「ふんふふ〜ん♪」
広島で買ったニッコリしゃもじ片手に夜中の3時に街を出歩く成人男性、その名はそろもん。
「あ”~腹減ったよぉぉお!」
街中で叫ぶ。
死ぬほど腹減った。けど3時だし、買い食いとかも出来ないんだよな。
(ま家帰ればいい話なんだけどね)
けど、もう少し散歩して行こうっと。
「しゃもじ片手に夜中に散歩とか、やってる人世界で俺だけでしょ~!」
コミュニティとか𝕏投稿用のネタも作んないとだし。
しばらく散歩して。
俺はある重大な事に気が付いた。
「…しゃもじが居ない!!」
あれ?どこ行った?
確かに手に持ってたのに、無いんだけど。
「あっれぇ、…!?どこ行っ、」
「えっと、これ探してます?」
誰かに声を掛けられた。
振り向いてみると、可愛らしい女の子が立っていた。
「え、…あ!!!それ!!」
女の子は俺のしゃもじを持っていた。わざわざ声かけてくれたんだ…!
「そう!!俺の!!ごめんね、わざわざありがとー!!」
「あやっぱそうですよね!!なんか落としたな~とは思ってたんですけど、!良かったです!!」
何この子、めっちゃいい子じゃん。
「…で、その…さっき散歩中にしゃもじ拾ってくれた事をきっかけに仲良くなった…モン、…さん?とお前で、面白そうだから深夜に俺の家に突りに来たと。」
「そゆこと!!」
「カスが」
そんなわけで今、うたくん家に来てます!!
「出会って1時間とかの年下女性とすっげぇ仲良くなるってのも凄いけど、そのあと2人で友達の家に突りに来れる勇気もすごい。」
「っはは!!ごめぇ〜ん☆」
「思ってねぇだろボケナスが」
「あっはは、…w」
「ほらモンちゃん気まずそうじゃ〜ん!!」
「それは、…すいません」
「えぇ!?うたさん何も悪くないですって…!こちらこそこんな時間に…ごめんなさい…」
「あぁいや、それは…全然大丈夫、です」
うたくん、可愛い女の子前だとよわよわになっちゃうんだよなぁ。このスケベが!!!
「……何、入んないの?」
「…!入っていいの!?」
「お前一人だったら追い返してたけどな。モンさんと俺に感謝しろ」
「ありがとうモンちゃん!!うたくん!!」
「え、えぇ…!?w」
モンちゃんは本当に話が面白くて、実況者の俺らに負けないくらいの話上手。
「モン、…さんは何歳なの?」
「女性に普通に年齢聞くんですねぇ」
「えッ、あ、!うわほんとにごめんなさい…まじで」
「ちょっとうたくん!!」
「そろもんさんも聞いてきたけどね」
「……確かに!!」
「まぁ私は別に隠してないですけどねっ!!ちなみに今年で23です!」
「ほんとごめんなさい……」
「私以外のレディだったらビンタ食らってますね」
「女の人怖っ!!」
「…え、てか待って俺と同い年だ」
「あれ、そうなんですか!?」
「そう、俺今年で23だから。今年?って言うか、次の3月で23。」
「そうなんだ、!!じゃあ3ヶ月しか変わらないし、同じくらいですね!」
モンちゃん、誕生日6月なのか…
そして、2時間ほど話をして。
「お前らのせいで俺寝れて無いんだけど??」
「「ごめんなさぁい…」」
「まぁ楽しかったし許そう」
「ね!楽しかったぁ~」
「それはそうと……モン、家帰んなくていいの?」
…あ。
「ほ、ほんとだよモンちゃん!」
「………私はそろそろお暇しましょうかね~…?」
「やっぱやべぇんじゃん!!」
「また遊びに来まーす!!」
と、モンちゃんはニッコニコで帰って行った。
「破天荒ガールだったね~!」
「きっかけお前な。てかモン居たから家に置いてあげてたけどモン帰ったし…眠いし、お前もさっさと帰れよ。」
「ええぇ〜!?」
「えぇ~?じゃねぇよ。はいはい、さよならー。」
「うたくんのケチ、!」
と、言い終わる前に扉を閉められガチャっと鍵を閉める音。
「…まぁいっか!」
✻
「うぅ、んん…」
現在時刻は朝の6時。
なんでもできる完璧リーダーの俺は、毎日早起きする。なぜなら俺は偉いから。
「朝ごはん、は、……」
残念ながら冷蔵庫の中に朝食べられそうなものは無く、数本の水だけ。
「……買いに行くかぁ~」
朝食べられるものがなくても、俺は歩いてコンビニまで行く。運動にもなるし、朝なんか食べないと1日元気に過ごせないからな!!
