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ドズル「いやー、これ美味しいらしくて買いすぎちゃったんで一緒に食べましょうよ!」
ぼん「うん。あ、じゃあちょっとっ――…ゴホッゴホッ…うぇ…げぼっ…」
咄嗟に口の前に出した掌が赤黒く染まる。
ドズル「?ぼんさーん?大丈夫ですか?」
ぼん「っ、大丈夫、大丈夫。ちょっと咳出ちゃっただけ」
ドズル「?…ならよかったです!あんま無理しないでくださいね」
彼は僕に向かっていつも通りのあの屈託のない笑顔を向けてくれる。その笑顔がほんの少しだけ、いつもよりも僕には遠く見えた。
ぼん「…うん。」
握りしめた拳のぬるりとした生暖かい感触が気持ち悪い。早くどうにかしないと。
ぼん「ちょっと手、洗ってくる」
ドズル「はーい!」
ドズさんは俺が手を洗ってる間にテキパキと皿を並べて、お菓子を出しておいてくれる。
手にべっとりとついた血を水で洗い流して、白い洗面所のボウルが少し赤く汚れたので、その辺にあったスポンジで擦っておく。
ぼん「おー、うまそ。ドズさん俺の分まで用意してくれてありがと」
ドズル「あたりまえですよ。ぼんさんにはいつも頑張ってもらってますし。……あ、でも無理はしちゃだめですからね!」
ぼん「大丈夫、」
僕は喉の奥の痛みで声を出すのも辛いが必死で口角を上げて大丈夫だと発する。いつも通りを思い出して、目の前にカメラがあると思って自然な笑顔を、自然な声色を。そうでもしないとドズさんにはバレる。
ドズル「…まぁ、ならいいですけど…」
一瞬だけ、ほんの一瞬だけ、ドズさんは探るように目を細めて少しだけ怪しそうに眉間に皺を寄せて、明らかに不服と言った様子であきらめた。
ぼん「ほら、早く食べよ。」
ドズル「はい!いただきます。」
ドズさんのくれた土産を口に入れて気づいた。目の前のドズさんはかっら!と辛そうな、でもどこか嬉しそうな顔をしているのに僕にはそれが感じられない。まさかな。だって、今までも大丈夫だったんだし。自分に言い聞かせて笑顔を作ってまた話す。
ぼん「ちょっとドズさん大丈夫?」
ドズル「かっら〜、でも美味いっすね。ぼんさんどうです?」
ぼん「美味いよ。ありがと」
ドズル「良いんですよ」
ドズさんの笑顔はやっぱり眩しい。俺の中の暗いとこを明るく照らしてくれる。いい意味でも、悪い意味でも。いい意味はそのまま、元気づけてくれることだが、悪い意味はその優しく光るオレンジ色のあの瞳に、優しさに、心の中の闇も、知られたくないことも、全て見透かされてしまいそうで。それが嬉しくも、恐怖でもあった。
さっき、迷惑を掛けたくない、空気を変えたくないと言ったが、1番は、ずっとここに居たいのだ。あれだけの反対を受けてもドズさんは俺と組むと言ってくれた。それが嬉しかったんだ。誰かにあれだけ必要だ。と求められて、嬉しかったんだ。ドズさんと組んだ最初はファンにだって反対されて、要らないとまで言われた。でも、ドズさんはずっと居てくれた。隣に居てくれた。隣に置いてくれた。だから今の俺は絶好調だった。ファンのみんなにも段々受け入れてもらえて、今は俺の歌で救われたなんて言ってくれる人までいる。可愛い後輩達にも恵まれて、チヤホヤされて、はっきり言って浮かれてた。このままの時間がどれだけ残ってるかなんて考えなかった。きっとまだ生きられる。そう思わないと普通に笑えなかった。幸せを手に入れる度に辛くなる。怖くなる。痛くなる。胸の奥がズキりと傷んで、この人達に嫌われたくない。忘れられたくない。一緒にいたい。そんな思いで泣きそうになる。死んだらいつか忘れられるのかな。写真の中の自分は段々と仲間から知らない人になるのかな。そう思うと怖くて仕方なかった。いた人。それくらいになるのかな。死んだら一人ぼっちなのかな。そう考えて、幸せなのに泣きそうになるから。
終わりです!味覚が無くなってきて吐血してしまったぼんさん!はてさてどうなってしまうんでしょうか。更新スピード遅いですが気長にお待ちくださいm(_ _)m。
ぴのん(うさぎ化)
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コメント
1件
第3話読みました…っ🥀 ぼんさん、吐血してるのに「大丈夫」って笑うとこ、胸がぎゅっとなりました。ドズさんの優しさがそのまま痛みに変わってる感じがして、読んでて息が詰まるような切なさがあった…。「忘れられるのが怖い」って本音、重いけどすごく響きました。幸せの裏側にある死の影、ちゃんと描けてると思います。続き待ってます🌙