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ruruha
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「俺、帰ります」
「おい、待っ…」
言う間もなく、快は部屋を飛び出す。
そして、玄関の閉まる音が響いた。
俺は頭を抱える。
(やべぇ…やっちまった…)
「何してんだよ俺…」
せっかく来てくれたのに。
熱まで吸わせてくれたのに。
(ぜってぇ軽い男だと思われた…)
「最悪だ…」
体に力が入らず、ソファーで俯き続けた。
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人通りの多い道を、二人で歩く。
「陽雅さん、そろそろ教えてくれません?」
「ダメ。もう少しだから」
それから少しして、とある店の前で立ち止まった。
「着いた。ここだよ」
(なんかめっちゃオシャレそう…)
つい、店を眺めてしまう。
「行こ」
そう言って中に入っていく陽雅さんに俺はついて行った。
中に入ると、中にいた店員さんが言う。
「いらっしゃいませ」
「予約した黒崎です」
「黒崎様ですね。お待ちしておりました。こちらへどうぞ」
奥へ進む店員さんに俺たちはついて行く。
(陽雅さんの苗字、黒崎って言うんだ。なんかかっこいい)
「こちらの席になります」
俺たちは、案内された席に座る。
「お飲み物は何かご用意致しましょうか?」
「シャンパンと…」
陽雅さんはそこで言葉を止め、俺を見る。
「恭也、なんか飲む?」
「えっと…」
(シャンパンとかワインとか飲めないし…)
「水で大丈夫です」
俺の言葉を聞いた陽雅さんは、店員さんの方を見る。
「ミネラルウォーターのガス無しをお願いします」
「かしこまりました」
店員さんはお辞儀をし、去っていった。
俺は辺りを見回して、ソワソワする。
ふと陽雅さんを見ると、膝の上にナプキンを広げていた。
(そっか…ナプキン…)
慌てて俺も真似をしてナプキンを広げる。
そして、再び辺りを見回す。
「恭也、お酒飲まないの?」
そう言う陽雅さんにも気付かず、ただ緊張していた。
「恭也?」
「あっ、はいっ」
「大丈夫?」
「すみません。こういう店初めてで…」
陽雅さんがフフッと笑う。
「また恭也の初めて、貰っちゃったね」
そう言って陽雅さんはニコッと笑った。
多分、陽雅さんの言い方が悪いんだろうけど、少しエロく聞こえる。
「そ、そうですね…」
「水で良かったの?」
「はい。ワインとかシャンパンとか、まだ飲めなくて」
「そっか。まだまだ子供だね」
陽雅さんはそう言ってフフッと笑う。
(子供…)
まぁ、俺と陽雅さん、六歳違うもんね。
陽雅さんからしたら俺なんて子供なんだ。
少し不貞腐れながらも、机に置かれたメニュー表を見る。
コース料理で、もうメニューは決まっている様だ。
メニューに目を通すけれど、食べた事ない料理ばかりだ。
(テリーヌ…ブイヤベース…タルトタタン…?)
