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kaede🍁
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コメント
4件
旦那様🖤を心配させすぎ💚退院したら🖤を甘やかしてあげて、とうせ🖤の希望はイチャイチャラブラブだと思うけどね😅

ゲームの世界は解らないけど 普通に5人が楽しそうに戦っているのが微笑ましい。 不思議な天使さんでしたが… いろんなジャンルの物語を長編で出せるみらさん 凄すぎます。 毎回ドキドキワクワクしながら待ち侘びて居ます😄☺️次の日物語楽しみに待って居ます
このペースで投稿できるみらさん、すごいです😭 これからも応援してます🙇♀️🙇♀️🙇♀️
裏ボスが眠るというダンジョンは、魔王城とはまるで別物だった。
入口へ一歩足を踏み入れた瞬間から空気が重い。
魔物一体一体が、魔王城の敵よりもはるかに強かった。
「硬い……!」
佐久間の勇者の剣でも、一撃では倒せない。
「こっちも!」
康二が次々と拳を繰り出すが、敵は簡単には倒れなかった。
阿部も魔法を放つ。
それでも以前ほど楽には進めない。
深澤は回復魔法を切らす暇もなかった。
「ラウ!」
「右お願い!」
「任せて!」
ラウールは大きな盾を構え、仲間への攻撃を受け止める。
パラディンらしく、最前線で仲間を守っていた。
何度も追い詰められ。
何度も回復し。
少しずつ前へ進む。
「さすが裏ボスだね。」
阿部は苦笑する。
「やっとゲームらしくなってきた。」
「その感想もどうかと思うけど。」
深澤も笑いながら回復魔法を唱えた。
苦戦しながらも、五人は諦めなかった。
___________
長い戦いの末。
巨大な扉の前へたどり着く。
その先が裏ボスの部屋だった。
「少し休もう。」
深澤が言う。
五人は最後の回復草を確認し、魔力を整える。
「大丈夫?」
阿部がみんなを見る。
「うん。」
「いける。」
佐久間は勇者の剣を握り直した。
康二は深呼吸をする。
ラウールは盾を構え、静かに頷いた。
「行こう。」
重い扉を押し開く。
ギギギ……。
暗い部屋の中央。
巨大な黒い影がゆっくり立ち上がる。
「よくここまで来――」
「えい。」
阿部は迷わず毒針を投げた。
ひゅっ。
毒針は裏ボスのおでこへきれいに刺さる。
「……。」
「……。」
「……。」
裏ボスは普通に立っていた。
そして静かに毒針を抜き取る。
「痛い。」
その一言だけだった。
阿部は肩をすくめて笑う。
「やっぱりね。」
「さすがに効かないか。」
佐久間が吹き出す。
「少し期待した自分がいた。」
康二も笑う。
「もし倒れたら伝説やったな。」
裏ボスは首を傾げた。
「……お前たち。」
「人の話を最後まで聞かないのか?」
深澤が苦笑する。
「ごめんなさい。」
「この子、毒針見ると投げたくなるんです。」
「そんな癖ある!?」
ラウールが思わず突っ込む。
その瞬間。
裏ボスが巨大な剣を振り上げた。
「来る!」
佐久間が前へ飛び出す。
「ラウ!」
「はい!」
盾が衝撃を受け止める。
阿部の魔法が炸裂する。
「連撃!」
康二が一気に距離を詰める。
深澤の回復魔法が次々と飛ぶ。
それでも。
裏ボスは強かった。
何度倒れそうになったか分からない。
回復草も使い切る。
魔力も底をつきかける。
「まだ……!」
佐久間が勇者の剣を握り直す。
「終われない!」
五人は最後の力を振り絞った。
「今!」
阿部が叫ぶ。
「お願い!」
佐久間の勇者の剣。
康二の渾身の一撃。
ラウールの盾による体当たり。
阿部の最大魔法。
深澤の補助魔法。
五人の力が一つになる。
眩しい光が部屋いっぱいに広がる。
「見事だ……。」
裏ボスは静かに微笑み、
「これで世界は救われる。」
そう言い残して、ゆっくりと光へ変わっていった。
静寂が訪れる。
五人はその場へ座り込む。
