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安全のために、きちんとヘルメットを装着後に、ゴーカートにそれぞれ乗り込む。前を先導する佐々木の後ろには榊を筆頭に、和臣、橋本、宮本の順番で縦に並んで走行することになった。
出発する前に「ゆっくり走りますので、焦らずついてきてくださいね」と言われていたこともあり、ついていくのに支障のないスピードで佐々木が走行するお蔭で、榊が安心して運転していることを、コーナーでのハンドリングやブレーキ操作で橋本は感じとった。
(和臣くんも当然問題なしだが、一番の問題児はいったい、どんな運転になっているやら――)
大きなコーナーのあとはちょっとした直線コースだったので、橋本は素早く振り返り、宮本の様子をチェックしてみる。
「……アイツ、なにやってんだ?」
思わず呟いてしまうような運転を、宮本が背後でしていた。橋本の後ろをピッタリついていると思っていたのに、実際はかなり後方を走行しているだけじゃなく、微妙な蛇行運転を繰り出している状態。
遅い理由は、そのせいなのが丸わかりだったが、どうしてわざわざ小刻みにハンドルを切っているのか、そこのところの理由がさっぱりわからなかった。
(もしや、タイヤのグリップ力を調べているのか。それともタイヤと路面の相性を調べているのかわからないが、雅輝がクレイジーな走りをしていないだけ、まだマシだと言える……)
なにも見なかったふうを装うべく、橋本はすぐに前を向き、和臣の後ろを模範的に走行する。距離をあけて背後を走っている走り屋の恋人に、俺の真似をしろと言わんばかりの丁寧な運転を見せつけたのだった。
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