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いるなつがこの薬でいちゃいちゃしてるとこも見てみたいです・:*+.\(( °ω° ))/.:+、、、、、ヤバい、いるなつにも目覚めそうだあ、、、、、✨もう一回読みましたが、この作品は大好きなので、何回も読み直しています!最新話、楽しみにしてます😊
夜。すちとみことの帰国祝いも兼ねて、6人がすちみこの家に集まった。
久しぶりに全員そろったリビングには、手料理の香りと笑い声があふれている。
ソファとラグを囲むようにテーブルが広げられ、それぞれの前に並べられた料理とグラスを片手に、会話が弾んでいた。
「みこちゃんって、煮物ほんと上手くなったよな〜」とらんが箸を口に運びながらにっこり笑うと、
「みこちゃんって…懐かしい呼び方」と、こさめがぽつり。
その言葉に、いるまがふと目をやる。
「ほんとだ。……すちも“みこちゃん”って言ってた?」
「さっき言ってた!」とひまなつが素早く反応し、「てか、“すっちー”って呼んでたよね? 学生のときみたいでびっくりした~」
すちはグラスを口に運びつつも、どこか照れたように目をそらした。
「……たまにはね。本人が希望したんだし」
「ん、言ったのは俺だけど……みんなの前で言わなくていい……」
みことが小さく唇を尖らせる姿に、場の空気がふわっとあたたかくなった。
「でも……」と、いるまがみことを見つめて言った。
「なんか前より色気?出たよな。なんか雰囲気というか……大人っぽくなったっつーか」
その瞬間、すちの目が鋭く光った。ぎろ、と一瞬で空気が張り詰める。
「……見るな」
すかさず、ひまなつが頬をぷくっと膨らませて言う。
「ねぇ〜? 俺がいんのに他の子に色気あるとか言うのやめてくんない?」
「馬鹿がよ、なつ以外に興味ねーわ」と、いるまはひまなつの肩を抱き寄せ、軽くキスを落とす。
「ほんっと甘いな〜」と呆れたようにらんが言いながらも、「まぁ、すちがあれだけみことに愛情注いでるから色っぽくもなるよな」
「ら、らんらんっ……っ」
突然の言葉に赤くなるみこと。その視線の先を追ってらんがふと目を細める。
「……てかさ、服の隙間からちょいちょい……見えてんだよね、痕」
「っ、え!?」と、みことは首をすくめ、すちの肩越しに身を引く。
「ほら、襟元。あと手首と、鎖骨のあたりもちょっと……」と指をさすらん。
すちが無言でみことの肩を抱き寄せると、みことは一層顔を真っ赤にした。
「ちょ、ちょっと……! すち、見えてたの!? 恥ずかしっ」
「お前が見えそうな服着るから……」
「……何で言ってくれんかったん……」
そのやりとりにこさめが笑いながら、
「なつくんも、首すごいことなってるよ」と指摘。
「えっ?」とひまなつが不思議そうに首を撫でて確認すると、
「ほら、左右に噛み跡もあるし……。いるまくん、やりすぎ〜」と、こさめがにこにこ指摘。
「や、だって……寝てる時もキスしてきたりするし……」
ひまなつがぽそっと呟くと、思わず全員が顔を見合わせて吹き出す。
「こさめちゃんとらんらんは……そういう痕、つけないの?」とみことが少し安心しながら問うと、
こさめはあっさりと答えた。
「見えないとこにいっぱいついてるよ。背中とか太ももとか」
らんも当たり前のようにうなずく。「俺、全部自分のだって思いたいから。遠慮してない」
あっけらかんとしたその返事に、他の4人は目を丸くして絶句した。
「……なんか、堂々としてるのも、それはそれで恥ずかしいんだけど……」と、みことが頬を赤くしながら言うと、
「なに言ってんの、みこちゃんもすちにすっごい愛されてるじゃん」と、ひまなつが微笑む。
その空間には、照れと愛情と、どこか青春のような懐かしい感情が混ざっていて、まるで心の奥まであたたかくなるような夜だった。
リビングには柔らかな間接照明と、食事を終えた余韻が残る香り。
テーブルの上には空きかけたグラスと、つまみの残り。
お酒のせいか、全体にふわりとした空気が流れていた。
「……ねむ……」
ひまなつが、まぶたを重たげにしながらいるまの肩に頭を預けた。
いるまは自然に彼の頭を支え、背中を撫でながら「またか」と苦笑しつつも、その表情はどこか優しい。
