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主要登場人物一覧
蔵島壱成(18) …2代目主人公 警衛局付属教育隊大阪地方方面本部ULコース所属
竹島龍聖(18)…警衛局付属教育隊大阪地方方面本部ULコース所属
中島佑紀弥(18)…警衛局付属教育隊大阪地方方面本部ULコース所属
藤森俊哉(18)…警衛局付属教育隊大阪地方方面本部ULコース所属
室口翔平(41)…警衛局付属教育隊大阪地方方面本部ULコース担当教官
西崎保法(38)…警衛局付属教育隊大阪地方方面本部ULコース担当教官
北家徳仁(59)…警衛局付属教育隊大阪地方方面本部部長
「私は警衛官としての使命を自覚し、日本国憲法を重視し、警衛官職務執行法を重視し、他国に誇れる国づくりを、そして国、民の防衛ために自らの命をかけて戦い抜くことを誓います。」
警衛官候補生代表者が警衛官としての誓いを声に出して読み上げた。
そして、方面本部長からの言葉などを終え、1時間半程で入隊式を終えた。
入隊式を終えると一般コースは、明日の授業に備え休みが与えられた。
しかしULコースは、入隊式が終わるなり出動服に着替えすぐにグラウンドに集合した。グラウンドには大阪地方方面本部ULコースの警衛官候補生16人が集まった。
「警衛官、特にULTIMATE隊員に体力、精神力は必須となってくる。今からここに置いてある装備を装着してもらい俺がいいと言うまでグラウンドを走ってもらう。」
そう言うと室口は置かれていた防弾チョッキ、自動小銃、ヘルメットなどULTIMATEの装備品をその場に広げた。数分後装備をつけ終えたULの候補生らを見て室口は笛を吹いた。
「始め」笛の音を合図に蔵島達は一斉に走り出した。一般コースの候補生らに見られながらもひたすら走った。
「おら、遅いぞ。それで奴らを殺せるとでも思ってんのか?そんなんじゃ殺されるぞ」室口は、スピードの遅い藤森俊哉に並走しながら怒鳴った。
「はぁーはぁー。すいません。はぁー」
「藤森、もう息切れか」
「いえ、大丈夫です」
「なら、もっと走らんか」
「はい」次に室口が目をつけたのは藤森の少し前を走っていた竹島龍聖だった。
「おい、ちょっと遅いんじゃねーか?」
「すいません」
「お前、元高校球児なんだろ?高校球児の体力はこんなもんか?」
「いえ、」
「じゃあもっとスピードを上げろ」
「はい」
「中島ー。何ふにゃけた走り方してんだ。」
「すいません」室口は次々と候補生らに怒号を浴びせた。だが唯一かけられなった男がいた。蔵島だ。体力にはそれなりに自信のあった蔵島は、先頭をキープしながら、スピードを緩めることなく淡々と走り続けた。
それを見て室口は笛を吹いた。
「中島、蔵島、この2人は先に終えていいぞ。根性がお前らにはある。それ以外の者は走り続けろ」1時間程走り終え、蔵島と中島は寮に戻った。
「きつすぎだろ。あれは」中島は出動服を脱ぎながら呟いた。
「あんな感じが半年間続くのか」蔵島が呟くと中島はベットに寝転がった。
「入るところ間違ったかもな。一般コースに入るべきだったぜ」
「中島、お前はなんでULコースに?」
「俺、衛務島出身なんだよ。小さい時に島がゾンビにぐちゃぐちゃにされてそれから、ULTIMATEに入ってゾンビ倒したいなーって思って、お前は?」
「一緒だ。中島、約束しねーか?」
「約束?」「あー。絶対に逃げねーって。一緒にお前とULTIMATEに入隊しよう」
「お、おう。」
「約束だぞ」そう言うと蔵島は汗だくになった体をタオルで拭きながら寮の冷蔵庫に入れていたコーラーに口をつけた。数時間後へとへとになりながら竹島と藤森が帰ってきた。
「お前らなんで1時間半で終わったのに俺らは4時間も走りっぱなんだよ」竹島はへとへとになりながらそのままベットに寝転がった。
「根性があるとかないとかだろ?」藤森が言った。その日の夕食では室口の愚痴で盛り上がった。
「あの室口って野郎絶対何かあるぜ。前線から教官とかいう裏方に回されたんだから」竹島は推理っぽく言った。
「何かって?」藤森が聞くと竹島は豚汁を一気に飲み干した。
「例えばー。そうだな。確かあいつここに配属になったのは12年前って言ってたろ?だから12年前に何かがあった」
「12年前って言ったら衛務島でゾンビが出た頃だぜ」中島が言った。
「なら、それだ。あいつは12年前何かをやらかした。又は何かショックな出来事が起きてここにやってきた。そんなところか?」
「ショックな出来事か」藤森が呟いた。
その頃室口は西日本方面本部長を務める片倉旬に会っていた。「室口お前、風の噂で聞いたけど厳しくしすぎじゃねーか?程々にしねーと」
「12年前のような事が二度と起きないようにしてるだけだ」「真島の事、まだ考えてんだろ?あいつは自殺未遂でそのまま死んだ。何もそこまで考える必要はねーだろ」
「真島みたいに自ら死を選ぶようなそんな弱い警衛官にはなって欲しくない。それにあの時俺は仲間を一度に2人も亡くした。確かに俺がしてる仕事はそういう仕事。いつどこで死ぬか分からないまま常に仕事をしている。でも流石にあれは受け入れる事ができなかった」
「室口。お前が教官になったのも真島の死と関係がありそうだな」そう言うと片倉は煙草をくわえた。
「とにかく、体力、精神力は警衛官に必須だ。でも無理は禁物だ。彼らはまだ候補生だ。候補生を卒業すれば嫌でも辛い事の連続だろう。だからせめて候補生の時ぐらいは優しく接したれ。」
そう言うと片倉はその場から去っていった。