静かな場所に行きたい。無音で。心揺さぶられることなく。
ただ自分を保っていられる場所へ。
「こっちの方が似合うと思うな!」
『…うん。それじゃあそっちにしようかな。』
…そうかな。こっちの方が綺麗だと思うけど。
「どれ食べる?…うーん…ねぇ、これ二人で頼んでシェアしようよ。」
『…分かった。いいよ。』
「ありがとう!」
…あー…限定じゃなくて普通の方が美味しそうなのに。
「…って凄い優しいよね!」
『そうかな。ありがと。』
…優しくしたことなんてないのに。ただ望まれたことを………
「部活テニス部入ろうよ〜!」
「いやいや…卓球部でしょ。」
『…あはは。どっちがいいかな?』
…別々だと困るんだよな。どっちかにしてくれないかな。
「テニスって外出なきゃ行けないから暑かったり寒かったりするじゃん。」
「えーでも卓球部って雨の日もあるじゃーん。学校行くのめんどくさい〜。…でも日焼け嫌かも。」
『…じゃあ卓球部にする?』
「そーしよっかなー。」
「え?やりたい部活ないの?」
『うん。特に。』
…卓球もテニスもあんま得意じゃないんだよな。やるならバスケとかバレーの方が…。
でも、卓球部に入った方が喜ぶんでしょ?
「やったー!よろしくねー!」
「志望校決めたの?」
『…お母さん。…今考え中です。』
「そうね。貴方の成績だったら選択肢は多いでしょうね。…今考えてるのは?」
『ここの理数科かこっちの普通科です。』
「…こっちの…普通科……ね。…まぁ良いんじゃない?でも理数科の方が経歴としても花がつくし…よく考えて頂戴ね?」
『…はい。』
普通科の方がいろんなことを経験できて職種の幅が増えそうだけど…偏差値ちょっと低いかな。
自分を保つ?自分で選択したことないくせに。人の目を見て。反応を感じて。言葉を詠んで。
無音になったら。決められるのだろうか。
無音になったら。選べるのだろうか。
無音になったら。自分の形はあるのだろうか。
無音になったら。自分の個性を見れるのだろうか。
無音になったら…?
保つ自分は…あるのだろうか。
無音を望むということは、意志程度は、持っているのだろう……か。
…分からないのか。見たくないだけなのか。心中に問えば解は見い出せるのか。
未来の自分に問うてみよう。
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