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10日目の夢が始まり、竜一にとっては8度目の夢が始まる
ベッドから起き上がり、ノートの中身を見てみる。
クラスメイトの名前が書いてあり、死んだ人には罰印がつけられている。
今現在罰印がついているのは、
相川はると…松村ライキ…近藤翔太…田中みゆ…藍沢叶…そして一番後ろのページには…
「星野ミク…」
星野ミクのページだけ古く、だいぶ前に罰印がつけられているような感じだった。
考え事をしていると部屋に白井拓馬、高橋れな、村田友香が入ってきた。
「さきは…」
中野さきはもう足が動かないので、ずっと部屋で寝たきりの状態みたいだ。
ベッドから起き上がることもできない。
「全員で5人、動けるのは4人か」
初めてこんなに生き残れたことに竜一は嬉しくなる。
この調子で必ずみんなで脱出しようと心に決める。
「中野さきはどうするの?まさか置いて行くの?」
村田友香が喋りだした。
歩けない以上、今回は人数も多いので背負って行くと、守ることができないのだ。
彼女を死なせない為にも、足がよくなるかわからないがこのままにしておく方がいいと竜一は村田友香に説明した。
村田友香は中野さきと一緒に脱出したかったが、また夢の世界にくるのなら、竜一の言う通りだと考え納得してくれた。
「わかったわ…」
竜一は昨日の夢のことを思い出した。
「あ、白井!よかったら拳銃俺に貸してくれないか?」
白井は驚いた。
拳銃のことは村田友香にしか話したことなかったからだ。
「だめ!拳銃は私が持つ!私が怪物を殺すから」
村田友香が拳銃を持っていた。拳銃使ったことがあるのか聞いてみるが、初めて撃つと言うので、竜一は心配になった。
竜一自身は中学の頃等よくサバゲーをやっていたし、実銃の専門のお店で撃ったことがあったので得意だ。
村田友香は自分自身の身を守る為に持っているし竜一は仕方ないと思い拳銃を諦める。
すると白井拓馬が何やらニヤニヤしている。
「竜一君そう落ち込むな!今回はまた違うのを持ってきているのーです!!」
白井拓馬が取り出したのは設置型爆弾だった。
「これさえあれば怪物から逃げることができるのです!!」
使い方はいろいろありそうだが、竜一はこういう爆発系には弱いのでとても目を輝かせている。
「すげー!!」
高橋れなはみんな楽しそうに話しているのを見て、また学校に戻りたいなと心の中で思った。
「よっしゃ!それじゃ赤い扉を探すか!」
みんなは竜一の部屋を出て、別館へ向かう。
別館は遠く、監視カメラの電波も届かず意味がなかった。
あまり嫌々で乗り気じゃないが、白井拓馬も連れていくことになった。
行く途中、村田友香に今までこの家で何があったのか幻影を見せてあげる。
図書室で相川はるとの死の瞬間、寝室から玄関ホールへの扉で田中みゆの死の瞬間、玄関ホールで藍沢叶の死の瞬間、牢屋の部屋で松村ライキと近藤翔太の死の瞬間を…
だが彼女はあまり動揺していなかった。
やはり彼女にとって大事な存在は高橋れなと中野さきなんだなと竜一は納得する。
別館へ入り、左の階段を登り昨日赤い扉があった部屋へ入ると、広い和室だった。
部屋の中心には宴会などで使いそうな大きいテーブルが置いてある。
部屋の奥には仏壇が置いてあり、ボロボロで埃まみれだった。
「きたない部屋だな…」
竜一が部屋へ入ると、一気に空気が変わるのを感じた。
今までの部屋とは明らかに部屋の温度が違った。
他のみんなもこの部屋だけは今までと違うのを感じ取っている。
特に奥の仏壇からは異様なオーラを感じる。
仏壇へ近ずこうとすると、肌がピリピリしてくる。
「明らかにこの仏壇何かあるぞ。みんな気おつけて」
竜一がみんなに注意するように促す。
みんなも周りを警戒しながら竜一の後を追う。
