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最終話です!
今回はセンシティブな表現があります。
ご注意下さい。
そして、長いです。ゆっくり読んで下さい🙇♀️
スタートヽ(*^ω^*)ノ
レトルトは薄暗い部屋の中、裸のままキヨの前に立っていた。
――ここまでの経緯を遡ると。
電車のホームで自ら命を断とうとしていたレトルトの前に突然現れたキヨ。
会いたくて、会いたくて、ずっと探し続けていた愛おしい人。
その姿を見た瞬間、張り詰めていたものが全部切れてしまった。
人目など気にする余裕もなく、ただ 泣きじゃくって、何度も名前を呼んで、離れないように強く抱きしめ合った。
そして――あの時、できなかったキスをした。
ずっとずっと、したかったこと。
唇が触れ合った瞬間、再会出来た喜びが身体中に湧き上がりキヨを抱きしめたままその場から動けなくなっていた。
しばらくして気持ちが落ち着いて、 ふと周りの視線に気付いてレトルトは慌て始めた。
「あ……。えと、 ここ、駅やん……」
『ははは…そう、だな』
二人同時に慌て始め 慌ててホームを飛び出していく。
キヨに聞きたいことは山ほどあった。
記憶は?
いつ生まれ変わったの?
どこまで覚えてるの?
まだ….俺の事、好き?
(これは聞かなくても、駅であんだけのことしたし…大丈夫か)
ただ、離れたくなくて。
失った時間を埋めたくて。
気付けば二人の足は、自然と同じ場所へ向かっていた。
歓楽街を抜けた、ホテル街。
そして――今に至る。
静かな部屋。
全裸の自分とそれを見つめる愛おしい人。
部屋に入った途端、キヨはレトルトを壁へと押し付け息をする事すら許さない様な荒々しく優しいキスをした。
されるがままのレトルトは気付いたら洋服を全て剥ぎ取られていた。
レトルトは、顔が熱くなるのを感じながら、そっと視線を逸らした。
キヨの熱い視線が、身体中に突き刺さる。
愛おしそうに笑う優しい視線とは違う。
まるで獲物を見つけ逃がさないとでも言うような鋭く真っ直ぐな視線。
あの時は向けられることのなかった表情に、レトルトの体温がじわじわと上がっていく。
「キ、キヨくん。な、なんで裸なの……?」
恥ずかしさに耐えきれず、レトルトは慌てて腕で身体を隠した。
視線を逸らしながら、口籠るように言葉を零す姿を キヨは何も言わず、ただ少しだけ目を細めて見ていた。
ベッドに腰掛けレトルトの体を隅々まで舐める様に見つめていたキヨが呟く。
『ねぇ、レトさん』
あの時と同じ声のはずなのに、 不思議なくらい逃げられない。
『隠さないで』
静かで、優しい声音。
けれどその声は、優しいだけじゃなかった。
逃がさない。
離さない。
そんな熱が滲んでいる。
『……全部、見せて』
優しく縛るような声音に レトルトの心臓が、
ドクンと大きく鳴った。
(なんか、この感じ……デジャヴやん)
レトルトは視線を逸らしたまま、心の中で小さく呟く。
昔もこんなことがあった気がする。
あの時も逃げたくなるくらい真っ直ぐ見つめられて、 追い詰められて。
こんなふうに――心臓がうるさかった。
『レトさん?』
低く落ちる声。
