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その日以降、月弥はひたすら月音を探したそうだが見つからないと言う。地下の存在、地下にいる影人形の月音の存在を話し、影人形の月音が自分の心の支えになっていることを話した。黙って聞いていた二人は月弥の話を聞き終えるとゆっくりと口を開いた。
「地下があるっていうのもびっくりしたけど、弟さん…月音君はどこかで生きてる可能性があるってこと…??」
「多分そうかもしれないな…。いや、でも月弥は亡くなっているのを確認したんだよな??」
「あぁ。俺はきちんと確認した、冷たかった………っ……。」
途端に顔を歪めた月弥を見て月華は慌てて謝罪をした。
「っあ、悪い、思い出したくないよな…。すまん…。」
「いや、真剣に聞いてくれて嬉しい。ありがと月華。」
「あ、あぁ…。」
少し照れ臭そうにそっぽを向いた月華だが、すぐに調子を取り戻した。
「……さっきの続きだが、亡くなってはいるなら人形として動いてる可能性もあるぞ。」
月華がそう述べた途端、窓の外から声が聞こえた。
「その勘、当たってるかもね!!」
換気のために窓は開けていたのだ。窓の外には丸く真っ黒な目、真っ黒な頭の輪、頭の輪についた逆十字の飾り、独特な二つ結びの黄色の髪、そしてなんといっても白い羽が特徴的な天使の青年が立っていた。唖然とする三人を前にに、彼は話を続けた。
「珍しくないんだよ。生まれ変わって人形になるの。」
にこにこと笑いながら三人を見渡す。一番始めに口を開いたのは剣だった。
「な、なんでそう言いきれるんですか…。」
「んー…??だって……僕がそうだったんだよ。周りを見れば、同じような子が結構いたし。………壊されちゃった子もいるけど。」
最後の部分は三人には聞こえぬような声でそっぽを向きながら呟き、すぐに三人をまた見つめる。複雑そうな顔をする月弥が視界に入り、天使は僅かに微笑んだ。
「そこの赤い目の君、勝手に聞いてて悪いけど、弟さん、見つかるといいね。」
そう述べた後、どこかに飛んで行ってしまった。
「……なんだったんだろう。」
「嵐のような奴だったな……。」
「……弟のこととか全部聞かれてたのかよ…。」
力が抜けた三人は部屋の中でため息を吐いた。
「あれが例の三人だよ、あの目玉だらけ、でかい口を持ったあいつをシメた奴。」
先程三人を見ていた黄色の髪の天使が二人の天使に話しかけていた。二人の天使は屋敷の屋根の上で待っていたようで、黄色の髪の天使が戻ってきては興味深そうに彼の話を聞いていた。
「やるな、その灰色の髪の奴…。」
「優しそうだね~。」
淡い緑の髪を持った長髪の天使の目もまた、黄色い髪を持った天使同様黒い目を持っていた。そしてもう一人、地面に下半身だけ沈ませている彼も黒い目だった。
「まぁ、弟君の一件が終わるまでは僕らも大人しくしていよう。まずは彼らの警戒を解く必要がある。」
黄色の髪の天使は、目を細めて後ろにいる天使二人を見る。
「協力、してくれるよね??人形シグル、人形ナシェル。」
「あぁ。」
「勿論。」
剣達はまだ知らない、彼らが新たな脅威であることを。