「いそげ!もう時間がない!!」
中野さきは救急車で運ばれる。
中野さきの異変に気づいた家族が、すぐさま救急車を呼んだみたいだった。
「起きて!さき!」
少し意識が戻ってきた中野さきは、家族が泣いている姿を見て、安心させようと手を繋ぐ。
「だ…いじょう…ぶ」
手術室へ運ばれすぐさま手術が始まった。
中野さきはその後死んだはいないが、完全に意識を、失い、眠りについた。
夕方ごろになり…
黒岩竜一はこの夢の謎を突き止めるべく、
星野ミクが死んだとある神社の頂上の裏側まで登っていた。
頂上まで辿り着くと、星野ミクのお墓の前で
木下真里がお墓参りにきていた。
竜一は今度こそお話しようと彼女に声をかけようとすると、彼女は竜一に気づき、また逃げようとする。
しかし竜一は彼女の腕を掴む。
「まってくれ!!なんでいつも逃げるんだ…」
彼女はいつも暗く、学校の時もずっと1人だった。
正直何を考えているのかわからなかった。
「ちょっと…」
木下真里が何か喋りたそうにしている。
「どうした?」
竜一が木下真里の顔を見ようとすると、
彼女は顔が見えないように下を向き、一言喋った。
「手…いたい」
竜一は彼女がどこかへ行かないように無意識に手を強く握っていた。
「あ、ごめん」
竜一は謝り、少し変な空気が流れるが、
ずっと無口で暗い木下真里はやっぱり何を考えているのかわからない。
「なぁ、少しお話しないか?」
彼女は少し驚くが、こくりと頷く。
2人は頂上にある神社の休憩所のベンチに座る。
ここから見える町の景色はとても綺麗だった。
緑がいっぱいで学校やみんなの家がよく見える。
遥か先にはたくさんの建物が建ち、建設途中の物も全てが見え、水平線の彼方を見てみると、この世界がどれだけ広く美しいのかがわかる。
「見てみろよ!木下真里!」
木下真里は立ち上がり、この広く美しい世界を見て微笑む。
「綺麗だね…」
「あぁ…」
竜一は今まで辛いことや悲しいことがたくさんあったが、この最高な景色を見て、心の中で溜まっていたモヤモヤが少し晴れたような気がした。
木下真里の顔は赤くなっていた。
それは夕焼けの日差しによって赤くなったものだろう。
「わ、わたし…」
木下真里が突然何か喋りたそうとするが、
竜一と目が合うと恥ずかしくなったのか急に黙り込んだ。
「な…なんでもない…」
竜一は不思議そうに彼女を見る。
心の中でやっぱり何考えているのわからない人だと思い、竜一は空を見上げる。
「暗くなるし帰ろうか」
竜一と木下真里は神社を後にする。
その頃…高橋れなと村田友香は…
「どうすればいいのかな…」
高橋れなが村田友香に夢のこと、中野さきのことを電話で話していた。
「大丈夫かな…」
村田友香も中野さきが救急車で運ばれたと聞いた時は
心配になりすぎて病院まで行ったらしい。
だが、手術中だったので結局家に帰ることにしたそうだ。
「私が…その怪物を倒せば…」
村田友香は友達が傷つけられ、怪物に怒っている。
「なに言ってるの!!勝てるわけないでしょ!!」
高橋れなは怪物の恐ろしさを知っている。
怪物の恐怖を知っている。
だが、あの怪物を倒せる可能性がありみんなを救ってくれるのはきっと黒岩竜一だと信じている。
というのもあの地下で起きた戦いを高橋れなは見ていたからだった。
彼は何度もどん底から這い上がってきた。
そしてその度に強くなって帰ってきている。
恐らく、黒岩竜一は恐怖を乗り越え、あの怪物にも恐怖しないのだろう。
だから強いのだと高橋れなは確信した。
村田友香は怪物を倒すため、部屋にナイフ等を用意するが、正直物足りない。
「そうだ!白井拓馬になにか武器もらうか!」
家を出て、村田友香は白井拓馬の家へ向かった。
10分ほどで白井拓馬の家へ着く。
チャイムを鳴らすが誰もでてくる様子はなかった。
「あれ?おかしいな…」
チャイムを連打して鳴らすと、
白井拓馬が怒らながら玄関の扉を開ける
「だれですか!!って村田さんじゃんどうしたの??」
村田友香は怪物を殺すための武器が欲しいと白井拓馬にお願いする。
「ははーん。そのために僕の家にきたんだねどーぞ家に上がってゆっくりしていーーってね」
白井拓馬の相変わらず変わらないテンションに村田友香は呆れる。
「さぁ、見たまえ、僕のこの2つの新兵器を!」
白井拓馬の新兵器一つ目は、拳銃だった。
弾は4発撃てるらしく、威力も申し分ない。
村田友香は驚く。
「あんた拳銃作ったの??警察に捕まるよ!!」
そして次の新兵器は設置型爆弾だった。
威力はそこまでないが、怪物を少しの間怯ませることができるみたいだ。
威力が強すぎると自分も危なくなるから取り扱いには危険とのことだった。
「あれ?拳銃の方これ弾入ってないよ??」
村田友香が気づき、白井拓馬に教える。
「あれ?なんでだ?昨日の夜中補充したはずなのになー」
その頃…黒岩竜一と木下真里は…
夜もだいぶ暗くなり、2人で歩いていると竜一が木下真里に話しかける。
「なぁ、何か夢のことや怪物のこと知らないか?」
竜一は木下真里の反応を伺いながら質問するが、
木下真里は何もわからないみたいだった。
「そっか」
結局、今日一日何をしていたのかよくわからなくなった竜一は、木下真里と別れ、家に帰り、寝ることにした。
「次は…どうなるんだろう…」
お布団に入り、ゆっくり深呼吸する。
「今度も必ず…みんなで脱出するんだ…」
そして竜一は眠りについた。
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