『手、どけて?』
キヨの視線は、まっすぐだった。
その熱に押されるように、レトルトの肩が小さく震える。
ゆっくり、 本当にゆっくりと震える手が離れていく。
(無理、無理……!こんな明るい部屋で////)
恥ずかしさで頭が真っ白になる。
顔が熱い。
耳まで熱い。
羞恥で滲んだ涙が、目の端に浮かぶ。
そんなレトルトを見て、キヨはふっと表情を緩めた。
さっきまでの熱を帯びた目のまま。
でも、どこか愛おしそうに。
まるで、やっと手に入れた宝物を見る様に。
『レトさんってさ、昔もそうだったけど。』
キヨは目を細めて、どこか楽しそうに笑った。
『俺に見られると興奮するの?』
からかうような声。
「ち、違う!そんなわけないやん!」
レトルトは顔を真っ赤にしながら、慌てて言い返すが、 言葉とは裏腹に心臓はうるさいくらい鳴っていた。
キヨはそんなレトルトを見つめたまま、小さく笑う。
『……ほんと、変わってないね』
その声はからかっているようで
でもどこか 泣きだしてしまいそうな、そんな声だった。
どれだけの時が過ぎても、 何度離れても
“こういうところは、変わらないんだな”って。
そんなふうに、愛おしむような声だった。
『ねぇ、あの時みたいに自分で触ってるところ見せてよ』
キヨはニヤニヤと口角を上げレトルトを見つめる。
「や、いやや//// そんなこと、出来ない」
『なんで?前はしてくれたじゃん』
「前の事は….覚えてない/////」
その言葉にキヨは露骨に肩を落とした。
『…..覚えてないんだ』
レトルトはその姿にズキッと心が痛んだ。
「ご、、ごめん。キヨくん。覚えてるよ!!全部覚えてる!!ただ、恥ずかしくて….////」
疑う様な目を向けられた事が嫌でレトルトはキヨに抱きついた。
そして、キヨの耳元で囁く。
「ねぇ、あの時はさ。触れなかったけどさ。
見てるだけでいいの?俺、キヨくんにいっぱい触ってほしいなぁ….////」
その言葉にキヨはパッと顔を上げて、
『レトさん、それは反則だって/////』
と顔を真っ赤にして後ろへと倒れ込んだ。
キヨは膝の上に跨るレトルトの鎖骨を、胸板をゆっくりと撫でながら赤く膨らんだ 乳首を優しく摘んだ。
「…あっ♡」
初めての刺激にレトルトは甘い声が漏れてしまう。
ゴソゴソとキヨの腰もとを撫でながら
ベルトを外して引き抜き、スラックスの前を開けた。
きつそうに膨らんだモノを下着の上から撫でると、ぴくりと反応するのを感じる。
初めて触るキヨのモノにレトルトはごくりと喉を鳴らした。
『レトさん….舐めてよ』
突然の申し出にレトルトは慌ててしまうが
『….やっぱ、出来ない…?』
キヨは悲しそうに目を伏せた。
さっきまでの熱を帯びた視線とは違う。
しゅん、と肩まで落として、今にも拗ねそうな顔。
(――絶対わざとや。)
レトルトは思った。
(こいつ、俺がこの顔に弱いの知ってる。)
こういう時だけ、ずるい。
(こいつ……)
そう思いながらも、胸の奥が悔しいくらい揺れてしまい、 案の定口が勝手に動いた。
「で、出来る!!」
勢いよく言い返し、下着に手をかけて下へと
ずり下ろした。
キヨのモノは硬く反り上がりレトルトを圧倒した。
(でっかぁ….)
