テラーノベル
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あの日から、少しだけ変だった。
舜太も、俺も。
「柔、今日一緒に帰らない…?」
仕事終わり、舜太が何気なく聞いてきた。
「うん、いいよ」
「じゃ、待ってるね」
そう言って、優しく微笑む。
その笑顔に、少しだけ胸が軽くなる。
……昨日までと、なにが違うんだろう
仕事終わり。
予定通り舜太と一緒に帰る。
並んで歩いていると、舜太が突然口を開けた。
「ねえ、柔」
「ん?」
「…昨日のことなんだけど」
舜太が黙る。
何か言いたそうなのに、中々続かない。
「柔が俺に嫉妬したって言ったじゃん、」
「…言ったね」
「……あれって」
舜太が立ち止まる。
俺も立ち止まった。
「どういう意味、?」
心臓が一瞬だけ、大きく鳴った。
「どういうって……そのままだよ」
「…そっか」
舜太が俯く。
「…俺さ」
「うん」
「昨日からずっと考えてた」
「……何を?」
舜太が顔を上げる。
いつもならふざけて笑ってるのに、今日は真剣だった。
「…なんでか分からないけど」
「柔に嫉妬されたの、…なんか 嬉しかった」
今度は俺が言葉を失った。
「なんで嬉しかったのか考えたらさ、」
舜太が笑う。
「俺も、柔が他の人と仲良くしてたら嫌かもって思って」
「……舜太」
「でも、これって…」
舜太が困ったように眉を下げる。
「どういう気持ちなのか、分からない」
俺も同じだった。
分からない。
ただ、舜太が自分と同じように感じている。
それだけで、胸がいっぱいになる。
「……俺も分からない」
「柔も?」
「うん」
少し沈黙が落ちる。
それから、舜太がふっと笑った。
「じゃあ、同じだね」
「…そうだね」
また並んで歩き始める。
さっきより少しだけ近い距離。
通行人に肩が触れそうになって、舜太がほんの少し俺の方に寄る。
今度は、離れなかった。
まだ、名前のない気持ち。
でも。
少しだけ、この気持ちが何なのか分かっていくような気がした。
「柔」
「ん?」
「……明日も一緒に帰ろ」
「うん」
その一言だけで、充分だった。
コメント
3件
初コメ、フォロー失礼します🙇🏻♀️ ywsyn可愛いですし、ここからの展開めちゃめちゃ気になります🥹🫶🏻💞
おお…「分からないけど」ってタイトル、すごく好きです。お互いに「分からない」って言い合いながら、でも確かに近づいていく距離感が、読んでいて胸がぎゅっとしました。特に「明日も一緒に帰ろ」って舜太が言うところ、あの何気なさが逆に、もう答えが出てるみたいで。名前のない気持ちのままでいる時間も、きっと大切なんですよね。素敵な第3話でした。
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