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目黒は気が付いたが言わない。渡辺が微妙に目黒を避けてる。そして、少し怯えている。
何より、自分の家に帰ると言う。
ほとんどを目黒の家で過ごしていたが、帰ると言う。
目黒ー急にどうした?
渡辺ーんっ〜んっ。
目黒ー誰かに言われた?
渡辺ーんっ〜んっ。
目黒ー分かんない、ちゃんと教えて?
渡辺ーごめん、言えない。だけど、信じて。何でもないから。
目黒ー何かあったけど言えないんだね?
渡辺ーとにかく、帰るから。
目黒ー会える?
渡辺ーんっ〜んっ。
目黒ー仕事以外は会えないの?
渡辺ーごめん。
着替えも、化粧品も何もかも、置いたまま帰ってしまった。
ちょっと、おかしいって思ったのが、3日前。その日からいつも、ジャージを着ている。暑くてもTシャツにはならない。当然、愛し合ってない。肌に何かある。だが見せない。家でも、長袖でタートルのロンTを着ていた。
辛い目に遭ったのだろうか?
目黒には、申し訳なく思って言えないのだろうか?
問い詰めたら、どうなっただろう。
脱ぎ捨てて置いてあるジャージを手に取る。何気に襟を見ると血が付いている。首を見せないのは、これのせい?
渡辺に何が起こっている?
なぜ、目黒に言わない?言えない?何をした?何をされた?
明後日は、練習日。
問えばどう言うだろう?
練習日。
岩本ー目黒、翔太が休むと連絡してきた。何があった?
目黒ー分かんないんだ。自分の家に帰ってる。
岩本ー何か、また厄介事か?
目黒ー何も言わないんだ。謝るだけで。
岩本ー1週間やる、原因を突き止めてくれる?
目黒ー翔太くんなんて?
岩本ーしばらく休むしか言わなかった。困るから。
目黒ー分かった、話をしてみる。
岩本にそう言ったものの、渡辺が会ってくれない。ブログを読んでも、最近はサウナに行ってない。あの服の下に何がある?
目黒ー翔太くん。
渡辺ー帰って。
目黒ー帰らない、その服脱いで?
渡辺ーい、いや。
目黒ーこの暑いのに、タートル着てるの何で?この間、ジャージの首のところに血が付いてた。
渡辺ーちょっと引っ掻いただけ。
目黒ー乱暴なことしたくない。脱いで?
渡辺ーお願い、帰って、というか別れて?
目黒ー理由は?
渡辺ー・・俺の浮気でいい。
目黒ーその首、キスマークでも付いてるの?
渡辺ー・・うん、いっぱいある。だから別れて。
手が震えている。床を見るというより睨んで「別れ」を口にする。
目黒が近づくと離れる。身体には触れさせてもらえなさそうだ。
だが、別れてと言われて、はいとは言えない。
目黒が腕を掴むと、「ヒュッ」と息を吸うような声を出す。
目黒ー触られるのもだめ、服を脱ぐのもだめ、別れてと言う。
誰かにその身体何かされてるね?
渡辺ー・・。
目黒ー翔太のパートナーは誰?
渡辺ーめ、目黒。
目黒ー解消しなきゃいけないようなことが起こっているね?
渡辺ーんっんっ〜んっんっ。
目黒ー俺は、聞く権利あるね?
渡辺ーごめん、ごめんなさい。
目黒ー脱がすよ?
渡辺ーだめ、帰って。
首元を押さえ、背を向けてしまった。後ろから目黒が抱きしめる。ポロポロ泣いて首を振る。見えてしまった。首にたくさんのキスマーク。
目黒ー翔太、はっきり言って。何が起こってる?
渡辺ー・・怒る。
目黒ー聞いてみないと、分からない。
渡辺ー呆れたって言う。
目黒ー翔太!