こさめとらんは、いつの間にかぴったりとくっついていて、らんがこさめに両腕を絡めていた。
「もう~、離してよ、重い」なんて言いつつも、こさめの声に本気の拒否はない。
らんは甘えるように頬をこさめの肩にすり寄せて、「やだ。くっついてたい」とわがままをこぼす。
こさめは苦笑しながらも、そっと背中をトントン。
そんな空気に包まれて、みこともほんの少しだけお酒を飲んでいた。
「すち……」
呼ぶ声は、普段よりも少し甘く、緩やかだった。
「ん、なに?」
「……あったかい……」
ぽそりと呟きながら、みことはすちの隣に座っていた体をすっと寄せ、頭をすちの肩に乗せた。
「お酒、ちょっとしか飲んでないのに……なんか、ねむい」
その頬はほんのり赤く、目元はうるんでいて、少しだけとろけたような表情。
すちはその姿をそっと見つめ、何も言わずに腕を回し、みことの体を抱き寄せる。
「酔ってる?」
「うん……。でも、気持ちいい酔い方。ここ、自分の家だし、安心してるのかも……」
「そっか。……じゃあ、いっぱい甘えていいよ」
「……ん、じゃあ……ぎゅー、して」
みことが甘えるように囁くと、すちは迷わずみことの腰に腕を回し、しっかりと抱きしめた。
「ん……あったかい。すき、すっちー……」
「俺も好きだよ、みこちゃん」
その一言に、みことの耳がさらに赤く染まる。
けれど拒む様子はなく、さらに腕の中に顔を埋めていく。
周囲では、ひまなつがすっかり夢の中に落ち、いるまの膝に身を預けている。
らんは完全にこさめの腕の中で猫のように丸くなって、穏やかな寝息を立てていた。
6人の夜は、穏やかで、甘くて、少し照れくさくて――
それでも、確かに「しあわせ」の詰まった空間だった。
夜が更け、部屋の空気はすっかり落ち着きの色をまとっていた。
らんはこさめにぴったりとくっついたまま、いつの間にか床に寝転んでいた。
こさめも寄り添うように同じブランケットの中で眠りについている。
「……風邪ひくよ」
すちは小さく呟きながら、二人の上にブランケットをそっとかける。
その手つきは、いつもの態度とはまるで違う、驚くほどやさしいものだった。
視線を向ければ、ソファでうとうとしているひまなつを いるまが体を自分の方に引き寄せ、しっかりと支えていた。
すちは小さく笑いながら、そっと彼に毛布を手渡す。
「ありがとな」
「……ねぇ、いるまちゃん」
すちはふと思い出し、声をかける。
「ひまちゃんからもらったメイド服。使ったら捨てとけって言われてたみたいなんだけど……代わりにお礼渡しとくね」
そう言って、すちはポケットから小瓶を取り出す。
小さな透明なガラス瓶の中には、ほのかに赤みを帯びた液体がゆらゆらと揺れている。
ラベルもないそれを、すちは無言でいるまに渡した。
「なんこれ……って、ああ。別にいいのに」
瓶を受け取りながら、いるまは片眉を上げる。
「……楽しませてもらったから。それよく効く媚薬らしいよ」
すちは言葉少なに、しかし確かに微笑んだ。
その微笑みは、普段見せることのない柔らかさを持っていた。
「……ふぅん。まあ、いつか使わせてもらうわ」
瓶をくるりと指先で回しながら、いるまもまた小さく笑った。
再び静けさが戻るリビング。
寝息と、わずかな風の音だけが響いていた。
すちは毛布の端を整えながら、眠っているみことをちらりと見やる。
その柔らかな表情を見て、小さく息を吐き――
「……まったく。愛されすぎて困るな」
と、誰にも聞こえない声でつぶやいた。
すちはそっと立ち上がると、眠るみことをやさしく抱き上げた。
その体は軽く、安心しきっているのが分かる。
「……甘えんぼ」
誰にも聞かれない声で、微笑みながら呟く。
寝室に入ると、すちはベッドにみことをゆっくりと横たえる。
そのまま、そっと布団をかけ――毛布も一枚、さらにその上に重ねる。
「……風邪ひかないようにね」
つぶやきながら、みことの髪を指先でなぞる。
ぬくもりのあるその触れ方に、みことは寝ぼけたように「……すち……」と名を呼んだ。
「ここにいる。大丈夫、ずっとそばにいるから」
自分も布団の中に入り、みことを後ろからそっと抱きしめる。