仏壇の目の前へ立つと、この部屋がグラグラと揺れ始めた。
「な…なんだこれ!」
みんなは上手く立つことができない。
すると仏壇の中からいきなり黒い禍々しい手が出てきた。
這い蹲るように徐々に顔や体を出す。
「まさか…怪物!?」
怪物が姿を現した。
高橋れなが部屋から出ようと扉を開けるが、
なぜか鍵が閉まってて出ることができない。
「なんで!?」
ドアノブを回したり、押したり引いたりしても開かなかった。
「グゥゥゥゥゥゥゥゥウウウ」
竜一が前へ出る。
「怪物に真っ向勝負で勝てるはずがない!!」
白井拓馬が逃げるように促すが、竜一は何か作戦でもあるのか。みんなに下がるように言う。
すると村田友香が怪物に銃を撃った。
「死ね!!死ね!!死ね!!」
村田友香は2発撃った。
だがしかし、怪物は煙のように姿を消し、いつの間にか村田友香の後ろに回り込んでいた。
怪物は腕を振り下ろした。
竜一が村田友香に飛びつき、怪物の攻撃を避けた。
「拳銃貸してくれ!」
竜一は村田友香の持っていた拳銃を手に取り、
怪物の頭部を狙い1発射撃するが、また煙のように姿を消し、仏壇の前に移動した。
白井拓馬は怪物の移動手段を見て何やら分析している。
高橋れなは恐怖で身動き取れないでいた。
竜一はポケットから取り出したハサミを手に取った。そしてそのまま怪物の方へ走り出した。
怪物は竜一を殴り飛ばそうとするが、間一髪で交わし、ハサミの先を首元へ刺そうとするが、また煙のように姿を消し、竜一の背後へ移動する。
竜一は怪物に両腕を掴まれる。あまりの力の強さに拳銃とハサミを落とした。
「うぁ….ぁぁあ」
怪物は竜一の右肩から食べようと口を大きく開ける。
「いやぁぁぁぁぁぁぁあ」
高橋れなが叫び声を上げる。
すると白井拓馬が怪物の方へ走り出し、落とした拳銃を拾い、怪物の頭を狙った。
「竜一は絶対に死なせない!!」
白井拓馬が撃った弾は見事に怪物の頭を貫いた。
怪物は力が抜け、竜一の両腕を離す。
「グググガガ」
そのまま怪物は床に倒れ、煙のように姿を消した。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
竜一はだいぶ疲れ、息が荒い。
白井拓馬も久々に走ったのか、すごく疲れている。
高橋れなは一気に緊張が解け、床へ座り込む。
村田友香は自分の手で怪物を倒せなかったことに対し、悔しがっていた。
竜一が白井拓馬になぜ銃が当てられたのか質問した。
「あの怪物はおそらく不意打ちしか効かないんだと思う」
つまり、怪物が竜一に夢中になり、周りが何もしてこないと油断したからこそ倒せたのだ。
白井拓馬は仏壇の中を調べると、中に鍵が置いてあった。
「この鍵はどこの鍵だ…」
高橋れなが入ってきたこの部屋の扉を観察すると、ドアノブに鍵穴があるのを見つけた。
「なんで内側に…」
不審に思いながらもその鍵で扉を開け、皆んなは別館の玄関ホールへと戻る。
2階の右のもうひとつの扉にも鍵穴を見つけ、さっき手に入れた鍵で開けると、奥に赤い扉があるのを見つける。
「これで脱出できるな!!」
みんなは喜びあう。だが村田友香は少し寂しそうな顔をしている。
「中野さきのことは今回は諦めたほうがいいですよ。」
白井拓馬が話しかける。
「わかってる!!!わかってるよ…」
村田友香は寂しそうな顔をしているが、
戻って中野さきをつれてくるのはあまりにリスクが高すぎた。
「約束だよ!中野さきがよくなったら皆んなで脱出しよう!!」
白井拓馬が村田友香を説得する。
竜一は今回も誰も死なずに生き残れたことに
嬉しがっている。
「この調子でみんなで脱出していけば絶対大丈夫だよ!」
竜一も村田友香の肩に手を置き、説得させる。
村田友香は納得し、みんなで赤い扉へ入った。
そして夢の世界から抜けだした。