不思議に思いながら見ていると、店員さんが飲み物を持ってくる。
そして、メニューの説明が始まった。
分からない所もあるけれど、分かったような顔で説明を聞く。
「それでは、ごゆっくりお過ごし下さいませ」
店員さんが下がると、陽雅さんが微笑む。
「緊張してる?」
「はい…すみません…」
「謝らなくていいのに」
陽雅さんはそう言った後、グラスを持つ。
「じゃあ、今日は楽しもうか」
陽雅さんがグラスを目の高さまで上げたのを見て、俺は慌ててグラスを持つ。
同じように目の高さまで上げると、陽雅さんは微笑んだ。
「乾杯」
陽雅さんはシャンパンを一口飲む。
(この人、ほんと余裕あるな…)
格の違いを感じながらも俺は水を一口飲んだ。
「こういうお店、苦手だった?」
不意に陽雅さんが問う。
「い、いや。そんな事ないです。俺は別に陽雅さんとならどこへでも行きたいですし」
何ぶっちゃけてんだ。
緊張のせいで言わなくていい事を言ってしまう。
こんなの、好きって言ってる様なもんだろ。
「そっか。次はどこに行こうね。俺も恭也と色んな所に行ってみたいな」
陽雅さんはニコッと笑う。
嘘。嫌な顔一つしてない。しかも俺と色んな所に行きたいって。
(もしかして、陽雅さんも俺の事…)
俺は陽雅さんの顔を見つめる。
陽雅さんはニコッと微笑んで、俺を見ている。
(いや、何期待してるんだ俺…)
陽雅さんは色んな人と関わってる訳で、もちろん陽雅さんの事好きになる人もいっぱいいて、自分に好意を向けられる事なんて慣れてるんだ。
だからそういう人への対応にも慣れてるだけだ。
「恭也、大丈夫?」
「すみません。大丈夫です。えっと…何でしたっけ」
「次、どこ行きたい?」
「あぁ。そうですね…」
俺はあのカップルの投稿を思い出す。
「遊園地とか行ってみたいです」
「遊園地? いいよ。じゃあ次は恭也が休みの日にしよっか」
「はい。ありがとうございます」
「うん」
陽雅さんは何か考える素振りを見せた後、フフッと笑う。
「どうしたんですか?」
「いや。恭也との遊園地デート、どんな感じかなって想像してただけだよ」
陽雅さんは俺を見てニコッと笑う。
(デート…)
陽雅さん、デートだと思ってくれるのか。
(じゃあ、これもデート…?)
っていうか、緊張し過ぎてて気づかなかったけど、めっちゃ夜景見える席じゃん。
(凄い…綺麗…)
「いい景色だね」
「そうですね」
「恭也が喜んでくれるかなって思って窓際の席予約したの」
「えっ」
(俺の為に…?)
やばい。なんでこの人、こんなに優秀なんだろう。
こんなの、どんどん好きになる。
「…ありがとうございます。めっちゃ嬉しいです」
「よかった。喜んでくれて」
陽雅さんが嬉しそうに笑う。
(陽雅さんと付き合える人、羨ましいな…)
陽雅さんと付き合えたら、毎日が幸せなんだろうな。
こんなにスマートでイケメンで何でも出来る人と付き合えるなんて、よっぽど運のいい人なんだろうな。
「恭也、次飲み物どうする? カクテルとかもあるけど、お酒はやめとく?」
「そうですね…」
「またお水がいいかノンアルの飲み物がいいかどっち?」
「じゃあ…ノンアルでお願いします」
「うん。分かった」
陽雅さんがそう言ってから少しして料理を持った店員さんがこちらに来る。
「失礼いたします。前菜をお持ちいたしました」
横からそう聞こえた後、机に料理が置かれる。
(これがテリーヌか…)
テリーヌを見つめていると、陽雅さんが店員さんに向かって言う。
「すみません。ドリンクのペアリングをお願いします」
「かしこまりました」
「この子はお酒飲めないのでノンアルコールのペアリングをお願いします」
「かしこまりました。ノンアルコールペアリングをご用意いたします」
そっか。スムーズに注文出来るように、先に聞いといてくれたんだ。
(でも、この子って…)
やっぱり俺の事、子供扱いしてるのかな。
俺は再び不貞腐れながらも、テリーヌに視線を戻した。
コメント
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寺島あおいです🤍 16話、読み終わりました。恭也くんの緊張と、それに反してスマートにエスコートする陽雅さん…そのギャップがたまりませんでした。「また恭也の初めて、貰っちゃったね」の台詞、思わずニヤけましたよ。窓際の席を恭也くんのために予約してくれた陽雅さんの気遣い、本当に素敵ですね。恭也くんが「どんどん好きになる」って心でつぶやくシーン、とても共感しました。次は遊園地デート、楽しみにしてます🌷