私は彼に近づき・・・そっと手を握った、びくっと彼は体を震わせた
「・・・あのね・・・・柚彦君・・・ 」
「うん? 」
私は小声で今朝から思っていたことを、そっと耳打ちした
ヒソ・・・「私たちのリハビリは夜だけなの?それとも昼間もしていいのかしら・・・」
彼はあんぐりと口を開けて、まるで珍しい生き物を見るように、私をじっと見た
「・・・・夜まで待っていたくないの・・ 」
私は身を引き彼の反応を見た
・・・大胆すぎただろうか・・・
出しゃばりだと嫌われるだろうか
けれども目が覚めた時から、ずっと夕べの経験以外の事は何も考えられなくなっていた
もう一度・・・それも今すぐ同じことをしてみたい
彼はごくりと喉をならし、私の資料とクーラーボックスを事務所にドンッと置くと
私の手を引きぐいぐい歩き始めた
足早に私の車が置いてある駐車場に向うにつれ、彼の足どりが早くなるものだから、しまいには私は小走りでついていくことになった
「待つ必要ないよ! 」
彼の声は欲望にかすれていた
「今すぐ帰ってリハビリしよう」
私は彼の背中を見つめながら
これほどの胸の高鳴りを覚えるのは
世界中で彼ただ一人
柚彦君だけ
私は笑顔で足を速め彼について行った