そのとき世界は無であった。
無こそが
世界に最初にあったものであった。
そこに、創世神様は生まれた。
それも、現在の私達では到底理解し得ない法則と方法によって。
或いは奇跡というご都合主義なものから出来た存在だったかもしれない、
過程などはどうでもよい、
そこに存在が確立したのが創世神様であったこと、
それがただひとつの真実であり
理なのだから。
創世神様が最初にお創りになったものは意外や意外に天界ではなく、
地上であり、生命であり、
物質的なもの全てであった。
ただ数兆の時間が経ち、
創世神様は思いついた。
自身以外の「神」という概念を。
神、それ即ち絶対。
全てを超えうるもの。
創世神様はそれを恐れない。
創世神様を超えることが不可能であり思考することすら烏滸がましい敷居であった為。
そして
それでも創世神様は驕り高ぶらない。
神は創られた。
創造神、其れを補佐するもの、
数多の神を創り上げた。
最初に創り上げられた数兆の神、
それらは人間界には余りに強大なものであった。
こんにち人間と呼ばれる彼らが崇める神は、
「信仰」がなければ力や存在さえ確立しない、
そんな不安定な一存に過ぎないが、
創世神様が最初に創った神々は、
人間の認識できるものではなかった。
つまり住む世界を別ける必要があった。
そうして創られた天界、
天界には、
他からの干渉を許さず此方からの干渉のみとする「神力」を纏わせ、
そこに住む神々にも同じ力を持たせた。
そして其れすらを容易く凌駕する、無とも最とも言えうるが形容さえできない力である「蓋世」を同じく天界と神々に付与なさった。
そこに住む神々を「天界神」と名付けた。
月日は流れ、
現在の人間ではないが、
現在の人間がいうところの
「亜人」という人々が確立した。
が、この人間という概念の創成こそが
唯一の創世神様の失敗であった。
創世神様は人々の会話を聴いた。
どうやら彼らの中には
「天使」
という概念が生まれつつあるらしい。
ならば創ろう、天の使いを。
そして
天使は創られた。
そしてまた人間は有りもしないものを生み出した。
それが「悪魔」である。
創世神様は悪魔という概念、
そしてまた世界を別けるべく
「魔界」
という世界を確立させた。
敵、味方、不干渉の存在でさえ、
創世神様はお創りになられていた。
創世神様は人々を観て言った。
「異なる世界を複数、
無数に創成することとする。」
そして、
「力」の支配者である鬼、
「死」の支配者である死神、
「信仰」の支配者である天界神以外の神、
「魂」の支配者である妖、
「欲」の支配者である魔、
「武闘」の支配者である龍など、
本当に数多の概念を生み出した。
それは最も歴史が浅い、
「機械族」の世界である「造界」が創られた数十兆年前に至る。
現、全世界はそこそこ繁栄している。
しかし創世神様は数年前、
ひとりの天使と何らかの干渉をした後、
その意識を閉ざしている。
天界神は口を揃えて言う。
「創世神様は償いをしているのだ」と。
神が償う────
たったひとりの天使に───?
滅せよ、さらば滅されん。
全ての存在、忘れることなかれ。
貴方が深淵をのぞく時、
深淵も貴方をのぞいている。
抹消せよ、抹される覚悟があるなら。
嘲笑せよ、嗤われる覚悟があるなら。
証明せよ、完膚なきまでに完封される覚悟があるなら。
幻滅せよ、失意の果に見捨てられる覚悟があるなら。
遊戯せよ、自身ともども傀儡になる覚悟があるなら。
観測せよ、観測される覚悟があるなら。
そして干渉せよ、干渉される覚悟があるなら。
誹謗と中傷、無礼な干渉。
それら一切の覚悟さえ無いなら、
私、いえ…
我々──【観測者】に、
貴方は干渉すべきでは無い。
安心せよ、
届きうる世界ではないこと
とうの昔に痛感している、
全知全能の観測者は
たった一人の人間すら救えないと、
わらえばいい
私が要らない世界になればいいですね、
こんな完璧な世界で、あの子だけは救われる可能性がない、
創世神様、ああ創世神様よ。
年月を経て禊給え、貴方様の罪を。
なぜ貴方様は、
なぜ
あの子に
「生きていなければ不幸になることもなかったのか」
とまで言わせたのですか。
正解は
「もともと生まれてこなければよかった存在も存在する」
です。
貴方様は実に非情ですね。
貴方様の創り出した存在達が、
もうじき終焉を迎えます。
観測せよ、観測されし者達よ。
今更の半端な干渉も観察も観測も許さない。
貴方は関与している。
Øをめぐる世界に。
或いはその、一端に。
コメント
3件
私、去年のことを考えてみると嘘をついて人を傷つけてばかりいたかもしれないと考えつきました。まぁ、本心を言って傷つけたものもありましたが。 だからこれを読んだ正直な感想を言います。 私にはよく分からなかったです。だからこそ、静かに見守ろうと思います。分からないのに口を出すのは、やっぱり良くないと思いましたのでね。この判断がちがうなら、私にできることはないんだろうと勝手ながら考えさせてもらいます。
私には言葉など要らない ただ、ただ、せめて悲観させていただきたい、 私の存在に意味がひとつしかなく、 そして意味すら消えてしまうかも知れないこと、 しかしそれが、それこそが最たる願いであることです。