テラーノベル
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暇だったので一本だけ
※ 曲パロ
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― tnSide ―
グルさん
その、いつも彼を呼ぶ言葉を今日も口から発そうとした
でも、出なかった。
言葉には何かが詰まって、上手く喋れない。
彼が目の前にいるのに、何も話せない。
いつもあったあの口喧嘩も、いつもあったあのやり取りも全て。
たった一つのことですべて壊れた。
俺は慌てながら、執務室にあった紙とペンを手に取り書いた。
そこには「グルさん、声出ないんやけど」と今の現状を説明するかのような文章。
伝わると思ってた。
”いつも”なら伝わってたはずだった。
gr「 と、トン氏…… 」
gr「 お前は今何をしている? 」
意味が分からなかった。
だが、俺は即座に彼の行動と言動で察した
目も合わないほどキョロキョロ周りを見ていて、手を少し広げて何かを探す仕草。
それと先程の言動。
そう、
彼は、目が見えてなかった。
俺は暫くの間、固まっていた。
昨日まで普通に会話をしていた彼と、話すという行動すらできなくなった。
俺がどのような行動をしても彼には届かない、
そう、真実を見せつけるように彼の綺麗なベキリーブルーガーネットの瞳が若干濁っており
俺の姿を写そうとはしなかった。
その後、大先生が書類を持って来た。
俺に書類がどうのこうので見てほしいとか。いつも通りの行動だった。
だが、彼は俺らの行動を見てか、慌ててペ神に報告する姿が見える。
俺は直ぐ様ペンを走らせ、紙にこう書いた。
「 グルさんは多分目見えへんからそっち優先してくれ 」
と。
彼はすぐに「 分かった 」と独り言のような声量で言いながら
首を縦に降ろしたり上げたりを繰り返した
グルさんはずっと、
gr「 誰だ、 」
と警戒しながら
gr「 何が起こっているんだ? 」
と若干困惑しながら
gr「 トン氏はいるのか…? 」
と俺が居るかどうかの確認をしながら
俺には何も出来なかった。
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数分経ったあと、勢いよくペ神が救急キットを持って執務室へ飛び込んできた。
psn「 だ、大丈夫?! 」
ut「 、!ペ神!!!とりあえず今は大丈夫やで! 」
gr「 …?何が起こっているんだ…?ペ神と…大先生、、? 」
ut「 グルちゃん……、、ちょっと状況分からんかもやけど待ってな。 」
……俺は聞くことしか出来ない。
喋ることさえも出来ない。
寂しかった。
取り残されたようで、何処か独りぼっちを感じた。
だが、グルさんのほうが辛いに決まっている。
俺の方は生活には支障は起こさないが、グルさんに関しては「目」だ。
見えなかったら戦争状況も何も、出来ない。
移動すらもまともに。
俺はペ神が色々体になにか起こっていないか確認する様子、
大先生がグルさんに寄り添って今の状況を説明する様子、
グルさんが大先生から聞いた状況を冷静に聞く様子、
それらをただ眺めていた。
否、眺めることしか出来なかった。
psn「 ……目は…見える? 」
gr「 いや……見えない 」
psn「 ッ……そっか、 」
やはり目は見えなかった。
彼はペ神が居る方へ音を頼りに手を伸ばす。
ペ神はそれに察したのか、彼の手を取る。
そして、
psn「 原因はわからないけど… 」
ちゃんと見つけるから。
そう一言告げた。
gr「 、!…有難う。 」
その一言に彼はこう発した。
……
「 寂しい。 」
声は出さないで
俺のやり切れなさに沈黙のまま叫んだ。迷惑をかけたくないから。
……だけど、
psn「 〜〜〜、〜〜? 」
ut「 〜〜〜ン? 」
……やっぱ全く役に立たないって分かんてんだよ。
gr「 〜〜トン…? 」
……はぁ、
psn「 トントン? 」
tn「 、! 」
『 すまん、ちょっとボーっとしてたわ。 』
psn「 ……そっか、なら良かった 」
ペ神はそう言って俺に微笑んだ。
……勘付かれたな。