渡辺はソファに膝を抱えてポツポツ話す。
目黒の今関わっている仕事の、サブアシスタント。村上という。
目黒と渡辺が一緒にいるところを見た。目黒が渡辺の髪をすくっている。2人が帰る後をつけた。同じマンションに入っていく。
別の部屋に住んでいると、もう一つ部屋を借りてるいうことは知らない。
村上は渡辺が気に入った。考えた。何を言えば渡辺が言うことを聞くか。目黒だ。「目黒がきちんと仕事出来なくなったらどうする?」と言う。渡辺は真っ青になりながら、ちょっと震えていたが、「目黒の仕事の邪魔はさせない」と言う。
村上ーあんたが、俺に付き合うなら、何もしない。
渡辺ー付き合う?
村上ーあんた、綺麗だからさ、キスいっぱいして、その白い肌にマークいっぱい付けて。
渡辺ー出来ない。
村上ーじゃあ、目黒の仕事が潰れる。
渡辺ー・・。
村上ーどうする?
渡辺ーキスだけ?
村上ー当分はな、それから先はまた考える。
渡辺ー絶対、目黒の仕事の邪魔はしない?
村上ーあんた次第。
渡辺ー・・分かった、どうすればいい?
潔癖症の、渡辺には耐え難いような部屋。ベッド。
村上は渡辺をベッドに押し倒しキスしてくる。首に強い痛みを感じた。噛んだのだ。何度も噛む、血が出てくる。
鎖骨にも、胸にもキスしてくる。
そういう日が続いている。嫌がれば目黒の仕事が出来なくなる。
ほぼ10日ほど、好きにされてる。ブログにも、嘘で、サウナに行ったと最初は書いていた。
泣きながら話す。目黒から離れている。もう一緒にいられないと言う。汚れた、自分は汚いと泣く。
もう愛してもらう価値がない。こんな渡辺は見たことない。目黒は涙が出てくる。自分のために、渡辺自身を犠牲にしている。
逃げる渡辺を捕まえて抱きしめる。声を上げて泣く。もう捨ててと言う。
目黒ーこんな、ばか知らない。何で一言でも言わないの?
渡辺ー仕事がだめになる。
目黒ーそんな弱い立場の奴なんか、なんとでもなる!
渡辺ーお前に怪我させたら?何するか分かんないんだぞ!
目黒ーだからって、なんで、自分を犠牲にする⁈
渡辺ーどうすれば良かった⁈
目黒ー俺に言って!俺を頼って!身体にそんなの付けて!悔しくて涙が出てくる。
目黒が泣きながら抱きしめてキスしようとしても渡辺は避ける。
渡辺ーもう汚れてるから、捨てろって!
目黒ー捨てるか、ばか!
渡辺ーだって、 1度や2度じゃない。あいつの思い通りにされてきた。
目黒ー俺のためなんだろ?俺を思って我慢したんだろ?翔太。
渡辺は目黒から離れて、服を脱ぐ。
胸元に散った赤い花、首に出来た噛み痕、身体を何度も擦ったのだろう、赤くなっている。
目黒ー何度?
渡辺ー6度かな。
目黒ーもう会っちゃだめ。
渡辺ーでも!
目黒ー俺が何とかする。
渡辺ー・・。
目黒ー今夜は俺の家に帰ってきて。
渡辺ー・・でも。
目黒ー翔太くんの家、綺麗にして、俺の家に帰ってきて。
渡辺ー・・うん。
目黒が練習に帰って行った。
渡辺は、ノロノロと部屋を片付ける。電話が鳴る、村上だった。今から来いと言う。渡辺はもう会わないと言った。目黒の仕事が潰れるぞと言う。
その、目黒に話をしてあると、だからもう会わないと言う。
練習が終わり、目黒は家に帰って来たけど、渡辺はいない。携帯に連絡しても出ない。
渡辺なら、こんなとき、どこへ行く?目黒はある場所に向け車を走らせる。