テラーノベル
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他のお客さんたち、そして今夜のパーティを彩るための舞台は、これで完璧に整った。
カランカラン――。
まさにその瞬間、夜の冷気と共に、新たな客を告げるベルが静かな店内に鳴り響いた。
「いらっしゃいま――」
ナオミと穂乃果、そして湊が、いつもの極上の笑顔で入り口を振り返る。カウンターの彩美も、つられておずおずと視線をドアへと向けた。
だが、店内に足を踏み入れた『その人物』の姿を捉えた瞬間、穂乃果の身体がカチリと凍りついた。
(お、お父さん……っ!?!? なんでここに……!?)
驚きのあまり声も出なかった。自分の父が常連だとは聞いていたが、まさか今夜此処で遭遇するなんて聞いていない。
そして、穂乃果の隣の席でグラスを見つめていた彩美は、入ってきた初老の男性の顔を見た瞬間、持っていたおしぼりを床に落とし、ガタガタと椅子ごと震わせながら完全に石化して固まった。
「い、い、い、院長先生!?!? な、なんで此処に……っ!?」
完全なパニック状態に陥る中、入ってきた当人である院長――佐藤音治もまた、ドアの取っ手を掴んだままピキリと凝固していた。
お堅いスーツに身を包んだ威厳ある面持ちが、一瞬にして見事なまでの困惑に染まっていく。
「ほ、穂乃果……? それに、君は……? なぜ、お前たちがこんな場所にいるんだ……?」
「それはこっちのセリフだよ、お父さん! 病院のクリスマス会はどうしたの!?」
「あ、安住さん……! 院長先生って、安住さんのパパだったの!? と、いう事は安住さんって社長令嬢? え、ええっ!?」
あまりの衝撃の連鎖に、彩美のキャパシティは完全に限界を迎えていた。頭を抱えて座席でパニックになる彩美の横で、何も事情を知らない湊だけが、不思議そうに首を傾げて目を丸くしている。
あの大人の余裕たっぷりで全知全能に見えるナオミが、計画の狂いに「いかにもシマッタ」という形相で焦っている。そのレアすぎる姿に、穂乃果は驚きつつも、どこかおかしさを感じていた。
「ナオミちゃん……これは一体……?」
低く威厳のある、しかし完全に困惑しきった音治の問いかけに、ナオミは一瞬だけ泳がせた視線をどうにか引き戻し、引きつった営業スマイルを浮かべた。
「あー……ええっと、取り合えず音治さんも、座りましょ? あとで、ちゃんと! 全てお話しますから! ね? ね!」
普段の艶やかなアルトの声が、心なしか上ずっている。ナオミは音治の背中を促すようにして、半ば強引にカウンターの奥の席へと案内した。
「あれれ? もしかして、ダブルブッキングってやつですか? ナオミさんらしくないなぁ。幸せボケかな?」
「うるさいわよ湊! ちょっと予定が狂っちゃったけど、挨拶に行く手間が省けてよかったわ」
この状況を誰よりも楽しんでいるのは湊だった。トレイを片手に持ってニヤニヤしながら、大慌てのナオミと、借りてきた猫のように固まっている病院の最高権力者を見比べている。
「穂乃果。申し訳ないんだけど、音治さんにおしぼり持って行ってくれない?」
「はっ、はいっ!」
ナオミに言われ、穂乃果は急いでバックヤードから新しいおしぼりを用意し、音治の前へと置いた。
猫塚ルイ

コメント
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ええっ!?まさかのダブルブッキング展開!?\(°Д° )/ 穂乃果ちゃんのパパ=院長先生だったのね…しかもナオミさんが焦ってるのレアすぎて笑ったww 彩美ちゃんパニックになりすぎてて可愛かったし、湊さんが一番楽しんでるの最高すぎた😂💕 みんなの関係性が交差する瞬間、めっちゃドキドキしたよ〜!続き気になる!!