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その後、俺らは飯がまだだったため食堂へ向かった。
グルッペンは鬱が介護って言えばええんか?笑
まぁ補助しながら向かった。
飯が並んだあと、いつものように「いただきます」と彼だけ言いながら俺も手を合わせた。
飯を口に入れた瞬間、更に気付いたことがあった。
味がしなかった。
急なことに思考が止まり、急いで他の物を食べた。
どれも同じだった。
何を口に入れても味がしなかった。
…例えると、粘土細工のような感じだった。
気色悪かった。
吐きそうだった。
だけど耐えた。
gr「 美味しいな。 」
彼はそう口にする。
俺もぎこちないが、少し縦へ首を降ろした。
…また、味のしないものを口にした。
やはり、美味しくなかった。
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何日か経った。
勿論、幹部全員に現在の状況を伝えた。
するとみんな変わったように仕事に取り組み始めた。
内ゲバは回数が少なくなるだけだった。まぁ俺としては良かったと思う。
だが、彼は徐々に賑やかだった音が少なくなることに悲しみを持っていた。
いつも通り執務室で大先生と一緒にグルさんを見守っていた。
補助のため、幹部全員が交代交代でしているのだ。まぁ今日はその担当が大先生だった。
静かだった執務室で一つの言葉が溢れた。
gr「 どうしてこんなに悲しいのだろうか。 」
その一言で、大先生もグルさんの方を向いた。
黒色の彼は俯いたまま泣き、藍色の彼は慌てた様子でどう声をかけようか悩んでいた。
俺は一つの文章しか思い浮かばなかった。
『 お前もすぐに慣れるわ。 』
そんな、言葉だけが。
まるで俺のほうが先に経験してきたということを言っているように見えるが、
気にしないでおこう。
大先生はそれを見て、
ut「 …とんちはすぐに慣れるって言ってるわ。 」
と小声で呟いた。
するとグルさんは泣き止むように目を擦った。
大先生は変わらず背中を擦り続けた。安心できるように、ということだろうか。
そんな中、俺は何も出来なかった。
……あぁ、俺って薄情者だな。
沈黙が多い中、俺の脳はその言葉で埋め尽くされた。
話したい。
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夜、俺は眠れずに居た。
隣にはグルさんも起きている。
……そういや今日はあの日だったか。
そう思い、彼にも見せたい。見えないけど音で感じてもらいたい。
そう思ったから彼の腕を掴んだ。
gr「 トン…氏、? 」
彼が俺に疑問の言葉をかけたことは無視して、俺はグルさんを引っ張って部屋から出る。
彼は俺に未だに「どうした」だの「何かあったのか?」だの声をかけ続けるが、
俺には返答できない。
本拠地である場所から出て、国も出て、とある森へ進んだ。
真っ暗な中、俺は彼奴の腕を掴み、引きながら何処かへ
深夜2時辺りだろうか、そこで目的地へ着いた。
其処には夜空と海の音、そして空に鳴り響きく花火の音。
綺麗な背景があった。
彼は最初は花火に吃驚していたが、
花火の音だと分かった瞬間落ち着いたようないつもの雰囲気になった
gr「 いい、場所だな。 」
そう一言を零し、俺は少しほっとした。
その日の夜空は、海は、花火は、
前見たときより異様に綺麗で、目に焼き付いたような感覚に至った。
この手を離したくない。
gr「 まだいるか? 」
あぁ、居るよ。ちゃんと。
そう心のなかで返事しながら肩をポンポンと軽く叩く。
彼の顔から少し笑みが溢れた。
静かになった夜中、俺は彼の手を引いて家という名の本拠地に戻った。
その日だけ心が満たされた。
まぁ、後からみんなに怒られたんですけど。
グルさんは悪くない、俺が悪いって説得しましたよ。ちゃんと
彼奴等全員胃が痛そうにしとったわ。お疲れ笑
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好評だったら続き出します。
文字数→4,059文字
疲れた。
コメント
3件
、 すきすぎる
// 暇だからというノリで書いてるのに笑う 表紙は書く気になれなかった