レトルトは辿々しくキヨのモノを口に含んだ。
太くて熱い感触がレトルトの喉をゆっくりと押し広げてくる。
くちゅ、と水音が響くたび、ゾクゾクと甘く体が痺れる。
「……っ、く……っ♡ん、ちゅっ♡」
少しの息苦しさと口内を支配するキヨの熱で
レトルトは浮かされ始めていた。
『レトさんの…口ん中、すごく、気持ち…い』
「ん..♡ふふ♡あほ……っ♡」
キヨのモノに自らの唾液を絡ませて、ぬるぬると口を上下に動かすとぐちゅぐちゅと卑猥な音が部屋中に響く。
上目遣いでキヨを見つめ、裏筋を下から上へぬるぅっと舐め上げると、 それが堪らなく気持ちいいのかキヨは情けなく声を上げた。
『んっ…!あぁッ。…やばぁ……』
「ん、ふっ……きよ、くん。きもちいい?」
『あぁっ…きもちいー、けどっ。あぁッ……』
びくびくっと体を震わせて、レトルトの問いかけに素直に気持ちいいと喘ぐキヨを見て、
レトルトは満足そうに笑い、再び硬く立ち上がったキヨを舐め上げる。
『んは…。ちょっ……もぉだめッ…レトさ、
はなせっ……ぅあぁぁっ…』
キヨは赤く染めた顔をくしゃっと歪めて、体をびくつかせながらレトルトの髪を掴んで離そうとしたのだが、呆気なく果ててしまった。
レトルトはコクっと喉を鳴らし、キヨの先端を軽くぺろっと舐めてようやく口を離した。
「んふふ…♡キヨくんさぁ、 早すぎない……?」
レトルトに笑い混じりに言われてキヨは羞恥心に赤面しながらも、
『しょ、しょーがないじゃん。俺、こういう事されんの初めてだし……////』
はぁはぁと荒い呼吸を落ち着ける様にキヨは一度深呼吸をするとそのままレトルトを押し倒した。
『次は….俺の番、ね?』
キヨの長い指がそっとレトルトの腰に触れる。
そのまま滑るように脚の間へと手を滑らせ、
枕元にに置いてあった 潤滑剤を手に取り
タラリと指に垂らすとそのまま ゆっくりレトルトの奥へと触れてくる。
「ん、っ……くぅ……っ♡」
浅い所をゆっくり擦られ、円を描くように広げられて、時々 奥の方を撫でられると甘く熱が立ち昇ってくる。
『ねぇ……レトさん。なんでこんな、柔らかいの?』
「あっ////し、知らないっ♡////」
『もしかして….初めてじゃないの?』
「は?」
予想外の言葉にレトルトは上体を起こして
キヨを見つめる。
キヨは悲しそうな、でも嫉妬で燃える様な
何とも言えない顔でレトルトを見ていた。
『….俺が、初めてがよかった….』
「ちょ、、ちょっと!キヨくん!」
『許さない….』
嫉妬に熱く燃える視線がレトルトに刺さり息が詰まる。
キヨは指を2本、3本と増やしてレトルトの弱いところを的確に擦り上げた。
そして、馴染んだ頃に指を腹側に折り曲げ
特に快楽の強い場所を引っかきレトルトを
快感へ突き上げた。
「あんっ♡あんっ♡だめ、そこ////いい♡
き、よ…くん、あっ♡聞..ぃ、てぇ♡////」
レトルトは必死にキヨの名前を呼ぶが
キヨは聞く耳も持たず、ただレトルトに貪りついていた。
その目には少し涙が浮かんでいた。
「ん…♡////んんっ、き、よ…♡」
『そんな声で、違う男の名前も呼んだんだろ?なぁ、俺の事はもう好きじゃないのかよ』
苦しそうに笑うキヨの顔を見た瞬間、レトルトの中で何かが切れた。
(ふざけんなよ!!!俺が今までどんな思いでお前を探し続けてきたか…..)
