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・貴方の長所と短所を書きなさい。 


   私は短所で埋めつくされたアンケート用紙をながめていた。私はアンケートが嫌いだ。そもそも自分について考える事自体嫌いだ。だから心理テストも道徳も嫌い。そんな事をブツブツ考えていると阿賀川先生がそんな私のアンケート用紙を覗きこんで言った。

 「短所は長所に」

…周りが聞いたら納得できるのだろうか。私にとっては綺麗事にすぎなかった。悪い所は悪い。どう足掻いてもそれは、自分を。相手を。困らせてしまうモノにすぎないと思っていた。私が我に返ると先生は心配そうに覗きこんでいた。私は笑って先生に軽く会釈をして「そうします」とだけ応えた



 アンケートは無事終了した。もう当分は見たくない。

「大丈夫??」

甲高い声が聞こえて振り向くと仲間の三木原花鈴が立っていた。心配させてしまったのだろうか。私は笑って首を横に振ると彼女はホッとしたように肩で息をした。それと同士に私の手を引っ張った。

「次体育でしょっ早く着替えにいこ」

私は無抵抗に引っ張っられていく。花鈴は人混みを躊躇わずにずんずん抜けていく。それと同時に耳を覆いたくなるような罵倒が入ってくる。

「アイツ…また花鈴さんとアイツ学校来なければいいのに」

「ほら。あの人が柊木。」

「へぇ。なんであんなブスが花鈴さんと」

花鈴は気づいていないのだろか。私を馬鹿にしているのだろうか。何故私なんかと関わってくれるのだろうか。そもそも私なんかは花鈴の隣にふさわしくないだろう??可愛いくて優しいそして成績優秀スポーツ万能。私は真反対だ。勉強も運動も出来ない。私は…花鈴と離れるべきだ。私のせいで花鈴に被害がいったら溜まったもんではない。

   「ねぇ!!!」

花鈴の叫び声で私の意識は現実に引き戻される。花鈴の顔をみるとよく冗談で頬を膨らませるような怒りの顔とは打って変わってそこには本物らしい怒りの顔を貼り付けた花鈴の姿があった。私は沈黙に負け困り口角のみ上げ誤魔化す。瞬間に花鈴から飛んできたのは言葉でも笑顔でもなく平手打ちだった。思わず頬を抑えて膝をつく。花鈴は今にも泣きそうな顔で私を叩いた左手をこれまでにないくらいに、固く。強く。握りしめていた。ゆっくりと花鈴が口を開いた。

「最近スズちゃん斜め下見すぎだよ。悩みがあるのならどうして誰かに相談しようとしないの??」

私は思わず後ずさる。私の何が分かるんだ。「花鈴に何がわかるんだ」…

…言って反省した。慰めてくれた仲間を突き放してしまった。それでも花鈴は続ける

「分かるよ。友達だもん」

「トモダチ…?」

「いや。友達とか関係ない。私はスズちゃんがなんであろうと困っているなら助けたいの!」

友達だからって分かった気になっているのか?私が受けているいじめも知らないのに?

何時も辛い毎日だ。日常のように置かれる机上の花。トイレに入るとぶちまけられる汚水。気づいたら無くなる私物。もう死のうかと思った。それでも嫌われないよう誰彼優しくして偽りに満ちて上手くいかないそんな私の人生。あんたに何が。

「分かるよ」

あぁ声にでていたのか。

「私も同じ場所にいるから。」

花鈴はスカートをめくった。私は目を疑った。短パンなんて絶対履けないほど花鈴の足はボロボロだった。

「毎日毎日校舎裏で殴られておまけに家では父にはぶたれ…大変だよ」

「気づいてたよ最初から。全部。…ごめんね。」

そうだった。私がいじめられたすぐ後には花鈴はいつも隣にいた。自分も酷い仕打ちを受けながらも。

「私…でもやっぱ怖かったんだ」

「私には言い返す勇気なんてないし。」

「でも」

「今は平気だよ」

花鈴はいつも綺麗事ばっか言ういい子ちゃんだと思っていた。でもそうじゃないのだろう。花鈴は一番私の事を理解していたのだ。


 私は久しぶりに校庭にでた。陽気な女子達の声が聞こえて柱から覗いてみる。そこには壁にもたれかかる花鈴の姿があった。私は思わず顔をひっこめる。足がふるえる。花鈴は容赦なく殴られている。…私は眺めている事しか出来なかった。花鈴は女子がいなくなると静かに教室へ戻っていった



  私が席で本を読んでいると花鈴が身を乗り出して話しかけてきた。なんて強い人なんだろうか。この人は弱音1つ派かない。私は静かに花鈴の両手を握った。


  

 

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コメント

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ユーザー

実は少し盛った実話なんですよぉ。(アピじゃないよ☆)小学校までこうだった。小学生のときはモノ隠されたり、陰口とか悪口とか散々だったわん。 みんな!いじめはダメだゾ

ユーザー

(´;ω;`)(´;ω;`)(´;ω;`)

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