「それじゃ観覧履歴を見てもらいますね
出会い系なんて見てませんから」
「彼氏の持ち帰り分ちゃんと清算しなさいよ」
私はエプロンから財布を取り出して
クレープの金額をレジに打ち込み
小銭をレジに投げ入れた
「観覧履歴を!」
「わかったわよ!
あれは私の勘違いよ、でも私は心配しているのよ
男女関係で離婚して失敗している
過去を持っている人ってなにかとんでもない
騒ぎを起こしそうなんだもの」
男女関係で失敗してきた人?
あなただって離婚したくせにと言い返して
やりたかったけど
ここはぐっとこらえて奈々さんの
言葉を思い出していた
―いじめ人格障害には
相手の一方的な主張に同調しない・・・
事実だけを追求する――
「先日私のキッチンシューズが盗難にあったんです」
幼い子供のするつくり話しを聞かされたかのように
榊原さんは笑った
その声にどこか見下すような響きを感じ取ったのは
気のせいじゃないだろう
「あれはあなたが忘れてきたことを
失くしたと騒いでいるだけでしょう!
まったく!いい加減にして! 」
「あなたがそうやって信じてもらえないから
ショッピングモールの守衛さんに相談しようと
思っているんです
このショッピングモールで
盗難騒ぎが起こっているってね
なんならオーナーにもかけよって各店舗に
通達してもらってもいいかと思っているんです」
「あなたって・・・・ 」
とうとう彼女が怒りをあらわにした
激しく眉間にしわを寄せている
「そうそうそれから
先日レジ閉めをしている時に
おかしな小銭の差額を見つけたんです
いづれも数百円程度ですけどね・・・・
これもオーナーに報告しますね」
コーヒーマシンを拭きながら
何気ない世間話しをするように言う
一気に榊原さんの顔がひきつった
これも確信を持てていた
彼女はきっと私達にレジの訂正を一切
させずに自分は小銭をちょろまかしているのだ
私はずっと彼女に言いたい言葉を
ついに言えた
「あまり私をなめないで」
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