その体温はやわらかく、愛しくて、ぎゅっとしたくなる。
みことの背に顔を埋めながら、すちは静かに目を閉じた。
ただそのぬくもりだけが、夜を照らしていた。
ふたりはそのまま、やさしさに包まれながら、深い眠りへと落ちていった。
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朝焼けの光がゆっくりとカーテンの隙間から差し込む頃、すちは静かに目を覚ました。
隣には、ぐっすりと眠るみことの寝顔。まつげが長く、唇が少しだけ開いていて――まるで無防備な子どものようだった。
「……ほんと、かわいいな」
そっと髪を撫でて、すちはベッドから抜け出す。
でも、背を向けた瞬間――思い出す。
『すちが起きてどっか行っちゃうと、不安になる。朝、起きてすちがいないの、やだ……』
以前、何気なく言っていたみことの言葉。
それがずっと、心に残っていた。
「仕方ないな……」
すちは再びベッドに近づき、まだ夢の中のみことをやさしく抱き上げる。
そのまま背中にまわし、抱っこ紐のようにタオルケットで自分の体にしっかりと固定した。
ふわりと体重が預けられる。
みことは目を覚ます気配もなく、寝ぼけたようにすちの肩に頬をすり寄せる。
「ん……すちぃ……すきぃ……」
くすぐったい囁きに、すちは思わず苦笑いする。
「俺も好きだよ、朝から甘えんぼだなぁ、まったく」
そのまま、みことを背負いながらキッチンへ向かう。
片手で卵を割り、片手で鍋の火加減を見ながら、手際よく朝食の準備を始めるすち。
背中から伝わるぬくもりと、みことのゆっくりとした呼吸。
それが、何よりの幸せだった。
焼き上がるベーコンの香りに、ようやくみことがもぞもぞと動き出す。
「……ん……すち? なんで……おんぶ……?」
「起きた? 朝は俺がいないと寂しいって言ってたから、ずっと一緒にいる作戦」
「……あほぉ……」
みことは真っ赤な頬をすちの背にすり寄せて、小さく笑った。
すちが背中にみことを背負ったまま食卓の準備を整えた頃、リビングの方からのそりと誰かが起きてくる気配がした。
「んぁ……すち……もう朝? てか、もう起きてるの……?」
最初に現れたのは、髪が寝癖で跳ねているらん。こさめの腕に抱かれたまま、ブランケットにくるまりながらぼんやりと立っていた。
「おはよ。ご飯できてるよ、起こして悪かったかな」
すちがにこりと笑うと、こさめもゆっくり目を開ける。
「ううん、いい匂い……すちくん、朝から優しすぎる」
こさめはらんに手を引かれながら、テーブルへ。
ほどなくして、ソファの上で重なって寝ていたひまなつといるまも目を覚ました。
「ん~……あれ? 背中に誰かいない……?」
寝起きの声でいるまがごそごそと起き上がると、ひまなつがいるまの腕にしがみついたまま、まだ半分夢の中。
「んぅ……さむい……いるま、どっか行かないでぇ……」
「はいはい、俺はずっとここ。……あれ、すち、その背中……」
すちがくるりと振り返ると、そこにはまだ寝ぼけた表情で顔をうずめるみことの姿。
「……おんぶ……? なにその甘々モード……」
「朝からとろける~」
ひまなつがようやく目を開けて、にへらと笑った。
「みこちゃん、起きてる~? 甘えんぼ全開だ~♡」とこさめがからかう。
「……う、うるさい……」
ようやく完全に目を覚ましたみことが、すちの背中でぼそぼそと照れた声を漏らす。
「でも、可愛いよな。背中から頬すり寄せて、すちにべったり」
らんが悪戯っぽく笑った。
「さ、ご飯冷める前に食べよう」
すちがみことをそっと下ろし、椅子に座らせる。
朝の食卓には、目玉焼き、焼き鮭、みそ汁にふわふわのご飯と、完璧な和朝食が並んでいた。
「……すっちーのご飯、最高……」
口に含んだ瞬間、みことがぽそっと呟く。
その言葉に、すちは自然とほほえんで、「ありがと、みこちゃん」と答えた。
「すちも朝から甘々だ~!」とこさめが微笑むと、
「うん。たまには、こういうのもいいでしょ」
と穏やかに返した。
その朝は、恋人同士の甘さと、仲間のあたたかさに包まれた、幸せな一日の始まりだった。
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