「聞けよ!!!!アホ!!!!」
レトルトはキヨの頬を両手でパンッと挟んだ。
キヨは驚いて目を見開いた。
「お、俺は….俺、は….。ずっと、キヨくんしか、知らない。キヨくん以外いらない。」
『でも、じゃあなんで…こんなすんなり入るんだよ?柔らかいし…』
「そ、それは….1人で…してた…から..」
『へ?』
「キヨくんのこと考えながら、1人でしてたからだよ!!アホーーーー!!!』
レトルトは真っ赤になりながら叫ぶように大声を上げた。
『レトさん…ごめん。疑って…ごめん』
キヨはレトルトを力一杯抱きしめた。
レトルトもキヨの背中にそっと腕を回し囁いた。
「俺にはキヨくんしかおらんよ。ずっと、ずっと、キヨくんだけやで? だから、もっと触って、キヨくん….」
その言葉に誘われる様にキヨはレトルトを優しく引き寄せレトルトに自分の熱をあてがうと、その切っ先をゆっくりと埋めた。
「あぁぁっ♡!!!」
キヨは腰をゆっくりと進めていく。
ずぶずぶと中を埋めつくす感覚にレトルトは声をあげた。
「んあぁぁ……♡あぁぁーー……♡きよ、くんで、いっぱい、や….♡」
腹が 目一杯広がっているのがわかる。
キヨが中で動く度に先っぽから溢れる蜜がシーツを汚す。
キヨは無意識に逃げようとするレトルトの腰を掴んで自らの方にぐっと引き寄せ、強く叩きつけた。
「あぁぁー…////だめ…ひ……♡あぁ、もっと…♡ 」
強烈な快感に意識が半分飛びかけてるレトルトの耳元でキヨは囁いた。
『レトさん、はぁはぁ。もっと…奥まで、入らせて…』
レトルトが言葉の意味を理解するより先に
既に最奥に届いていたキヨのモノが更に奥に刺さり レトルトの結腸を抉った。
「あ”ぁッ♡!?ぐ、るじ、ぃ♡////ん゛ッ……♡」
『はは……♡やっば♡レトさん…きもちいい?…♡」
「あぅ♡ぁぁ……きもちいぃ。壊れ、る。も、こぁれる…ぅ♡」
『壊してあげる…♡俺だけの…レトさん♡』
キヨから与えられる快楽に翻弄されレトルトは無意識に下腹に力を入れると、 それに応えるようにキヨのモノがぐんっと大きさを増して奥へ奥へと突き進む。
「ん゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ッ♡だめ、だめぇ♡それ、いじょ、おぐ、ダメェ♡♡♡/////」
『はは♡壊れろ…壊れろ…壊れろ…』
キヨは激しく腰を打ち付けた。
レトルトは最奥を突き上げられ、しこりを擦り上げられ止むことのない快感に 高い声で喘ぎ続けた。
「あん♡”あんっ♡”キヨくん////も、らめ♡///
イくっ♡”“ああああんっ!」
『っふ、ぅ”うんっ、イって、レトさ ん』
「ん”あぁぁ”……♡あぁぁ”……♡」
その言葉に促される様にレトルトは絶頂を迎えた。
「キヨ…くん、愛してる….」
『レトさん、愛してる』
レトルトは心地よい温もりに包まれながらゆっくりと目を開けた。
まだ少しぼんやりする視界。
すぐ目の前には、無防備に眠るキヨの顔があった。
寝息は静かで 安心しきった顔で眠っている。
その姿を見た瞬間、レトルトの胸の奥がぎゅっと締め付けられた。
「本当に……キヨくんだ」
夢じゃない。
幻でもない。
触れられる。
隣にいる。
その事実だけで胸がいっぱいになり
気付けば、また涙が溢れていた。
会いたかった。
ずっと探してた。
生まれた瞬間から、ずっと一一。
胸の奥にぽっかり空いた場所を埋める存在をずっと探していた。
前世の記憶。
今世の記憶。
過去世のことは、覚えてない。
でも、一つだけ確かなことがある。
何度生まれ変わっても。
姿が変わっても。
名前が変わっても。
ずっと、ずっと、 俺は――キヨくんに恋をしていた。
レトルトはそっと手を伸ばし、キヨの頬を優しく撫でた。
何度も夢に見た。
思い出しては泣いて、探して、諦めきれなかった顔。
指先で確かめるように触れてレトルトは小さく笑って、 震える声で囁く。
「ねぇ、キヨくん ……今度も、最期まで一緒にいてね」
そっと言葉を落とした。
静かな部屋に小さく響く、祈りの様な言葉に返事はないと思っていたが一一
『当たり前だろ』
レトルトの目の前で、さっきまで眠っていたはずのキヨがうっすらと目を開けていた。
「お、起きてたん!?」
慌てるレトルトを見て、キヨは少しだけ笑う。
そして、逃がさないように腕を回してレトルトを優しく引き寄せた。
『何回生まれ変わっても、 俺また絶対レトさんのこと見つけるからさ』
レトルトはその言葉に胸の奥がいっぱいになってしまい、気持ちを言葉にしようとすると全部涙になってこぼれ落ちてしまう。
ぽろぽろと溢れる涙を慌てて手の甲で拭っても
涙は一向に止まらなかった。
言葉に出来ない代わりにレトルトはキヨを
愛おしいく抱きしめ返した。
しばらく黙って抱きしめ合った後、レトルトはずっと気になっていた事をキヨへ投げたけた。
「……キヨくんさ、 前世の記憶….ある?」
(出来れば、覚えてないといいんだけど。俺を殺したのが自分だなんて、嫌やろ)
キヨは「んー」と声を漏らしながら天井を見上げた。
真剣に思い出そうとしているのか
しばらく考え込んだあと――
『いや、全然覚えてない….』
そう言って、いつもの笑顔を浮かべた。
(よかった….)
