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先輩が入水自殺をはかったのは海岸だ。言いようのない不安に煽られ、家を飛び出した。

必死に走り先輩が入水したところへ行くと、そこには先輩が佇んでいた。

もしかして死ににきたのだろうか…そしたら止めなくては!

急ぎ足で先輩に近づくと、何かが違うことに気づいて走るスピードを緩めた。

「先輩…そんな所に居たら風邪引きますよ」

「君こそ、何でここに居るの?」

「先輩が心配だったからですよ」

冬の海岸は物凄く寒い。飛び出して来たが故に自分の服装は薄くて寒くて堪らなかった。

「私ね…こんな世界嫌で仕方がなかった。愛する人を奪ったこの世界が」

「大切な人が奪われる世界は…そりゃ嫌いになりますよ」

「だから死にたい」

最早隠す気もなく先輩は本音を自分に伝えてきた。この思いから逃げるのは許されない。

「なら、自分も追います」

「…何で?」

「先輩と同じです。先輩を失った世界など価値なんて見出だせません」

きっと先輩を失ったのなら、奪われたなら。この冬は乾燥しきった心がひび割れるだろう。

「だから、そうなる前に取り戻したい。貴方という生を…命を」

「そんなに言うのなら…少しだけ生きてみる」

「その少しを繰り返さしてみせますよ」

「…期待するね」

そう言った貴方の横顔は確かに微笑んでいた。大好きである花咲くような笑顔では無かったけれど、雨上がりに蕾が開くような笑みであった。


貴方が居なくなった日から戻り、一ヶ月が経過した。早いのだか遅いのだか分からない。

自分が心から愛する人は今もなお生きている。取り戻せたのだ、先輩を…貴方を。

あそこまで貴方を追い詰めてしまった彼氏さんはどんな気持ちだろうか。少なくとも辛そうな表情を浮かべていたであろう。

貴方を殺したのは彼氏さんじゃない。彼氏さんの所為では決してない。

ペアリングも最近見つける事が出来た。貴方は泣きながら「ありがとう」と繰り返していた。 貴方の失った物を取り戻せて一安心だ。


HAPPYEND「。見つけたのは貴方の所為




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