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「シクサー見て!」
「嫌な予感しかしねえ」
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海ステージだった。
広い海。
青い空。
小さなボート。
最高のレジャー日和。
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そして。
操縦席には僕。
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「任せて!」
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「任せたくねえ」
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「大丈夫だって!」
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「お前が運転して大丈夫だったこと一回もないだろ」
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失礼な。
ちょっとしかない。
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僕は勢いよくアクセルを入れた。
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ボートが飛び出す。
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「うおっ!?」
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「速い!!」
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「当たり前だろ!」
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風が気持ちいい。
波も綺麗だ。
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僕は調子に乗った。
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とても。
ものすごく。
調子に乗った。
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「シクサー!」
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「なんだ!」
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「ドリフトできるかな!?」
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「海だぞ!?」
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その直後。
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ガッ!!
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岩に激突した。
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「うわあああああ!!」
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「ヌーブぅぅぅ!!」
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ボートが跳ねる。
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ひっくり返る。
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そして。
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二人まとめて海へ放り出された。
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ざばぁん!!
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冷たい。
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視界が泡だらけになる。
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ぐるぐる回る。
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「ぶくっ」
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方向が分からない。
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でもなんとか泳ぐ。
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上へ。
上へ。
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そして。
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ぷはっ!!
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水面へ飛び出した。
青い人だぜ★
1,621
#bl注意
ゆゆゆゆ
1,386
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「げほっ!」
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海水しょっぱい!
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「シクサー!?」
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周囲を見回す。
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いた。
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数メートル先。
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びしょ濡れになったシクサーがこっちを睨んでいる。
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「お前ぇぇぇ!!」
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「ごめん!!」
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「だから任せたくなかったんだよ!!」
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「ごめんって!」
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僕は慌てて近付こうとした。
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その瞬間。
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波が来た。
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「うわっ!?」
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バランスを崩す。
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再び沈みそうになる。
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すると。
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がしっ。
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腕を掴まれた。
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「シクサー?」
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強い力で引き寄せられる。
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気付けば。
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すぐ目の前にシクサーの顔があった。
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濡れた黒髪。
滴る水。
少し怒った顔。
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「本当に」
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シクサーが呟く。
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「危なっかしいな、お前」
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「ごめん……」
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「毎回毎回」
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「うん……」
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「目離せねえ」
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心臓が跳ねた。
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その時。
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また大きな波が来る。
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ざばんっ!
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僕は反射的に目を閉じた。
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次の瞬間。
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額に軽く何かが触れた。
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驚いて目を開く。
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シクサーはすぐに顔を背けた。
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「……」
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「今」
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「何もしてねえ」
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「したよね!?」
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「してねえ」
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耳が真っ赤だった。
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全然説得力がない。
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「シクサー」
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「なんだ」
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「顔赤い」
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「海のせいだ」
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「海そんな機能ないよ」
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「ある」
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「ない」
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「ある」
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その後。
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救助ポイントまで泳ぎながら、
僕たちはずっとそんな言い合いを続けた。
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ちなみに転覆したボートは回収不能となり、
ログにはしっかりと、
操縦者:Noob
事故原因:無茶な運転
と記録された。
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シクサーはそのスクリーンショットを保存し、
後々まで
「絶対にヌーブへ操縦を任せるな」
という教訓として使い続けることになる。
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