……。……いや、違うな……。……どうなのだろうか……。……わからない……。……よく……わからなくなってしまったよ……。

私の命を奪う者がいるとしたならば、 それは君のような気さえしていたんだ。

なぜだろうね……。……君は……私に似ている気がしてならなかった。

そうかもしれないし、そうでないかもしれない。

全ては夢幻のようなものなのかもしれん。

ただひとつだけ言えることは、 私は君と出会いたかったということだ。

そして、あの時……

君の瞳を見た瞬間に思ったのだ。

この出会いこそが運命なのだと。

君にも、いつかわかる時が来るだろう。

その時こそ、私たちの旅路は終わる。

それまでは、共に行こうじゃないか。

私が君を導いてあげよう。

大丈夫だよ。

君は何も恐れることはない。

たとえどんなことがあっても、 私が必ず守ってあげるから。

私がいる限り、大丈夫だよ。

だから安心してね。……私のヒーローさん。……そう言って微笑む彼女の顔が 少しずつ薄れてゆく。

彼女はいつものように笑う。

「ありがとう」と言って。

それが彼の見た最後の笑顔になるなんて、思いもせずに。

彼は彼女を救えなかったことを悔やんでいた。

自分が彼女を守ってあげればよかったのだ、と。

彼女がいなくなってからも、ずっと。

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