「……。」
「勝った。」
誰からともなく笑い声が漏れる。
阿部は汗を拭きながら笑った。
「今回は。」
「ちゃんとラスボスだったね。」
その言葉に四人も大きく笑い、達成感に包まれながら静かに拳を合わせた。
___________
真っ白な光の中。
阿部はゆっくり目を開けた。
「……また。」
目の前には、見慣れてしまった天使が立っていた。
「お疲れさま。」
天使は満足そうに拍手をする。
「今回は裏ボスまでちゃんと倒したね。」
「いやぁ、長かった。」
阿部は苦笑しながら頭をかく。
「レベル上げしすぎたけど。」
「それも含めて面白かったよ。」
天使はくすっと笑った。
「ところで。」
「次はどんな冒険がしたい?」
「海の世界?」
「宇宙?」
「機械文明?」
「……。」
阿部は少し考えたあと、笑って首を横に振った。
「俺。」
「アイドルだから。」
「もう冒険はしないよ。」
天使は一瞬きょとんとしたあと、大笑いした。
「あはは!」
「それが一番まともな答えかも。」
阿部もつられて笑う。
「現実の仕事だけで十分だよ。」
「異世界はしばらくお腹いっぱい。」
天使は優しく頷いた。
「分かった。」
「じゃあ。」
「もう会いたくなかったら。」
少しだけ真面目な表情になる。
「食べる物には、本当に気を付けて。」
「……え?」
阿部が聞き返す。
天使は意味深に微笑んだ。
「じゃあね。」
その姿が光へ溶けていく。
「え、ちょっと待っ――」
視界が真っ白になった。
___________
「……ちゃん。」
「あべちゃん。」
聞き慣れた声がする。
阿部はゆっくり目を開けた。
白い天井。
消毒液の匂い。
規則正しく鳴る心電図の音。
「……病院?」
横を見ると、椅子に座っていた目黒が立ち上がった。
「よかった……。」
目黒は安心したように息を吐く。
「目、覚めた。」
阿部はまだぼんやりしたまま記憶をたどる。
「俺……。」
「そうだ。」
楽屋。
仕事の合間。
テーブルに置かれていたお菓子。
「みんなで食べよう。」
そう言って五人で分け合って食べた。
そのあと。
急に眠くなって。
そこから先の記憶がない。
「……睡眠薬。」
目黒が静かに言う。
「お菓子の中に混入されてたらしい。」
「スタッフさんがすぐ異変に気付いて、救急車を呼んでくれた。」
阿部は小さく息をのんだ。
「そうだったんだ……。」
「命に別状はないって。」
「でも数日入院して、様子を見ることになった。」
目黒は阿部の手をそっと握る。
「本当に心配した。」
「ごめん。」
阿部が申し訳なさそうに笑う。
「心配かけちゃったね。」
目黒は何も言わず、小さく頷いた。
___________
その日の午後。
病室のドアが開く。
「失礼しまーす。」
聞き覚えのある声。
隣のベッドへ案内されてきたのは深澤だった。
「ふっか!」
「同室らしい。」
深澤は苦笑する。
「俺も運ばれたから。」
目黒は二人の様子を見て安心したように立ち上がる。
「少し飲み物買ってくるね。」
病室を出て行く。
二人きりになると、自然と顔を見合わせた。
「……。」
「……。」
そして同時に笑ってしまう。
「長い夢だったね。」
阿部が笑う。
「賢者になったり。」
「レベル200まで上げたり。」
「毒針投げたり。」
深澤も肩を揺らす。
「天使も相変わらずだった。」
「最後まで適当だったね。」
ひとしきり笑ったあと。
阿部が窓の外を眺めながら呟く。
「でもさ。」
「もう冒険はいいかな。」
深澤も静かに頷く。
「うん。」
「みんなに心配かけるし。」
「俺たちは。」
「ちゃんとアイドルやろう。」
「そうだね。」
二人は笑い合う。
その時、病室の外から目黒の声が聞こえた。
「飲み物買ってきたよ。」
阿部はその声を聞きながら、小さく笑った。
(次は。)
(異世界じゃなくて。)
(平和な毎日が、一番の冒険でいい。)
そう心の中で思いながら、阿部は静かに目を細めた。