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庭にはまだ雪が溶け残っている。
そんな溶け残った雪の上に、兄貴が居た。
昔、出かける時によく着ていたあのコートを羽織って、特段険しい表情で家を出ていた。
何があったのだろう。
兄貴があんな顔をするのを見たことがない。
心配と、怒りと、不安と。そんな複雑な感情が入り混じったような表情を浮かべた兄貴は、宵闇に溶け込んでいた。
兄貴は、あんな顔しちゃダメだ。兄貴は、ぶっきらぼうな笑顔でなくては。!
でも、俺に何ができるって言うんだ…?部屋から出る事も、食事を取ることも、まともに寝る事もできないような俺が、何をするんだ、?
そんな事…、そんな事……。
知ったこっちゃねぇ!
俺は、俺の大切なドールを助けたい。それだけだ。
それ以上もそれ以下も必要無い。
ただ、自分自身の事ができないようじゃ、兄貴を笑わせる事なんてできない。
なら、克服してやろうじゃねぇか。上等だ。
なんなら、中華にも面と向かって感謝を伝えたい。
俺は、俺の私利私欲の為に動く。それだけだ。
俺の能力は、氷と雪を生み出し操る事。
雪も感情的になれば吹雪くが、普段はわりかし意識すると、そのとうりになる。
部屋に有る凍った机。それに手を置いてみる。
案の定机は更に氷漬けになった。が、これを自分の意思で溶かすことはできないだろうか?
ドールの能力とは、基本的にドール自身の意思で扱うもの。
なら、俺にもできるはずだ。いや、絶対にやる。