俺が選んだのは、やはりコンビニスイーツでは大定番のプリン。
「カロリー取れるから腹減らねぇし、安いし、美味いし、…コンビニスイーツ最高!!」
甘いもんと安いもんが好きな俺にはぴったりだ。
そしてお会計。
店員さんは女の人で、俺と同い年くらいかな?なかなかの美人で、モテモテオーラが溢れてる。
「お預かりしま、………」
(…ん?)
店員さんの言葉が止まった。「え、っと…?どうし、」
「…る、くん…!」
小さな声で何かを言ったのかは分かったが、何て言ったかまでは聞こえなかった。
「…………あ、っも、申し訳ありません、!!」
「あぁいえいえ!全然大丈夫、です!」
店員さんは胸の前で小さく手を振る。
疲れてちゃってるのかな?
コンビニバイトって大変って聞くし…寝れてないとか?
店員さんの方をちらっと見てみると、店員さんはビクッと肩を震わして、それから頭に手を当てしんどそうに目をつぶった。
(やっぱり疲れてるのかな…?)
そうだ、いい事思いついた。
俺は店員さんに「ちょっと待っててください!!」と言って、飲み物コーナーにあったミルクティーを取ってすぐさまレジに戻った。
「これも追加でお願いします!」
「あ、はい…!」
そして、会計が終わって。
「あ、商品忘れてます、!」
と、店員さんは俺に声を掛けた。
「…えっ、と…それ、大丈夫です」
俺が言うと、店員さんは困惑していた。
「え、?」
「若いのに、お疲れ様です!それ、ぜひお仕事終わりにでも」
ね、と俺は歯を見せて笑った。
「これ、…私に、ですか…?」「だからそうですって!笑…じゃ、俺はそろそろ!お仕事頑張ってくださ、」
「…ま、待って、!」
「?」
「私…この後、…7時頃にお仕事終わる、…ので…少し、待っておいて頂けませんか…?よければ、何か、…」
「分かりました!!」
俺は即答した。だってこの人ともっと喋りたいんだもん!
「中は迷惑だと思うので、外で待ってます!!」
「あ、えっと…!いや、大丈夫です、こちらへ!」
と、俺が案内されたのは…
(スタッフルーム?)
「え、僕こんなところ入っていいんですか…?」
「平気です!」
「ここの店長さんとかには…」
「あ、私店長なので…!」
え、嘘。まじか。
若そうだから偏見でバイトかと思ってた。
「じゃあ私は仕事してくるので、くつろいでおいてください!」
「了解です!」
20分ほどして。
(あと30分くらいで7時だ
な…)
温かいし、広いし、ここで暮らせるくらい快適だ。
…スタッフルームっていいな。
なんて思っていると、お店の方から大きな声が聞こえた。
少し覗いてみると…
「いや、っちょ…困りますお客様!!」
「ねー、いいじゃんねーちゃん…可愛いんだし!僕らと遊ぼーよ」
中学生くらいの男子が数人と、さっきの女の人。
絡まれてる…
「やめてください!!」
腕をがちっと掴まれてるみたいだ。いくら中学生とはいえ、男数人だから勝てそうにはない。
「お客様は神様なんだからさ~ね、僕ら今からカラオケ行くからおねーさんも行こ!」
「ちょっ、やめ…」
やっぱり、見過ごせない。
お客さん…って言っても、中学生くらいの男子たちが私の腕を掴んでくる。
(強っ、くっそ…!)