レトルトがホッとしていると、キヨは自信満々に話始めたり
『でもさ!俺!神様だった!』
にこにこと 満面の笑みで。
どこかすごく誇らしげに笑っていた。
「神様?神様ってどんな?」
レトルトは少しだけ首を傾げながら、笑顔で聞き返した。
けれど心の奥では、別の感情が静かに揺れていた。
(――死神だったこと、覚えてないんだ。)
あんなに長い時間、俺のせいで
ずっと1人で罪を背負って 彷徨って。
1人で地獄に行ったのに….。
それなのにキヨは、何も知らない顔で笑っている。
『なんか……死んだ人を天国まで案内してた気がする!
で、その時……レトさんに会って――』
そこまで言って、キヨは嬉しそうに笑う。
『レトさんのこと好きになった』
その言葉にレトルトは胸が熱くなった。
『でも、最初レトさんに会った時レトさん全然笑わないし目死んでるし、正直なんだこいつって思ったよ』
キヨは記憶をたぐり寄せる様にゆっくり話す。
『でも、なんでだろ。レトさんの目みてたら
なんとなく遠い遠い昔の自分を見てる感じがしてさ。なんかほっとけなくて….』
『だから、そん時思ったんだ!俺がこいつの最期、目一杯笑わしてやる!!ってさ』
レトルトは小さく笑って、聞こえないくらいの声で呟いた。
「……やっぱり、キヨくんや」
「じゃあ……俺と二人で過ごした1ヶ月間の事は覚えてる?」
レトルトは少し不安そうに聞いた。
もし忘れていたら。
もし、自分だけ覚えていたら。
そんな考えが、ほんの少しだけ頭をよぎる。
けれど、キヨは迷いもなく答えた。
『覚えてるよ!全部!』
即答だった。
『映画行ったし、水族館も行った!毎日スーパーも寄ったし、 遊園地でレトさんジェットコースター乗って大号泣したよね…』
キヨは思い出したようにニヤニヤし始める。
「……してへん!!」
レトルトは即座に言い返した。
顔を真っ赤にして、枕を勢いよく投げる。
『うわっ!』
キヨは笑いながら避けた。
『してたって!「もう無理!もう降りる!」
ってめっちゃ叫んでたじゃん』
「言ってない!!」
『しかも降りたあと足ガックガクでさ〜』
「キヨくん!うるさい!!」
部屋に2人の笑い声が響く。
さっきまで笑っていたキヨが、ふっと静かになってレトルトを見つめた。
『……レトさんと歌った歌も、ちゃんと覚えてるよ』
静かな声だった。
『今世に生まれた瞬間から、 レトさんの事と
あの歌だけは覚えてた。 ずっと、一人で歌ってたんだ』
レトルトの瞳が揺れる。
何度生まれ変わっても。
記憶を失っても。
名前が変わっても。
それでも消えなかったものがあった。
2人で歌った、あの歌。
最期まで歌い続けた、あの歌。
二人だけの思い出の歌。
キヨはそっと手を伸ばし、レトルトの手を優しく包む。
『レトさん、あのさ….』
少し照れたように笑って、
『やっぱ一人で歌うの寂しいからさ。 今日からは、また一緒に歌おうな!』
レトルトな涙が溢れそうになるのを堪えながら、ぎゅっとキヨの手を握り返す。
「……うん!! ずっとキヨくんの隣で一緒に歌うからね!」
そう言ってレトルトは笑う。
それにつられてキヨも笑った。
生まれ変わっても。
