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成宮牧場に来て三度目の朝を迎えて、またしてもベッドの隣に夫がいないことにアリスはガッカリした
昨夜こそは彼とゆっくり話をし、頭の中で渦巻く質問の雨を嵐のように、彼に降り注がせ
彼が世間一般に見せている、険しく獰猛な印象の下に隠されている、優しい真実を垣間見るチャンスを掴もうとしたのに
またしてもアリスは失敗した
夕食は直哉が持ってきてくれて、北斗は忙しいので先に寝ていてくれるようと事付ったと言った
義弟は少し酔っぱらっているようだった。しかし持ってきてくれたポークジンジャーは、舌がとろけるほど美味しかった
アリスは配達してくれた食器とトレーを綺麗に洗い、お風呂に入って、ベッドで彼を待っている間に睡魔に襲われ眠ってしまった
そして真夜中、フワッとお風呂上がりのボディーソープの薔薇の香りが鼻孔をくすぐり、全裸の北斗にのしかかられた。アリスの心はときめいた
「すまない・・・・起こしちゃ可哀想だとわかってるんだけど、君の寝顔があんまり可愛くて・・・」
夕べの彼の誘惑を思い出して、アリスは一人ベッドの中でふにゃ~と顔をだらしなくゆがめた
彼はアリスを肉体の情熱の極限まで誘惑した
しっとりと濡れた舌を夢中で絡ませているうちに、アリスのネグリジェもパンティもどこかに消え、気が付けば大きく脚を開き彼の体を挟んでいた
アリスは夢見心地で目を閉じたまま、自分のふしだらな欲望に身を任せた
彼に触ってもらいやすいように腰を浮かすと、耳の傍で北斗が笑っているのを感じた
だって・・・私は彼の妻だもの・・・こうするのが当たり前だわ・・・
温かい彼の素肌は人間火鉢のようで暖房いらずだ
アリスは両手で硬く大きく膨れ上がっている、彼のモノを両手でしっかりと握った
そして優しく上下に擦ってあげた。飛行機の中でこうしてあげると、彼が気持ちよさそうにしていたのを思い出した
耳元でクスクス笑われた
「ダメだよ・・・嬉しいけど、そんなことをされると終わってしまう・・・」
そう言って優しくそこから手を外された、少し寂しい気持ちになったけど、すぐさま彼の短い髪の毛の中に手を入れて撫でてあげた
夢見心地で彼を体の中に招き入れ、優しく突かれるのはたまらなくよかった
彼の熟練された動きは、アリスに心舞い上がる希望をもたらし。幸せになる活気を呼び起こした
アリスは呼吸がままならなくなった、話すのも、考え事をするのも難しい、彼にそこをそうされると・・・・
ああ・・・もっと突いてっ・・・
信じられないことに、アリスは彼にされるがままになっていた
上に乗せられたり、ひっくり返されたり、右か左か上か下かもうわからなかった
ただ彼と繋がっている熱い部分の感覚だけ
最初は優しく穏やかだった彼だが、アリスが感じ始めると次第に奔放で大胆になり、最後は嵐のごとく激しくなった
いい・・・とてもいい・・・・
イくイくイくっ・・
ああっ・・・北斗さんっ好きっ・・!
そしてあの目くるめく絶頂を迎えた
彼を中に迎え入れたまま自分がはじけ飛んだ
目を閉じているのにまっ白の視界の中に、星が見え、体はがくがく痙攣し、内側がひきつるように収縮した
少し遅れたタイミングで北斗の放たれた、熱い精を奥で感じると、さらにまた気持ちよくなった
自分の体がこんな風に感じるなんて夢にも思わなかった
北斗はぜんそく患者のように息を喘がせたアリスを、絶頂の極みからゆっくりと引きおろし。眠りに落ちるまでそっと抱きしめてくれていた
耳たぶの裏にキスをされ、髪と背中・・・お尻まで優しく交互になだめるようにさすられるのがなんとも心地よい
彼は気持ち良すぎる
アリスは温かく、暖房いらずの大きな彼に抱かれ、子供のように満足に眠った
そして今目覚めたら横に手が触れたのは冷たいシーツだった
おそらく彼が気を利かせてくれたのだろう。部屋は緩く暖房がかかっているが、朝日の中自分は一人だった
彼はアリスが寝ているうちに起きて去って行った
いったい彼は何時に寝て、何時に起きているのかしら?
唇を尖らせフとベッドボードを見ると、見事な朝露が付いた1輪の真っ赤なバラと、茶色い封筒があった
ワクワクしてアリスが封を開けた
―途端にガッカリした
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―奥さんへ―
君が心地よく目覚めてくれていることを願う。朝食は冷蔵庫に用意してある、俺は今夜も遅くなる。うちの壁掛けテレビはネットフリックスとAmazonプライムと、ディズニー+が観れる、今日は映画観賞をして過ごす事を提案する
北斗
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彼の筆跡は明瞭で内容は、ロマンティックのかけらもなかった、二人であれほどの夜を過ごしたのに、彼の手紙の中身はそっけない業務連絡のようだった
アリスは一輪の薔薇の花を手に取った、やはり綺麗にトゲは取り除かれていた
薔薇園で彼が与えてくれた快感の、記憶がよみがえる・・・
あの時の薔薇の香りにうっとりしたのも事実だが、彼が薔薇の花びらでアリスの顔をなぞった時の優しさ
そこに込められた畏敬の念は、確かに愛されていると感じた
彼との愛の営みは最高だ。アリスはこの夜の結婚生活は大満足だと思った
それなのに・・・・
目を左右に動かして辺りを見た
私・・・避けられているわけじゃないわよね?
北斗にはまったく異なる二つの面があることにアリスは戸惑っていた
昼間はアリスから隠れるかの如く、どこにもいなくなるのに
夜は闇に隠れてあれほどの情熱をぶつけてくる彼に、矛盾しか感じなくなっていた
それなら起きて待っていればいいのに、まだ時差ぼけが治っていないのか、彼を待っている間にどうしても眠くなって
寝てしまう
それに彼にキスをされたらひとたまりもなく
あれを拒むのは相当の気力がいるし、彼にどうして昼間は自分を避けるのか、問いただすことも可哀想だ
もし自分が見当違いの考えをしていたらと思うと、彼には何も言えなくなってしまうのだ
アリスは薔薇をじっと見つめて、ため息をついた
なんて私の夫は謎めいていてセクシーで、悩ましい存在なのだろう
そこでアリスはピンッときた
そうだ!夫の彼に聞けないなら、彼の義弟達に聞くのはどうかしら!
相変わらず名案だとアリスは、早速ベッドから飛び起きた