「ね~おねーさーん…行こーよ~」
「いい加減離してください…!」
「俺ら今からカラオケ行くからさ、おねーさんも行こ!」
「ちょ、っやめて、!!!」
「いい加減来てよ。おねーさん男の俺らには勝てないんだからw」
「それは、…っ」
もう無理、引っ張られていく。
その時だった。
「お、ルイリ〜!」
私の名前を呼びながら誰かがお店に入ってきた。
正体は…さっきの男の人。
そのままこちらに向かってきて__
「この子俺の彼女なんだけど」
「__!?」
とんでもない事を言い出した先程の彼は、私の肩に手を回し、強引に男子たちから引き離す。
「…いや誰、こいつw」
「絶対嘘じゃん。」
「釣り合わねーよ」
口々に言葉で彼を叩く男子たちに、彼は言った。
「…あのさぁ、そういう事してるから一部の界隈から嫌われんだよ、お前ら。俺も嫌いだったなぁ、クラスのチャラい陽キャ男子。」
「…は?w何言ってんの」
「つまんねー事してたら友達減るぞ。自力で女の子見つけて来い。」
「俺らはあんたと違って友達多いし。」
「いいなぁ〜。…てか友達多いならカラオケ行く女の子友達くらいいるだろ!」
「それがいないんだな〜。」
…この人と男子達、なんか仲良くなってない?
「可愛い子いっぱいいるんじゃないの~?」
「いるけど誘えねー…」
「わかる、女子緊張するよね。頑張れ。」
「ちょ、俺○○ちゃんにLINEしてみるわ」
「おナイス!!」
「いいなぁ、青春だ…頑張れよ」
「あカラオケ行けるって!!!」
「え○○ちゃんと!?うお〜!!」
「良かったな〜。ほら、行け行け!」
「ありがとにいちゃん!!早く行こーぜ!!」
「にいちゃんの女の子に手出てごめんね~」
その後、私たちはスタッフルームで一息ついていた。
「一件落着っと!」
それにしても、無茶したなぁ…
「なんで助けてくれたの…?」
「エ?!…困ってたから、かな?人助けにちゃんとした理由なんて要らないっしょ!笑」
と、彼はにこにこしている。
「ごめんなさい、…ありがとう」
「…ふふ!どういたしまして~!」
あ、あと…
「なんで私の名前…」
「あ〜…勤務表みたいなのに書いてて、見ちゃった!ごめんっ!!」
「よ、よくわかったね…本当ありがとう、!」
「んっふふ、いーえ!!」
「なっ、何で笑ったの、!笑」
「え〜?なんか、可愛い人だなぁ~って!!」
あなたという人は。
「…可愛くない」
「照れてる!?可愛いー!!」
「可愛くないっ…!」
その後私とはるくんは、カフェでお茶して、連絡先を交換して…また遊ぶ約束をして、解散した。
今日だけで、ちゃんとした友達になれた気がするなぁ。
さっきの人___はるくんは、私の同級生だった。
そして、好きな人だった。
私とはるくんは意外にも3年間同じクラスだった。
あまり喋ったことはなかったけれど、はるくんはすっっごく頭が良かったし、それなのに運動部に入っていたのが不思議だなぁと思っていたのを覚えている。
はるくんの事を好きになったのは、入学式。
1日目なのにも関わらず、同じ学校だったり、習い事だったりで複数のグループが既に出来上がっていた。
はるくんは1人で、窓際の席だっただろう。
見た時、整った顔だなぁ、と思った気がする。
そこからはもう、ずっと意識していた。
一目惚れ、ってやつだろう。見ているだけで幸せだったし、別に私とはるくんはただのクラスメイト、それ以上でもそれ以下でもないということは重々承知していた。
卒業式の日まで、ずっとはるくんに憧れていた。
特に、ほんとに頭良かった気がするんだよなぁ。
何でかは分からないけど、はるくんの事が陰ながら大好きだった。
そんなはるくんと、今日仕事先で再会した。
本人は多分、私が誰だか分かっていないようなので『再会』かどうかは怪しいところだが…。
正直、もう好きって気持ちも忘れていた。なのに…
それなのにはるくんは、私が疲れてるって思って飲み物やらスイーツやらを私に奢ってくれた。
見知らぬ人に。
そこからまた、私ははるくんのことを好きになったのだろう。
なぜか「ここで別れたら会えなくなってしまうから嫌だ」という気持ちになって、はるくんを止めた。
その後も…彼女だ、なんて言って助けてくれたし…。
コメント
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そろモンきたーーー!!!!!微笑ましい物語にしてくれて嬉しいよ……( ◜ω◝ ) 破天荒ガールは草 私がして欲しい要望全て文章化してて尊敬…ありがとう😭😭