忘れてしまっても。
遠回りしても。
何度でも、また出会う。
そして今度こそ、 もうひとりでは歌わないと
2人は誓い合った。
窓の外から差し込む朝の光が、二人を優しく包んでいた。
その光の奥から二つの光が2人を見つめていた。
柔らかな白い光が、くすりと笑うように揺れる。
「なぁ、閻魔よ。 キヨという男の記憶……変えたのか?」
黒い光は黙ったまま揺れ、やがて低い声が返る。
「別に変えてなどいない。 思い出さなくていい記憶を消しただけだ。 死神も一応、神だしな。」
その声はいつも通りぶっきらぼうだった。
けれど白い光は、何かを察したように小さく笑う。
「はは……甘いのは、どっちなんだか」
一瞬の沈黙。そして、
「おい!なんか言ったか!?阿弥陀如来!」
黒い光が大きく揺れた。
「ははは」
楽しそうな笑い声が響く。
そして阿弥陀如来は、遥か下の景色を優しく見下ろした。
寄り添って笑う二人の姿を。
何度生まれ変わっても、また惹かれ合った二つの魂を。
「……あの二人が、今度は二人で私の元へ来てくれるといいなぁ」
その願いは、祈りの様に静かだった。
すると、閻魔は鼻を鳴らして吐き捨てる。
「あんな毎日真面目に罰を受けるような、面白味のないやつ 地獄にはいらんわ」
その言葉に、阿弥陀如来はまた笑った。
終わり
最後までお付き合い頂きありがとうございました!
チャパそす様から 「十三月のカルテ」の続編のリクエストを頂き、書かせて頂きましたが
いかがだったでしょうか?
十三月のカルテではゴリゴリのバッドエンドでしたが、やっぱりハッピーエンドに持っていきたい魑魅魍魎でした笑
また是非、感想など書いて頂けると
とっても嬉しいですヽ(*^ω^*)ノ
本当に最後までありがとうございました♡
魑魅魍魎
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もうぽろぽろ涙がと゛ま゛ら゛な゛い゛ 最後の『あんな毎日真面目に罰をうけるやついらんわ』という言葉が凄く刺さりました。キヨの優しさが滲みでていてそれはそれはもう目から滝が…( ߹꒳߹ ) そしてやっぱりハッピーエンドも書いてくれると思っていました😏 そしてストーリーも予想外な展開が沢山あって読んでいて心が弾みました! 感無量な物語ありがとうございました

続編を書いていただきありがとうございました!!まさかハッピーエンドが見れるとは、!!輪廻転生を上手く使った物語!見ていてとても面白かったです!あの二人がなぜあんなに惹かれ合っていたのか納得です!!次回作も楽しみにしています!!
読了しました。最終話、本当に温かい気持ちになりました……!「十三月のカルテ」の続編ということで、あのバッドエンドからここまでの救いがある物語を読めるとは思っていなくて、最初から胸が熱くなりました。特に「何度生まれ変わっても恋をする」という魂のレベルの愛が、具体的な細かい仕草や言い回しの一つ一つに現れていて、そこがとても好きです。阿弥陀如来と閻魔のラストシーンも、優しい余韻を残してくれました。お疲れ様でした、素敵な作品をありがとうございます🤍