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~四話「思い出」~
「ねえ、こさめ、何したい?」
「えっ?」
今、なんて言った?
「だから!こさめは何したい?」
「問詰めないの?怒らないの?」
「んー、怒っても意味ないし。呪いとけないし。それに問い詰められたくないでしょ?こさめ。」
そういいながららんくんは保健室のタオルでこさめのか髪をわしゃわしゃしてくれた。
とっても心地よくて、安心した。らんくんらしい考え方だな、と思った。
「だから俺らにできることってあと一年しかないこさめの人生を思い出であふれさせることじゃないかなーって!
だからいろんなことしようよ。こさめがしたいこと」
こさめがしたいこと、、そんなこと考えてもいなかった。ただただいつも通りの人生を歩んで一年後に死ぬ気でいた。
だけど、最後くらいしたいことしたらこの世界楽しかったなって思って死ねるかな。
「ありがとう。らんくん。えっとねこさはー」
その言葉の続きが出なかった。だってこさにはいきたいところもやりたいこともなかったから。
無理やり「こさめ」を演じ続けてきた「本当のこさめ」にはもう何も残っていなかったから。
「ふふっ、思いつかないんでしょ?じゃあさ、このまま授業抜け出して散歩しない?」
「えっ、、いいの?生徒会なのに?」「ふふっ、こさめはまじめだなぁ。いいんだよ。ちょっとくらい、ね」
「そう、なの、、?じゃあそうする」
いつか行きたいところできるかな、、なんて考えた。
するといきなり腕を引っ張られた。優しく、でも勢いよく。
「昔はこさめがこうやって俺らの手を引っ張ってくれたよね。」
そう笑ってらんくんは言った。なんにも考えられないままらんくんに引っ張られて外に出た。
するとそこにはみんながいた。すっちー、みこちゃん、いるまくん、なつくん、それにらんくんがいた。
「みんな、、どうしてここに、、?」
「バーカ、遊びたいからに決まってんだろ」「素直じゃねーななつは。本当はこさめのこと心配で心配で一番驚いて焦ってたくせに。」「はっ、はぁっ!?そんなことねぇしっ!ただ遊びてぇだけだし!」
「もう~、なっちゃんってば。ごめんね。こさめちゃん、らんくんの持ってた隠しカメラから全部聞いちゃった。」
「えっ?、、らんくん、、どういうこと、、?」
「あー、ごめんね。みんなこさめのこと心配だっていうからみんなにも情報提供したくて、、」
「らんくんのバカ!」「ごめん!ごめんってぇ、こさめぇ」「あっ、こさめに見捨てられた。」
「ひどい!いるまひどすぎる!」「ははっ」「らんおつ」「でもらんらんストーカー気質あるからなぁ、、(笑)」
「すちまで!?」
「ふふっ、あはははっ」
笑った。久々に声をあげて笑った。本当におもしろい。みんなの会話って。懐かしいなぁ。いつぶりだろう。
確かに普段から話してはいた。話してた。だけどそれとはまた違うかんじがした。
みんな驚いてこっちを見ている。途端にふっと表情が和らいだ。
「こさめがこんなに笑ったの久々に見たかも、、」「俺も、、」「おれも!、、」「おれも、、」
「まっ、いいことじゃねぇか!今日はパッーと行こうぜ!」
雨上がりの空の下を六人で歩き始めた。
久々にしっかり、ゆっくりと見る世界はいつもとは違った。すがすがしいほどきれいだった。
ふいに足元でぴちゃんっという音がした。水たまりの中に入ってしまった。
「あっ、こさめはいってやんの」「むっ、、そりゃ!」「おわっ!?制服にかかったんですけど!?やったな!
それ!」「ちょっと!?俺にまで来たんだけど!?」「すちおつ!」「もう~(笑)」
久々に無邪気に楽しんだかもしれない。
こさめの体には紫陽花の痣が増えていた。
作者追伸
全然投稿できてなくてすみません。m(__)m